意外と知られていない!「天然温泉」と「源泉かけ流し」の違いとは


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更新日:2024年2月27日

自然を感じながらゆったりと広い湯船に浸かる…温泉好きにはたまらないひと時ですよね。温泉好きの方は「天然温泉」や「源泉かけ流し」を好んで選ばれているのではないでしょうか。温泉施設などでは温泉をアピールするために良く使われている言葉ですが、普段何気なく見聞きしていても、いざ「天然温泉と源泉かけ流しの違いは?」と聞かれると意外に答えられないものです。今回はより温泉の理解を深めるために「天然温泉」と「源泉かけ流し」の違いについて学んでいきましょう。

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そもそも温泉には規定がない!お湯の管理は温泉それぞれ

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「温泉」は環境省が制定する温泉法で定義されています。

地中から湧き出す水が25℃以上であれば温泉になります。25℃未満でも温泉と定義できる一定の物質が含まれていると温泉と呼ぶことができるのです。

定義は上記のみで、泉質や効能など細かい規定はありません。

一口に温泉と言っても、お湯は管理者任せになっているというのが実態です。

では、「天然温泉」と「源泉かけ流し」の定義はどうなっているのか。具体的に事項から説明していきます。


「天然温泉」の定義とは

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「天然温泉」とは温泉法の規定を満たす温水や鉱水を指します。

すなわち地中から湧き出していて、温泉法で定められた温度や成分含有量など条件を満たしたものだけが「天然温泉」と謳えるのです。

一方、温水に厚生労働省が承認した天然鉱物由来の薬剤など温泉成分を加えたものは「人工温泉」と分類されます。

天然温泉を謳うには「天然温泉表示看板」が必要!

天然温泉を謳うには天然温泉表示看板を掲示する義務があります。天然温泉と人工温泉の違いをはっきりと区分するために、日本温泉協会が天然温泉表示制度を作りました。そして、浴槽毎に審査を行い天然温泉の証として発行したのが「天然温泉表示看板」です。

利用した温泉施設が天然温泉かどうかを知るには天然温泉表示看板を見てみましょう。「利用源泉に関する情報」や「浴槽の温泉利用に関する情報」が表示されているので、浴室にこの看板があると安心して天然温泉を楽しむことができます。

「天然温泉マーク」をチェック!

天然温泉は泉質や成分、効能、入浴時の注意事項などを表示しなければなりません。また、加水や加温など管理方法も記載されています。天然温泉を利用する場合は浴室などに「天然温泉マーク」が掲示してあるのでチェックしておきましょう。

正方形の中に4本の湯気が立ち上るようなデザインになっており、温泉の地図記号にも似ています。これは1976年に日本温泉協会が制定したマークで、どの温泉施設でも同じマークになっています。

循環式の天然温泉もあり!

天然温泉といっても湧き出す温度や湯量はさまざまです。入浴に適した温度にするために加水や加温など温度調整することもあります。お湯の量が少ない場合には、新しいお湯を加えながら浴槽のお湯を循環させることもあります。

このように循環式の場合でも天然温泉を謳うことができるのです。ただし、循環式の場合には循環の過程で濾過や消毒を行うため、源泉が持つ本来に効能が薄れることがあるかもしれません。循環式かどうかは、天然温泉表示看板で確認することができます。


「源泉掛け流し」の定義とは

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「源泉かけ流し」は温泉好きには大変魅力的な温泉です。ではどのような温泉を「源泉掛け流し」と呼んでいるのでしょうか。

浴槽に新しい源泉だけを入れて、循環させたお湯は使わないというのが一般的な「源泉掛け流し」の条件です。「源泉掛け流し」の中でもより源泉に近い状態で利用する「源泉100%掛け流し」という最上級の温泉もあります。

ここでは「源泉掛け流し」についての定義や「源泉100%掛け流し」との違いなどをご紹介します。

「源泉掛け流し」は循環させない温泉のこと

「源泉掛け流し」は循環させない温泉のことで、温泉の魅力の一つです。常に新しい源泉を入れながら浴槽を溢れさせ、溢れたお湯は再利用しないのが原則です。

また、源泉をそのまま利用するため加水したり加温したりすることも禁じられています。ただし、源泉の成分変化が少ないことを条件に加水・加温が認められることもあります。その場合は「天然温泉表示看板」に加水または加温の状況と理由を表示することが義務付けられています。

「源泉掛け流し」と「源泉100%掛け流し」の違いとは?

「源泉掛け流し」や「源泉100%掛け流し」は循環したお湯を再利用することを禁じられています。浴槽に注がれているのは新しいお湯だけです。常に新しいお湯が注がれ続けているのでお湯は浴槽から溢れています。これが「源泉掛け流し」の醍醐味ですね。

「源泉掛け流し」は成分変化が少ない範囲で加水や加温が認められていますが、「源泉100%掛け流し」は加水も加温もどちらも認められていません。「源泉掛け流し」と「源泉100%掛け流し」の違いは、浴槽で温泉の使い方によるものです。

源泉100%掛け流しにも温度調整あり?

「源泉100%掛け流し」はご紹介したように、加水・加温のどちらもしていないことが一般的です。

しかし、温泉によっては加温していても「源泉100%掛け流し」と呼ぶこともあります。加温と言っても「沸かし」ではありません。高温の温泉が湧いている場合には一旦お湯を溜めて入浴の適温になるのを待ったり、源泉をパイプで水の中を通すなどして入浴に適した温度になるまで源泉の温度を下げることがあります。加水・加温をしないで温度調整することは「源泉100%掛け流し」として認められているのです。


結局何が違う?「天然温泉」と「源泉かけ流し」の違いまとめ

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「天然温泉」と「源泉かけ流し」の違いをご紹介しました。「天然温泉」は一定の成分を含んで地中から湧き出した温水や鉱水、「源泉かけ流し」は、その天然温泉を循環再利用しないで利用することです。

「源泉かけ流し」の定義をまとめると次のようになります。

・浴槽には常に新しいお湯が注がれている
・浴槽からはお湯が溢れている
・溢れたお湯が再利用されていない
・加水・加温していない
・成分を変えない程度の加水・加温は認める

泉質そのものを楽しむなら「源泉100%かけ流し」

「天然温泉」と「源泉かけ流し」の違いをおわかりいただけたでしょうか。温泉を満喫するならやはり天然温泉でしょう。さらに泉質を楽しむなら「源泉100%の掛け流し」がおすすめです。

源泉そのままで自然に近い状態でお湯を楽しむことができます。透明な温泉や白濁した温泉、茶褐色の温泉など見た目もいろいろです。サラサラのお湯やまとわりつくようなお湯などもあります。硫黄の香りがするこれぞ温泉といったものも。そんな源泉の特徴を存分に楽しめるのが「源泉100%かけ流し」です。


よく見かける「人工温泉」って温泉じゃないの?

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人工温泉とは

人工温泉とは、天然鉱物由来のミネラルにあたる薬剤や鉱石をお湯に加えている温浴施設のことです。具体的には、ビジネスホテルなどが導入している「トロン温泉」「光明石(こうめいせき)温泉」「トゴール温泉」などが、人工温泉にあたります。人工とはいえ、冷え性・神経痛・関節痛・肩こりなどの症状に効用があるとして、「準天然温泉」と称されることもあります。

天然鉱物由来の薬剤は、厚生労働省が「薬効がある」と認めた医薬品や医薬部外品を指します。そのため、一般流通している温泉の素などを家庭の浴槽に入れても、人工温泉と呼ぶことはできません。また、温泉法の定義からは外れるため、温泉としての泉質表示や、入浴が禁止されている症状(禁忌症)の掲示も不可能となっています。

参考:g-lip|天然温泉と人工温泉の違いとは?忙しいビジネスマンこそ知っておくべき温泉の選び方

人工温泉の効用

人工温泉は療養泉ではないものの、実在する温泉の泉質を再現しているため、あらゆる効用が期待できます。たとえば、アルカリ性成分を含む人工温泉ならば、下呂温泉に浸かっているような気分になれるでしょう。使用される薬剤などは医薬部外品ということで、人体への悪影響を心配する必要もありません。また、無味無臭の人工温泉は「入浴しやすい」というメリットもあります。「においや塩分が強い温泉は苦手」という方にも親しまれています。

人工温泉に使われる代表的な鉱物

<1. トロン>

人工温泉を代表する「トロン温泉」には、トロン浴素の遠赤外線効果によって、身体をしっかりと温める効果があります。天然トロン温泉の歴史は古く、今から約2,000年前にドイツの温泉地「バーデン・バーデン」にて発見されました。当時から「戦士の傷を癒し、美肌を生み出す名湯」として知られていましたが、その秘密は近郊の鉱山で採れる「トロン鉱石」にあったのです。微弱な放射性物質を含んでいるトロン鉱石は、強力なイオン化エネルギーの一つであり、海外では物理学療法にも採用されています。

日本でもトロン鉱石の研究が進んだことで、優れた温浴効果を持つトロン温泉の素として「トロン浴素」が開発されました。トロン浴素は薬機法に基づいた医薬部外品であるため、認定事業者以外は製造・販売することができません。一方で、トロン温泉を導入している温浴施設は、腰痛や神経痛など計10種類の効能を表示できるため、利用者も安心して入浴することができます。

<2. 光明石>

準天然温泉として知られる「光明石温泉」は、天然鉱石を使用した温浴システムです。光明石は岡山県の阿部鉱山から産出される貴重な天然鉱物です。地下深くに存在する熱水によって変質した石は、緑色・灰色・白色をしており、1トンの岩から微量しか採掘できないといわれています。

厚生労働省からは医薬部外品として承認されており、神経痛・肩こり・痔・産前産後の冷え性・リウマチ・腰痛・疲労回復といった、8つの効能が認められています。長原産業株式会社の登録商標になっていることから、第三者が「光明石温泉」を謳うことは出来ないため、利用者は安心して入浴できます。

光明石に含まれる成分は、塩化カルシウム・炭酸水素カルシウム・塩化マグネシウム・塩化カリウムなど計11種類であり、無味無臭のお湯が特徴です。旅館やホテルをはじめ、フィットネスクラブやマンション、介護施設や老人ホームにも導入されているため、利用したことがある方も多いのではないでしょうか。

<3. トゴール>

人工温泉の一つである「トゴール湯」には、新潟県栃尾又温泉付近で採掘される風化鉱物「トゴール・ウォームタイト」が使用されています。トゴール・ウォームタイトに含まれる無機塩類を入浴用に加工することで、天然温泉に近い効用を生み出しています。トゴール鉱石の鉱脈発見には多数の研究者が携わり、トゴール湯の開発・研究は昭和54年(1979)に始まりました。

トゴール湯は飲用できませんが、トゴール鉱石が世間に広まった当初は「飲料水に入れたらおいしくなった」「体調が良くなった」といった記事が新聞に掲載されたそうです。実際に、トゴール鉱石は多数のミネラル群を含んでおり、古くから「湯石」「薬石」と言われていた歴史を裏付ける実験結果も出ています。

臨床試験により明らかになった主な効用は、腰痛や筋肉・関節痛の改善です。また、「身体がポカポカと温まり、朝までぐっすりと眠れた」「こわばった体を動かしやすくなった」といった実験結果も発表されています。

参考:温泉部|【意外に知らない】トロン温泉とは?効果効能や入り方
株式会社光明石製造所|国内で唯一の「光明石」採掘元
株式会社トゴール研究所|人工温泉トゴールとは
株式会社トゴール研究所|「トゴール湯」についての温泉医学的検討

天然温泉と人工温泉の見分け方

温泉施設によっては、天然温泉と人工温泉を一目で見分けることが大変難しくなっています。温泉システムを判断する際は、日本温泉協会が制定した「天然温泉表示マーク」と「天然温泉表示看板」が役立ちます。いずれの表示も、温泉法の規定に基づき、利用許可を得た天然温泉であることを示しています。

また、2005年に温泉法施行規則の一部が改正されたことで、温泉の成分やシステムを明確に表示することが義務化されました。そのため、天然温泉の良し悪しが明確になり、それぞれの特徴も理解しやすくなっています。人工温泉のメリットもわかるので、効能に関する看板を見かけたらご覧になることをおすすめします。

参考:温泉部|天然温泉とは?人工温泉との違い

人工温泉にも入湯税はかかるの?

人工的に造られた温泉であっても、鉱泉水(鉱泉浴場)の場合は入湯税がかかるので注意しましょう。天然鉱物由来の効能が明らかな鉱泉水は、温泉法の基準以下であっても、天然温泉に近いとみなされます。

そもそも、「入湯税」とは温泉利用者に課せられる地方税のことです。温泉地の環境・景観の維持や観光PRなどに使用される税金であり、鉱泉浴場で徴収された場合も使い道は同様です。2004年に温泉偽装問題が取り上げられるまでは、鉱泉すら使用していない浴場が入湯税を徴収するという悪質なケースがありました。

参考:おもてなしHR|人工温泉にも入湯税はかかるの?


温泉を満喫するなら源泉100%の掛け流しで決まり!今すぐ温泉旅行へ出かけよう

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日常のすべてを忘れて身も心もリラックスできるのが温泉です。「源泉100%の掛け流し」なら純粋な温泉の水を肌で感じることができ、さらに温泉を楽しむことができるでしょう。

「天然温泉」と「源泉かけ流し」の違いがわかったところで、「源泉100%の掛け流し」を探して温泉旅行に出かけてみましょう。遠出をしにくいという方は、天然温泉に近い効能が期待できる「人工温泉」を利用するのもおすすめです。