【玉造温泉】源泉かけ流し|日本庭園と一体になった大露天風呂


出典:長楽園
2025年12月27日更新

この記事を書いた人

湯あがり ぽか子

温泉大好き40年のベテラン。「一湯一会」を逃さないために、常に手ぬぐいを持ち歩いています。長年の経験で、お湯を触っただけで大体の泉質がわかる特技を持ちます。温泉好きが高じて、温泉ソムリエ・温泉観光アドバイザーの資格を取得。日本の宝である「温泉文化」を皆さんにお伝えできることが喜びです!

玉造温泉は島根県松江市の玉湯町にあり、宍道湖に近い出雲文化の中心地として、神話や歴史の気配が今も息づく土地です。湖からの湿り気を含んだ風と穏やかな町並みが、温泉の時間をやさしく包み込みます。

玉造温泉の湯けむりに包まれる朝、肌にすっと寄り添うやわらかな湯が旅の景色を静かに整えてくれます。

長楽園で味わう日本庭園と一体になった大露天風呂は、ただ温まるだけでなく、その空間まで心に残る体験です。

庭に風が通る音、湯面から立つ白い息、頬にひとつ湯粒が残る瞬間。
そんな小さな余韻を集めるように、館内の時間と温泉街の寄り道をゆっくり重ねていきました。

玉作湯神社と勾玉橋、玉湯川沿いの小さな寄り道

出典:玉造温泉旅館協同組合/松江観光協会玉造温泉支部

温泉街を流れる玉湯川に沿って歩いていくと、玉作湯神社の森がやわらかく視界に入ってきます。

玉造の名が示すとおり、古くから勾玉づくりが行われてきた土地で、境内に足を踏み入れると、空気がすっと澄むのを感じます。社前に架かる勾玉橋は小ぶりながら印象的で、川面に映る曲線がこの土地の歴史を静かに語りかけてくるようです。

川沿いの小道を進めば、石畳や小さな足湯、和菓子店が点在し、寄り道の時間が自然と長くなります。湯上がりの体に外気が心地よく、歩くたびに温泉の余韻が少しずつほどけていきます。急ぐ理由のない散策は、景色や音を丁寧に拾い上げる余白を与えてくれます。

玉作湯神社と玉湯川沿いの道は、観光というより“立ち止まるための場所”。温泉で整えた心身を、そのまま静かな時間へとつなげてくれる、玉造らしい寄り道です。

佳翠苑 皆美で叶える、玉造温泉 源泉かけ流しの滞在

出典:佳翠苑 皆美

佳翠苑 皆美に足を踏み入れると、庭を渡る風や控えめな灯りが、滞在の時間をゆっくりと整えてくれます。

館内で味わう玉造温泉の源泉かけ流しは、肌に触れた瞬間からやわらかく、湯のぬくもりが角を持たずに広がっていくのが印象的です。湯上がりにはしっとりとした感触が残り、外気に触れても温かさが静かに続きます。

大浴場では、湯面に映る光や湯気の動きまでが穏やかで、長く浸かっても疲れを感じにくい心地よさがあります。
時間帯を変えて入浴すれば、朝の澄んだ空気、夜の静けさと、それぞれ異なる表情に出会えるのも魅力です。
湯から上がったあとは、庭を眺めながら一息つくひとときが、滞在の余白をやさしく満たしてくれます。

佳翠苑 皆美での源泉かけ流しの滞在は、温泉そのものを味わうだけでなく、時間の流れを穏やかに取り戻す体験。
玉造温泉のやさしさを、静かに深く感じられる宿です。

日本庭園と一体になった大露天風呂「長楽園」

出典:長楽園

長楽園の象徴は、日本庭園と溶け合うように広がる大露天風呂です。湯船の縁に身を預けると、視界いっぱいに庭の緑が広がり、季節ごとの色や光がそのまま湯面に映り込みます。源泉のやわらかな湯は肌あたりが穏やかで、長く浸かっても疲れを感じにくく、呼吸が自然と深くなっていきます。

庭を渡る風や、葉擦れの音が近くに感じられるのもこの露天ならではの魅力です。朝は澄んだ空気の中で湯の温もりが際立ち、夕刻には庭の陰影が深まり、時間の移ろいを静かに味わえます。湯上がりには、庭を眺めながら余韻に浸るひとときが待っています。

長楽園の大露天風呂は、温泉に入るという行為を、庭と対話する時間へと変えてくれる場所。源泉のやさしさと日本庭園の静けさが重なり、玉造温泉らしい奥行きのある滞在を印象づけてくれます。

玉造温泉ゆ~ゆと温泉街の足湯めぐり

出典:玉造温泉ゆ〜ゆ

玉造温泉の中心にある玉造温泉ゆ〜ゆは、温泉街のリズムをつくる拠点のような存在です。

館内の湯に身を沈めると、玉造らしいとろみのある湯が足先から静かに広がり、歩き疲れた体がゆっくりほどけていきます。湯上がりに外へ出ると、温泉街の空気がやわらかく感じられ、自然と足湯めぐりへと足が向かいます。

玉湯川沿いには小さな足湯が点在し、川のせせらぎや風の音が、湯の余韻に重なります。

腰を下ろして靴を脱ぐだけで、短い時間でも温泉の恵みを感じられるのが足湯の魅力です。散策の途中に立ち止まり、湯に足を浸すたび、体の芯に残っていた温もりが呼び覚まされていきます。

玉造温泉ゆ〜ゆと足湯を行き来する時間は、観光というより“間(ま)を味わう”ひととき。湯に浸かり、歩き、また湯に触れる。その繰り返しが、玉造温泉のやさしい日常を旅人の中にそっと残してくれます。

玉造温泉の源泉かけ流し温泉の概要

出典:佳翠苑 皆美

玉造温泉は肌あたりのやわらかさと湯上がりのしっとり感で知られる湯です。硫酸塩・塩化物の成分に支えられた温まりと保湿感が、旅の疲れを静かにほどきます。

泉質はナトリウム・カルシウム−硫酸塩・塩化物泉で、効能は神経痛・筋肉痛・関節痛・冷え性・慢性皮膚病・切り傷・やけど・美肌効果です。

源泉温度は約60〜70℃で、pH値は約8.1〜8.3で、湧出量は毎分3,000リットル級のメタケイ酸含有量が高く“美肌の湯”として知られる、やわらかな肌ざわりと掛け流し向きの豊富な湯量が特徴の温泉です。

旅の締めくくり

出典:島根県観光連盟

玉造温泉で過ごした時間を振り返ると、湯のやわらかさだけでなく、川の音や石畳の感触、立ち止まった足湯の温度までもが静かに思い出されます。

宿で深く浸かり、温泉街を歩き、また湯に触れる。その繰り返しが、旅の輪郭を少しずつなめらかに整えてくれます。

帰り道、体に残る温もりはやがて消えていきますが、心に残る余白は長く続きます。玉造温泉は、そんな余韻ごと持ち帰れる旅先です。