【勝浦温泉】源泉かけ流し|ホテル浦島の忘帰洞へ


ホテル浦島
2025年12月23日更新

この記事を書いた人

湯あがり ぽか子

温泉大好き40年のベテラン。「一湯一会」を逃さないために、常に手ぬぐいを持ち歩いています。長年の経験で、お湯を触っただけで大体の泉質がわかる特技を持ちます。温泉好きが高じて、温泉ソムリエ・温泉観光アドバイザーの資格を取得。日本の宝である「温泉文化」を皆さんにお伝えできることが喜びです!

勝浦温泉の海気がふっと肌に触れ、ゆっくりと息がほどけていく。
名物の洞窟風呂「忘帰洞」を擁するホテル浦島へは、港から送迎船に乗り込み、波間を割って向かう小さな冒険も楽しい。
岸壁に砕ける音と湯けむりが混ざり合い、まるで海に抱かれているよう。
湯上がりの頬に潮の匂いが残ると、那智の滝や熊野の社へも足を延ばしたくなる。温泉と巡礼が同じ一日の中で響き合うのが、この町の心地よさだ。

那智の滝・熊野那智大社・青岸渡寺へ、心がすっと洗われる時間

出典:那智勝浦観光機構

那智の滝の山並みに抱かれた参道を上がると、杉木立の香りがふっと濃くなります。苔むす石段を踏みしめるたび、旅の足取りが静かに整っていくのを感じます。

滝音が近づくと胸の内まで風が通るようで、しぶきに触れた瞬間、日常のこわばりがほどけます。熊野那智大社の社殿は端正で、朱と緑の対比が目にやさしいです。

青岸渡寺の堂宇に腰をおろせば、遠くの海まで視界が抜けていきます。参道の途中にある大門坂では、石畳のリズムに合わせて心も歩幅を合わせたくなります。

ホテル浦島「忘帰洞」で味わう勝浦温泉の源泉かけ流し

出典:ホテル浦島

港の桟橋から送迎船に乗れば、海風が頬を撫でて数分で到着します。ホテル館内にはいくつもの湯処が配され、それぞれに海の表情が映ります。

名物の天然洞窟温泉忘帰洞は、海に面した岩肌の奥に湯が静かに満ち、湯面の向こうに太平洋がひらけます。波が洞内にやわらかく響き、耳まで温まるようです。

大浴場や露天風呂を巡るだけでも一晩が短く感じられます。客船の灯りが遠くに瞬く夜、更けゆく海とともに湯の温度がしみてきます。

南紀勝浦温泉ホテル中の島で、海に抱かれる源泉かけ流し

出典:那智勝浦観光機構

港から船に揺られて小島へ渡ると、日常の輪郭がふっと薄くなります。海を見晴らす露天風呂は、潮騒をBGMに湯の呼吸が静かに合っていきます。

湯舟の縁まで寄せる波と空の青さが、視界いっぱいに満ちます。湯上がりに風を受ければ、肌に残る塩の香りが旅の輪郭を濃くします。

客室やテラスからも海の表情が楽しめ、朝夕で色合いが変わります。港に戻る船の時間すら、小さなクールダウンのように感じられます。

季節ごとの楽しみ方―祭りと海景、そして勝浦温泉の源泉かけ流し


出典:那智勝浦観光機構

春は新緑が参道をやわらかく包み、湯上がりの頬に山の匂いが残ります。初夏からは港町の空気が一層にぎやかになり、海風とともに歩くのが心地よいです。

夏の夜空に光るイベントの日は、海面に映る灯が湯気に混じります。秋は社や石段の陰影が深まり、散策の後に湯のぬくもりが格別です。

冬は空気が澄み、波音がよく響きます。静かな季節こそ、洞窟風呂や海辺の露天で景色と向き合う時間が豊かになります。

勝浦温泉の源泉かけ流し温泉の概要


出典:那智勝浦観光機構

岬や湾に沿って宿が点在し、海景とともに湯を楽しめるのが勝浦温泉の持ち味です。洞窟風呂や海に近い露天など、個性ある湯処が旅の記憶をくっきりと刻みます。

湧く場所や浴槽によって趣が異なり、朝夕で表情が変わるのもここならではです。湯上がりに潮の香りが混じる感覚は、港町の温泉ならではのご褒美です。

泉質は含硫黄−ナトリウム−塩化物・炭酸水素塩泉(硫化水素型)を中心とする硫黄泉で、効能は神経痛・筋肉痛・関節痛・冷え性・疲労回復・きりきず・やけど・慢性皮膚病・慢性婦人病です。
源泉温度は高温泉(約60℃前後)で、pH値は弱アルカリ性(約8)で、湧出量は豊富な湯量の太平洋を望む洞窟風呂や海景露天、島の絶景露天を備える海辺の源泉かけ流しが特徴の温泉です。

旅の余韻

出典:那智勝浦観光機構

海と山の間で、湯と祈りが同じ呼吸をしているように感じました。洞窟に響く波音や、参道の杉の香りが、日常をほどく小さな鍵になります。

港から船で向かう移動も、旅の一部として胸に残ります。次はどの時間帯の海と湯に出会おうか、そんな想像が帰り道の足取りを軽くしました。

勝浦温泉の源泉かけ流しは、景色と一緒に記憶に沈みます。忘帰洞の名の通り、帰るのを忘れそうになるひとときが、ここにはあります。