【嬉野温泉】源泉かけ流し|日本三大美肌の湯


出典:大正屋
2026年1月05日更新

この記事を書いた人

湯あがり ぽか子

温泉大好き40年のベテラン。「一湯一会」を逃さないために、常に手ぬぐいを持ち歩いています。長年の経験で、お湯を触っただけで大体の泉質がわかる特技を持ちます。温泉好きが高じて、温泉ソムリエ・温泉観光アドバイザーの資格を取得。日本の宝である「温泉文化」を皆さんにお伝えできることが喜びです!

和多屋別荘・大正屋・萬象閣 敷島という名宿が点在する嬉野温泉へ向かう道すがら、川面のきらめきと茶畑の緑が、少しずつ旅心を温めていきます。

佐賀の山あいにひらけたこの土地は、日本三大美肌の湯と呼ばれ、とろりとした湯ざわりが古くから親しまれてきました。

湯口から湧き続ける源泉かけ流しの音は、まるで深呼吸の合図のよう。
肌にそっと寄り添うやわらかな湯に身を沈めたあと、庭の気配や夜の静けさまでが一層濃く感じられます。

「嬉野温泉 源泉かけ流し」を軸に、宿と風景を歩くように辿っていく。そんな余韻を抱く旅です。

湯の外へ一歩。轟の滝公園や塩田津で嬉野の風景に出会う

出典:武雄嬉野カントリークラブ

湯の余韻をまとったまま外へ出ると、嬉野の景色は歩く速度に寄り添ってくれます。

轟の滝公園では、水が岩を打つ音が一定のリズムを刻み、深呼吸するたびに空気が澄んでいくのを感じます。
木陰に差す光や、足元を流れる水の冷たさが、湯上がりの体に心地よい余白をつくってくれます。

少し足を伸ばして塩田津へ向かえば、白壁の町並みと川沿いの静けさが迎えてくれます。
かつての往来を想わせる家並みを眺めながら歩くと、時間の層がゆっくりと重なり、視線は自然と低くなっていきます。
店先の気配や路地の影が、観光地というより生活の延長としての風景を伝えてくれます。

湯に浸かり、外へ出て、また立ち止まる。その往復が、嬉野の一日を穏やかに整えてくれる。

湯の外へ一歩踏み出すことで、温泉地の輪郭はよりやさしく、深く心に残ります。

「和多屋別荘」で味わう、湯に身をゆだねる時間

和多屋別荘

和多屋別荘の敷地に足を踏み入れると、まず感じるのは嬉野川の気配と、広がりのある空間がつくる余白です。

川沿いに建つこの宿は、温泉地の中心にありながら、外の賑わいから一歩距離を置いた静けさを保っています。

「二
万坪の小宇宙で過ごす、特別な時間。」

館内には回廊のような動線が巡り、移動そのものが気持ちを整える時間へと変わっていきます。

湯に身を沈めれば、嬉野温泉ならではのとろりとした湯が、肌を包み込むように広がります。
源泉のやわらかさは主張しすぎず、力を抜くほど体に深くなじんでいく感覚。
湯処は落ち着いた設えで、外光や湯気の揺らぎが、湯と向き合う時間を邪魔しません。

湯上がりには、体の芯に残る温かさとともに思考がゆっくり静まっていきます。
川を望む景色や館内の静かな空気が湯の余韻を受け止め、滞在全体をやさしく包み込みます。

多屋別荘で過ごす時間は、観光の拠点というより、湯に身をゆだねることそのものを目的にした滞在。嬉野の湯が持つ心地よさを、静かに、深く味わわせてくれます。

「大正屋」の源泉かけ流しと、凛とした庭の気配


出典:大正屋

大正屋の湯どころに足を運ぶと、まず庭の気配が先に立ち上がります。
整えすぎない緑の輪郭、石の置かれ方、風が通る間合い。その静けさを背景に、源泉かけ流しの湯が満ちています。
湯に身を沈めた瞬間、肌に触れる感触はやわらかく、嬉野らしいとろみが力を抜くほど深くなじんでいきます。

湯船の縁から望む庭は、時間帯ごとに表情を変え朝は光が葉を透かし、夜は灯りが影をつくります。
視線が自然と外へ導かれ、湯と景色がひと続きになる感覚。音は控えめで、耳に届くのは風と水のわずかな気配だけです。
長湯をしても重たさが残りにくく、呼吸が整っていくのがわかります。

大正屋の源泉かけ流しは、湯の心地よさに庭の緊張感が重なり、滞在の軸を静かに定めてくれます。
湯に浸かり、庭を眺め、また湯へ戻る。その往復が、嬉野の一日を凛とした余韻で結んでくれるのです。

「萬象閣 敷島」で出会う、多彩な湯処と温度のニュアンス

出典:萬象閣 敷島

萬象閣 敷島の露天風呂付き客室では、湯に触れる時間が暮らしの延長のように自然です。
扉を開ければすぐに湯があり、外気や光を感じながら、思い立った瞬間に身を沈められる。その距離の近さが、滞在の緊張をほどき、時間の輪郭をやわらかくします。

同じ源泉でも、朝と夜では温度の受け取り方が変わります。
朝は空気が澄み、湯の輪郭がくっきりと立ち上がり、夜は外気と混ざり合って角が取れていく。
湯気の揺れや、静かな気配が重なるほど、体は自然に自分の心地よさを見つけていきます。人目を気にせず、温度の微差に耳を澄ませられるのは、客室露天ならではです。

湯から上がれば、そのまま部屋へ戻り、窓の外の闇や灯りを眺めるだけ。
移動のない導線が、湯の余韻を途切れさせません。萬象閣 敷島の露天風呂付き客室で味わうのは、特別な演出ではなく、温度と静けさを自分のリズムで確かめる時間。その積み重ねが、嬉野の夜を深い余韻で満たしてくれます。

嬉野温泉の源泉かけ流し温泉の概要


出典:和多屋別荘

嬉野温泉は、肌あたりのやわらかさで記憶に残る湯です。湯ざわりはするりと指をすべらせ、湯上がりに衣を一枚脱いだような軽さを残します。

湧出地が点在するエリア全体で、源泉かけ流しの新鮮さに触れられるのが魅力です。「シーボルトの湯」も旅の合間に立ち寄りやすく、湯の個性に迷い込む入り口になります。

泉質はナトリウム-炭酸水素塩・塩化物泉(重曹泉)。
効能は美肌・保湿・角質除去・神経痛・筋肉痛・関節痛・冷え性・疲労回復・切り傷・やけどです。

源泉温度は高温で、pH値は弱アルカリ性で、湧出量は豊富な湯量のとろみ・ぬめりのある湯ざわりと入浴後のすべすべ感が顕著な美肌の湯が特徴の温泉です。

旅の余韻


出典:和多屋別荘

とろりとした湯ざわりに身を委ね、湯上がりに肌がしっとり落ち着く。そんな嬉野温泉ならではの感覚が、旅の終わりまで静かに寄り添います。

川沿いの宿で感じた水の気配、庭に落ちる光の移ろい、湯温のわずかな違いを確かめた時間。
その一つひとつが、嬉野が「湯を味わう温泉地」であることを教えてくれました。

帰り道、体の火照りはゆっくりほどけても肌に残るなめらかさや、湯の余韻は日常の中でふと立ち上がります。

嬉野温泉の旅は、派手な記憶ではなく、静かに続く心地よさとしてそっと暮らしに溶け込んでいきます。