【上の湯温泉】 源泉かけ流し|北海道の秘湯「銀婚湯」


出典:公益社団法人 北海道観光機構
2026年1月21日更新

この記事を書いた人

湯あがり ぽか子

温泉大好き40年のベテラン。「一湯一会」を逃さないために、常に手ぬぐいを持ち歩いています。長年の経験で、お湯を触っただけで大体の泉質がわかる特技を持ちます。温泉好きが高じて、温泉ソムリエ・温泉観光アドバイザーの資格を取得。日本の宝である「温泉文化」を皆さんにお伝えできることが喜びです!

北海道南部、渡島半島の内陸部。山あいを縫うように続く道の先、二股川の流れに寄り添うように湯けむりを上げているのが、上の湯温泉です。

八雲町の市街地からさらに山へ分け入った場所にあり、目的地として訪れなければ辿り着かない静けさがこの温泉地の第一印象となります。

観光地として整えられた華やかさはなく、そこにあるのは森の気配と川の音、そして湧き続ける源泉の存在だけ。

上の湯温泉は移動の途中に立ち寄る湯ではなく、湯そのものに向き合うための場所です。

自然の中に身を置き、源泉かけ流しの湯に浸かることで、旅の速度がゆっくりとほどけていく。そんな時間がこの谷あいでは静かに流れています。

上の湯温泉から始まる、目的を決めない北海道の滞在


出典:銀婚湯

上の湯温泉
の周辺は観光地化された名所が密集するエリアではなく、北海道の原風景ともいえる静かな自然に包まれています。

温泉地の周囲には深い森や川沿いの道が広がり、特別な目的地を目指さなくても、歩くだけで心がほどけていくような時間を過ごせます。
季節によって表情を変える木々や、澄んだ空気の中を流れる水音は、湯上がりの感覚をより長く体に残してくれる存在です。

少し車を走らせれば、小さな集落や地域に根づいた生活の風景に出会えるのもこの土地ならではの魅力です。

道沿いに現れる牧草地や山並みはいかにも北海道らしく、移動そのものが旅の一部として感じられます。
観光名所を巡るというよりも景色を眺めながらゆっくりと車を走らせ、気になった場所で足を止める。そんな自由な過ごし方がよく似合います。

上の湯温泉の周辺観光は、「どこへ行くか」よりも「どう過ごすか」が主役です。
温泉で温まった体のまま自然の中に身を置き、何もしない時間を味わうこと。その静けさこそが、この地を訪れたあとに心に残るいちばんの旅の余韻になるでしょう。

銀婚湯。森と川に抱かれた、上の湯温泉の奥座敷へ


出典:銀婚湯

北海道南部、二股川の流れに沿って湧く上の湯温泉。
その中でもひときわ静かな存在感を放っているのが銀婚湯です。

山あいの道を進み、森が深さを増していくにつれて日常の輪郭が少しずつほどけていきます。

銀婚湯の魅力は自然との距離の近さにあります。
敷地内に点在する露天風呂は川のせせらぎや風に揺れる木々の音とともに湯に浸かる時間をつくり出し、湯そのものだけでなく、その場の空気ごと身体に染み込んでくるようです。

源泉かけ流しの湯は主張しすぎることなく、長く浸かっていられるやわらかさを持ち、歩き疲れた身体や張りつめた感覚を静かに解いていきます。

館内で過ごす時間もまた、銀婚湯の一部です。

派手な演出はなく、森とともに呼吸するような滞在が続いていきます。

上の湯温泉の中で湯と自然、そして時間そのものに身を委ねる。銀婚湯はそんな山あいの静けさを大切に味わいたい旅人に寄り添う一軒です。

上の湯温泉の四季。森と湯が呼応する時間

出典:公益社団法人 北海道観光機構

山あいの静かな谷に湧く上の湯温泉は四季の移ろいがそのまま滞在の質に重なっていく温泉地です。

春、雪解け水が川の音を強め、森に淡い緑が戻りはじめるころ、湯は冬の名残を抱えたやわらかな温もりを伝えてくれます。
ひんやりとした空気の中で浸かる湯は、身体を目覚めさせるような感覚があります。

夏は木々の緑が深まり、谷あいを渡る風が心地よい季節です。
日中は湿り気を帯びた森の空気に包まれ、夕刻になると気温が下がり、湯のぬくもりがいっそう際立ちます。
自然の音に耳を澄ませながら過ごす温泉時間は、都会の夏とは異なる静けさをもたらします。

秋には森が色づき、川沿いの景色に奥行きが生まれます。
落ち葉の気配とともに浸かる湯はどこか名残惜しさを含み、季節の変わり目を静かに受け止めてくれます。
そして冬、深い雪に閉ざされる頃には外界の音が吸い込まれ、湯と向き合う時間がより濃密になります。

上の湯温泉の四季はただ景色が変わるのではなく、湯の感じ方や心の向きまでをゆっくりと変えていきます。
どの季節に訪れても、自然と湯が寄り添う時間が静かな記憶として積み重なっていくでしょう。

上の湯温泉の源泉かけ流し温泉の概要

出典:銀婚湯

上の湯温泉 源泉かけ流しは北海道長万部町の静かな山あいに湧き、新鮮な湯が惜しみなく注がれる点が魅力です。
湯船に身を沈めるとほのかな鉱物の香りとやわらかな当たりが広がり、肩まで包まれると息がゆっくり整います。

湯使いは加温や循環の有無など施設ごとの案内に沿って提供され、湯口からの落ちる音が心地よいリズムを刻みます。渓流や森に寄り添う浴場もあり、四季の気配が湯気に混じって漂います。

泉質はナトリウム-塩化物泉を主体とし、一部で炭酸水素塩成分を含む混合泉。

効能は神経痛・筋肉痛・関節痛・冷え性・慢性消化器病・疲労回復・切り傷・やけど・慢性皮膚病の適応症です。

源泉温度は概ね50〜60℃帯で、pH値は中性〜弱アルカリ性で、湧出量は非公表の自家源泉かけ流し主体と渓流沿いに点在する野天風呂の多彩さ、素朴な湯治場風情が特徴の温泉です。

湯旅の余韻

出典:銀婚湯

湯を上がり森の空気に身を戻すと、上の湯温泉の谷あいには静かな気配が満ちています。

川のせせらぎや、風に揺れる木々の音が先ほどまで湯に委ねていた身体へとゆっくり戻ってきます。

源泉かけ流しの湯でほどけた感覚はすぐには消えません。

歩幅が少しゆるやかになり呼吸が深くなっていることにふと気づく瞬間があります。

湯のぬくもりと森の静けさが重なり、心の奥に穏やかな余白が残っていきます。

日常へ戻ったあとも上の湯温泉で過ごした時間は湯気のように消えてしまうことなく、静かな感触として寄り添い続けます。

忙しさの合間にあの谷の空気や湯の記憶がよみがえり、また歩き出すための力をそっと与えてくれるでしょう。