400年の歴史を誇る伊香保温泉 歌人に愛された石段街の歴史を学ぶ


更新日:2020年11月13日

伊香保温泉は、草津温泉と並ぶ群馬県の代表的な温泉です。伊香保温泉は歴史的にもゆかりのある温泉で、万葉集にも記されていますし、戦国時代の武田信玄にもゆかりがあるなど歴史深い土地でもあります。そんな伊香保温泉の歴史を紐解き、新たな伊香保温泉を発見しましょう。

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400年の歴史を持つ伊香保温泉とはどんな場所?

伊香保温泉は群馬県渋川市伊香保にある温泉で、400年の歴史を持つ草津温泉と並び、群馬県を代表する温泉です。

多くの文人・文化人に愛された由緒ある街

伊香保温泉は、多くの文人や文化人が訪れた温泉としても有名です。明治から昭和にかけて夏目漱石、土屋文明、与謝野晶子らが訪れています。

中でも、映画や小説にも登場する徳富蘆花と竹久夢二は特に伊香保を愛した人物として有名です。

徳富蘆花は伊香保を舞台にした「不如帰(ほととぎす)」を執筆し、文中には「湯よし、宿よし、眺望よし。私はすっかり伊香保に惚れた」と書かれています。また、心臓発作で倒れた際にも伊香保温泉で療養しており、文中にあるようにすっかり伊香保に惚れた様子がうかがえます。

万葉集にも記された悠久の歴史を持つ温泉地

伊香保温泉は、万葉集にも記されている悠久の歴史をもつ温泉地です。

万葉集は1200年余り前に作られた日本最古の和歌集で、全20巻からなり、さまざまな身分の人たちが詠んだ歌が4,500首以上収められており、伊香保に関する歌は9首詠まれています。

なお、万葉の時代には、伊香保は榛名湖一帯を指しています。


伊香保温泉は戦の療養所?武田軍によってできたと噂の名物「石段」

伊香保温泉は戦国時代の武田信玄の「隠し湯」として有名ですが、温泉を野戦病院として利用する方法を息子の武田勝頼にも受け継ぎました。

大正3年(1575年)5月、長篠の戦いで、徳川・織田連合軍に武田軍が敗北を喫したとき、配下の真田幸村に命じて、伊香保温泉を湯治場として整備させましたが、それが現在の石段街の始まりだとされています。

伊香保温泉といえば石段

伊香保温泉といえば石段が有名で、石段を挟んでお土産物屋や饅頭屋などが並んでいて、情緒たっぷりの佇まいになっています。

この石段には戦国時代の歴史的意味が潜んでいて、長篠の戦いの翌年である天正4年(1576年)に完成しています。

石段のきっかけは「長篠の戦い」との噂も

長篠の戦いで破れた武田軍は、多くの負傷者の治療のために石段を築き、石垣を配して石段沿いに湯治場として温泉街を整備しました。

武田軍は最奥部にある源泉井戸から、傾斜を利用して土中に埋めた木製の湯桶から温泉街へとお湯を運びました。

2010年に「365段」へと増設

伊香保温泉の石段は400年以上の歴史がありますが、現在の石段は昭和55年から5年をかけて大改修したもので、御影石が敷かれています。

その後2010年には365段に増設されましたが、広場や温泉水が流れる「湯滝」などもその時に設けられたことで、一層親しみやすいものとなりました。

この石段には365日、にぎわってほしいという願いが込められています。


古くから親しまれてきた伊香保温泉の「黄金の湯」「白銀の湯」

伊香保温泉には、黄金の湯(こがねのゆ)と、白銀の湯(しろがねのゆ)の2種類の源泉を持っていることが特徴です。

黄金の湯に入れる旅館と白銀の湯に入れる旅館がありますから、入浴を考えている方は事前に調べておいたほうがいいかもしれません。

「黄金の湯」 は湯治場として古くから親しまれていた

黄金の湯は古くから伊香保に湧く温泉で、伊香保温泉が湧出した当時からの温泉です。

湯の中に含まれている鉄分が酸化して茶褐色になっています。黄金の湯は肌に優しく、身体を芯から温めて血行を良くする作用があるため、女性の方に優しい「子宝の湯」といわれています。

「白銀の湯」 は保湿成分が豊富!疲労回復にも効果的

白銀の湯は、近年になって湧出が確認され、色が無色透明だったため白銀の湯と名付けられました。保湿成分が豊富にあって刺激が少ないため、小さなお子さんやご高齢の方に向いています。

また白銀の湯は、病後の回復期・健康増進・疲労回復の作用があります。

伊香保温泉の歴史を感じれるおすすめスポット3選

伊香保温泉は、戦国武将の武田信玄や息子の武田勝頼にゆかりのある温泉です。江戸時代に幕府の命によって設けられた伊香保関所や、明治の文豪である徳冨蘆花にちなんだ徳冨蘆花記念文学館、そして紅葉の名所でもある河鹿橋を紹介します。

江戸時代にできた制度の一つ「伊香保関所」

伊香保関所は寛永8年に幕府の命により設けられましたが、その関所を復元したものが石段を少し上がったところにあります。

もともと伊香保関所は、かつての三国街道の裏往還といわれる渋川から伊香保・東村を通って中山宿へ行く要所にありました。

施設内には仏像をはじめ、豊富な資料が展示されています。

<施設情報>
・住所:群馬県渋川市伊香保町伊香保34
・電話番号:0279-22-2873
・営業時間:9:00~17:00

伊香保温泉の隠れた名所「河鹿橋」

河鹿橋は伊香保温泉の最奥部にあり、春は新緑、秋はもみじを中心とした紅葉の人気スポットになっています。

歴史はさほど古くはありませんが、ジブリアニメ「千と千尋の神隠し」に登場した橋であると噂されたことから、1年を通して多くの観光客が訪れる場所となっています。

自然に囲まれた場所であり、各シーズンで様々な表情を見せてくれ、歴史上の人物たちも同じような伊香保の景色を眺めたかもしれません。

<施設情報>
・住所:群馬県渋川市伊香保町伊香保586-2
・電話番号:027-374-5111(榛名観光協会)

明治の有名文豪の記念館である「徳冨蘆花記念文学館」

徳冨蘆花は小説「不如帰(ほととぎす)」で有名な明治の文豪で、自然あふれる伊香保温泉が気に入って生涯において頻繁に足を運んでいます。

徳冨蘆花記念文学館では、徳冨蘆花が定宿としていた旅館の離れを移築・復元し、記念館として公開されています。

徳冨蘆花の写真や書簡、遺品、文学作品といったさまざまな資料を揃えた展示館もあり、そこでは蘆花の生い立ちから時代背景などについて触れることができます。

提供:徳冨蘆花記念文学館

<施設情報>
・住所:群馬県渋川市伊香保町伊香保614-8
・電話番号:0279-72-2237
・営業時間:8:30~17:00

伊香保温泉へ出かけて文学の世界に足を踏み入れよう

伊香保は明治時代から多くの文士たちが訪れ、徳冨蘆花のように伊香保温泉を愛し、伊香保温泉に定宿をもっていた文豪もいます。

そんな自然豊かな伊香保温泉を訪れて、当時の文士たちが見た景色を堪能するのもいいのではないでしょうか。

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