那覇の海風に湯がほどける|【三重城温泉】源泉かけ流しの夜
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湯あがり ぽか子
温泉大好き40年のベテラン。「一湯一会」を逃さないために、常に手ぬぐいを持ち歩いています。長年の経験で、お湯を触っただけで大体の泉質がわかる特技を持ちます。温泉好きが高じて、温泉ソムリエ・温泉観光アドバイザーの資格を取得。日本の宝である「温泉文化」を皆さんにお伝えできることが喜びです!
沖縄本島南部、那覇市西の海沿い。那覇空港から市街地へ向かう途中、潮の気配がふっと濃くなる一帯がある。
街に近く交通量も多いはずの場所だが、海に面したこのあたりには時間の流れを緩める空気が残っている。
その海風の中に佇むのが、ロワジールホテル那覇。
館内に湧く三重城温泉は、都市の利便性と静かな湯の時間を同時に差し出す存在だ。
観光の途中に立ち寄る湯でありながら、そこには旅の芯を落ち着かせる深さがある。
目次
波の上ビーチと波上宮、那覇の海に触れる寄り道

ホテルからほどなく辿り着く波の上ビーチは那覇市内では貴重な砂浜を持つ海辺だ。
背後には街の建物が並ぶが、波打ち際に立てば視界は一気に開け、街の輪郭が遠のいていく。
その隣、断崖の上に鎮座する波上宮は沖縄の信仰と海との結びつきを今に伝える場所。
社殿から見下ろす海は観光地としての那覇とは異なる表情を見せる。
海と祈り、そして街。そのすべてに触れたあと温泉へ向かう流れがこの土地らしい一日を形づくる。
那覇の名産と食事、旅の余白を満たす味わい

那覇の街を歩いていると、どこからともなく漂ってくる香りに足を止めたくなります。
市場や食堂に並ぶ料理は豚肉を使った郷土料理や島豆腐、海ぶどう、近海で水揚げされる魚介など、この土地の暮らしに根ざしたものばかりです。
華やかさを前面に出すというより、滋味深く身体にすっとなじむ味わいが印象に残ります。
温泉で身体をゆるめたあとにいただく食事は、旅の余韻をそのまま引き継ぐような時間になります。
特別な一皿を求めるよりも、ふと立ち寄った店で出会う料理に身を委ねるほうが、那覇の空気にはよく似合います。
湯と食がゆるやかにつながることで、那覇で過ごす一日はより穏やかで記憶に残るものになっていくでしょう。
「ロワジールホテル那覇」三重城温泉 島人の湯、静けさに身を委ねる時間

那覇市西の海沿いに佇むロワジールホテル那覇は街に近い立地でありながら、館内に一歩足を踏み入れると、外の喧騒がやわらかく遠のいていく場所です。
旅の拠点としての利便性と、滞在そのものを楽しむための余白が、自然なかたちで共存しています。
館内に湧く三重城温泉の中でも、「島人の湯」は落ち着いた雰囲気を大切にした浴場です。
空間に身を沈めると、源泉かけ流しの湯が身体を包み込み観光や移動で高まっていた感覚が少しずつほどけていきます。
静かな湯に浸かりながら呼吸を整える時間は、一日の終わりを穏やかに締めくくるのにふさわしく、那覇で過ごす夜に深い安らぎをもたらしてくれるでしょう。
ロワジールホテル那覇と三重城温泉 海人の湯、外の気配とつながる湯時間

島人の湯で内側へと意識を落ち着かせたあと、もう一つの表情を見せてくれるのが三重城温泉「海人の湯」です。
ロワジールホテル那覇の中にありながら、こちらは外の気配をより身近に感じられる造りが印象的で、湯に浸かる時間そのものが那覇の空や海と緩やかにつながっていきます。
源泉かけ流しの湯に身を委ねながら空の色や時間帯の移ろいを感じていると、島人の湯とは異なる開放感が広がります。
同じ温泉でありながら、空間の違いによって心の向きが変わる。その変化もまた、三重城温泉の楽しみ方のひとつです。
内側を整える島人の湯に対し、海人の湯は視線を外へと解き放ち旅の感覚をゆるやかに広げてくれます。
二つの湯を行き来することで、ロワジールホテル那覇での温泉体験はより奥行きのあるものとして心に残っていくでしょう。
三重城温泉の源泉かけ流し概要
那覇市西の海沿いに湧く三重城温泉は火山性の温泉とは異なる成り立ちを持つ湯です。
地下深くに閉じ込められていた約800万年前の海水が地熱によって温められ、天然温泉として姿を現しています。
泉質は含ヨウ素・ナトリウム・塩化物泉に分類され、湯に触れると、わずかに塩味を感じるのが特徴です。
無色透明でクセの少ない湯ざわりは初めてでも入りやすく、源泉かけ流しでありながら肩肘張らずに浸かれる心地よさがあります。
塩分を含む湯は肌に薄く留まりやすく、湯上がり後もぬくもりが穏やかに続いていきます。冷えやすい身体を内側から温め、旅の疲れを静かにほどいてくれる感覚が残ります。
加温や循環に頼らず、自然のままの源泉を生かしている点も三重城温泉の大きな魅力です。
都市に近い場所でありながら、本来の温泉が持つ力と向き合える時間がここにはあります。
派手な主張をせず、ただ淡々と湧き続ける塩の湯は那覇で過ごす一日に静かな区切りを与え、旅の記憶にやさしく溶け込んでいくでしょう。
旅の余韻

湯から上がり、夜の空気に身を置くと那覇の街は昼とは違う表情を見せはじめます。
遠くに感じる海の気配と、静かに灯る街の明かり。そのあいだに立つと、時間の流れが少し緩やかになっていくのを感じます。
三重城温泉の湯は強く記憶を主張するのではなく、身体の奥にそっと残る感触として寄り添ってきます。
塩のぬくもりがまだ肌に残り、呼吸が自然と深くなる。そんな感覚が旅の終わりをやさしく受け止めてくれるのです。
日常へ戻ったあとも、ふとした瞬間に思い出されるのはあの夜の空気や湯の感触かもしれません。
那覇の海風とともに過ごした温泉の時間は、旅の記憶として静かに息づきまた立ち返りたくなる余韻を残してくれるでしょう。




