恋人岬で見る絶景 【土肥温泉】 源泉かけ流しの旅


出典:伊豆市観光協会土肥支部
2025年12月11日更新

この記事を書いた人

湯あがり ぽか子

温泉大好き40年のベテラン。「一湯一会」を逃さないために、常に手ぬぐいを持ち歩いています。長年の経験で、お湯を触っただけで大体の泉質がわかる特技を持ちます。温泉好きが高じて、温泉ソムリエ・温泉観光アドバイザーの資格を取得。日本の宝である「温泉文化」を皆さんにお伝えできることが喜びです!

湯の花亭×恋人岬という並びに、土肥らしさがすっと立ち上がります。
海と温泉が隣り合う町で、源泉かけ流しの湯に身を沈め、夕刻は岬で駿河湾の光に見とれる。
そんな一日の輪郭が、もう見えてくるはずです。
畳の感触や湯けむりの匂い、潮騒のリズムまで、旅がはじまる前から心地よく満ちていく。
肩の力を抜いて、海辺の温泉時間へ出かけましょう。

恋人岬の見どころと土肥温泉ステイの相性


出典:伊豆市観光協会土肥支部

岬へは海沿いの遊歩道が続き、先端には鐘が待っています。澄んだ日には駿河湾の向こうに名峰を望むこともあり、海風と潮の香りが旅の体温を上げてくれます。

遊歩道の木道を踏むたび、波の音が足もとから寄せては返すようです。夕刻、水平線が金色に染まる時間帯は思わず息をのむ美しさです。

土肥温泉から足をのばしやすい立地で、入浴前後の軽い散策にもほどよい距離感です。写真を一枚、深呼吸をひとつ、そんな寄り道が似合います。

駐車場や売店の案内も整い、滞在の合間に訪れる小さなエクスカーションとして相性は抜群です。温泉の余韻と岬の余白が、旅をやわらかく結びます。

「湯の花亭」で味わう土肥温泉 源泉かけ流し


出典:伊豆市観光協会土肥支部

館内は畳敷きの趣で、素足に伝わるやわらかな感触が印象的です。大浴場や露天の湯処では源泉かけ流しの湯が満ち、潮騒が背景音になります。

客室や館内の一部からは海の広がりを感じられ、湯上がりの肌に風が心地よく触れます。浴槽へ注がれる湯は新鮮で、湯面にきらめく光もまたごちそうです。

食事や滞在導線もシンプルで、入浴と休息のリズムが自然に整います。朝な夕なに湯を重ねると、体の芯から緩んでいくのがわかります。

海辺の温泉宿らしい解放感と、畳の落ち着きが同居する時間です。小さな音まで静かに響き、記憶に残る湯の一頁になります。

「牧水荘 土肥館」の湯心地と源泉かけ流し


出典:伊豆市観光協会土肥支部

館内には大浴場や露天、貸切風呂など複数の湯処が用意され、源泉かけ流しの心地よさをたっぷり味わえます。湯の鮮度を大切にした注ぎと湯替えの姿勢が伝わります。

湯舟ごとに趣が異なり、時間帯をずらして入り比べる楽しみもあります。湯上がりには肌にやさしい被膜感が残り、体がほどけていくようです。

貸切風呂はプライベートな入浴に重宝し、静けさに守られて湯と向き合えます。館内回遊のしやすさも程よく、滞在のリズムが保たれます。

夕食前に一度、就寝前にもう一度と、自然に湯へ足が向かうのが不思議です。旅の時間が、湯の温度でゆっくり刻まれていきます。

「坂聖・玉樟園」の趣と土肥温泉 源泉かけ流し


出典:伊豆市観光協会土肥支部

日本庭園を抱く和のしつらえが穏やかで、館に入ると空気の密度が少し変わるのを感じます。庭に面した湯処や落ち着いた内湯で、源泉かけ流しのやわらぎに包まれます。

木肌の香りや湯の音が静かに交差し、まるで時間が緩慢になるようです。貸切風呂の利用もでき、ふたり時間や家族時間がやさしく深まります。

湯上がりには庭の緑が目に涼しく、季節の移ろいがそのまま絵になります。建物の歴史が漂う佇まいも、湯の記憶を重ねる良き器になります。

派手さはないのに印象が長く残るのは、湯の真っ直ぐさと空間の品の良さゆえでしょう。静けさの中に、旅情が静かに満ちていきます。

土肥温泉の源泉かけ流し温泉の概要


出典:伊豆市観光協会土肥支部

海辺に湧く土肥の湯は、宿ごとに個性を見せながら源泉かけ流しで提供される施設が多いエリアです。湯の性格は塩分やミネラルを含み、入浴後の温まりやすさが旅人にうれしい点です。

海に近い立地ゆえ、湯舟から潮の気配を感じられる場面もあります。各宿の浴槽や注湯方式は記載に沿い、鮮度を大切にした使い方が目に留まります。

湯量や源泉の取り回しは宿の自家源泉を中心に構成され、浴槽サイズに見合う配湯で心地よさが保たれます。季節や時間で湯温や体感が少し変わるのも、温泉らしい表情です。

土肥の旅は湯と海が交わる体験で、入浴の余韻に夕景を重ねる楽しみがあります。湯気の向こうに広がる色と音が、記憶をそっと温めます。

泉質はカルシウム・ナトリウム−硫酸塩・塩化物泉(弱アルカリ性低張性高温泉)で、効能は神経痛、筋肉痛、関節痛、打ち身、慢性消化器病、冷え性、疲労回復、健康増進、きりきず、やけど、慢性皮膚病、慢性婦人病です。

源泉温度は約45〜60℃で、pH値は約7.8〜8.6で、湧出量は各施設の自家源泉で毎分100〜300リットル規模の駿河湾に沈む夕陽を望む海辺の立地と、塩化物泉の保温・保湿性と硫酸塩泉の創傷治癒性をあわせ持ち、源泉かけ流しを楽しめる宿が多いことが特徴の温泉です。

旅の締めくくり


出典:伊豆市観光協会土肥支部

海と湯が隣り合う土肥では、入浴の心地よさが景色の美しさと響き合います。湯の花亭や牧水荘土肥館、坂聖・玉樟園で味わう源泉かけ流しは、それぞれの空間にふさわしい温度と香りを纏っていました。

恋人岬での一呼吸が、湯上がりの体にそっと馴染むのもこの土地ならではです。次はどの時間帯に湯へ浸かり、どの光の色を見に行こうか。

そんな余白を残して帰路につくと、もう再訪の計画が動き出しているはずです。心とからだをほどく休日に、土肥温泉は静かに寄り添ってくれます。