【然別湖畔温泉】源泉かけ流しと冬の主役・然別湖コタン


出典:公益社団法人 北海道観光機構
2026年1月24日更新

この記事を書いた人

湯あがり ぽか子

温泉大好き40年のベテラン。「一湯一会」を逃さないために、常に手ぬぐいを持ち歩いています。長年の経験で、お湯を触っただけで大体の泉質がわかる特技を持ちます。温泉好きが高じて、温泉ソムリエ・温泉観光アドバイザーの資格を取得。日本の宝である「温泉文化」を皆さんにお伝えできることが喜びです!

北海道十勝地方、鹿追町の山あいにひっそりと水をたたえる然別湖。

大雪山国立公園の南端に位置し、冬になると湖は深い静寂とともに厚い氷に覆われます。
その凍った湖上に、季節限定で姿を現すのが「しかりべつ湖コタン」です。

雪と氷だけで形づくられた村は、自然の厳しさの中にありながら不思議な温もりを宿しています。

昼と夜で表情を変え、寒さと静けさが際立つこの場所では旅の感覚そのものがゆっくりと研ぎ澄まされていきます。

しかりべつ湖コタンを訪れる時間は、冬の然別湖と真正面から向き合うための特別な入り口となるでしょう。

冬の主役・然別湖コタンへ。氷の村と湯の往復


出典:公益社団法人 北海道観光機構

十勝の冬が深まるころ、湖が完全に凍りついた静寂の上に現れるのが然別湖コタンです。

舞台となるのは大雪山国立公園の南端に位置する然別湖。氷と雪だけでつくられた家や通路、バーが並ぶこの“氷の村”は冬のあいだだけ姿を現し、季節が移ろうと再び湖へと還っていきます。

日中は透き通る氷越しに光が差し込み、白と青だけで構成された世界が広がります。
夜になると控えめな灯りが氷の輪郭を浮かび上がらせ、昼とはまったく異なる表情に変わります。
どこか非現実的でありながら、自然の営みの延長にある景色だと気づかされる時間です。

冷えきった身体をそのまま湯へと運ぶ。然別湖コタンと温泉を行き来する体験は冬の旅ならではの贅沢です。

氷の静けさと、源泉かけ流しのぬくもり。その往復によって寒さは厳しさではなく、記憶に残る質感へと変わっていきます。

冬の十勝でしか味わえないこの季節の主役が旅の輪郭をくっきりと描き出してくれるでしょう。

氷のグラスで味わう一杯。然別湖コタンのアイスバー

出典:しかりべつ湖コタン

冬の湖上に現れる然別湖コタンの中でも、ひときわ印象に残るのが氷でつくられたバーの存在です。

壁もカウンターもそしてグラスまでもが氷。凍てつく空気の中で足を踏み入れると音が吸い込まれたような静けさと、氷が放つ青い光に包まれます。

ここで提供されるお酒は冷やす必要がありません。氷のグラスに注がれた一杯は手に取った瞬間から指先に冷たさを伝え、ゆっくりと溶けながら味わいを変えていきます。

温度や香りの変化も含めて楽しむ時間は、お酒を飲むという行為そのものを特別な体験へと引き上げてくれます。

外は氷点下の世界。それでもバーの中で過ごすひとときには不思議と落ち着きがあります。

然別湖コタンのアイスバーは賑わいを求める場所ではなく、氷と向き合いながら静かに一杯を味わうための空間。

冷えきった身体を温泉へと運ぶ前の一幕として、この場所での時間は冬の旅の記憶に深く刻まれていくでしょう。

「然別湖温泉 ホテル風水」湖畔に泊まり、静けさを湯で受け止める


出典:然別湖温泉ホテル風水

大雪山国立公園の奥、湖畔に寄り添うように建つ然別湖温泉ホテル風水は、然別湖という場所そのものに泊まる感覚を味わえる一軒です。

窓の外に広がるのは季節ごとに表情を変える湖と山の稜線。昼は光を映し、夜は音を吸い込む静寂が滞在の時間をゆっくりと包み込みます。

館内の温泉は冷えきった身体を芯からほどくための存在です。

外気の厳しさを受け止めたあとに湯へ身を沈めると湖畔の静けさとぬくもりが重なり、感覚が自然な位置へ戻っていくのを覚えます。

派手な演出はなく、湖と向き合うための余白が保たれている点もこの宿らしさといえるでしょう。

然別湖コタンを訪れた日の夜、あるいは凍った湖を歩いた翌朝に湯へ向かう。その往復が冬の旅を立体的にしてくれます。

ホテル風水は然別湖の厳しさとやさしさの両方を受け止め、旅人を静かに迎え入れる湖畔の拠点です。

期間限定の湖上露天風呂「しかりべつ湖コタン」。氷の上で湯に浸かる特別な体験


出典:公益社団法人 北海道観光機構

冬、湖が完全に凍結したときだけ現れるのが然別湖コタンの湖上露天風呂です。

会場となる然別湖の氷の上に設えられた湯船はまさに期間限定の存在。足元には厚い氷、視線の先には白一色の湖と山々が広がり、日常とは切り離された世界に身を置くことになります。

氷点下の空気に身をさらしながら湯へ浸かると外の冷たさと湯のぬくもりがはっきりと対比され、感覚が研ぎ澄まされていきます。

湯気の向こうに広がる静寂は温泉というよりも自然と真正面から向き合う時間に近いものです。
昼と夜では表情も変わり、日中は澄んだ光の中で、夜は星空と闇に包まれながら湯を楽しめます。

しかりべつ湖コタンの湖上露天風呂は快適さを求めるための湯ではありません。

寒さを受け止め、その上で湯のありがたさを身体で知る。そんな体験こそがこの場所の本質です。

冬の然別湖でしか味わえない一幕として、旅の記憶に強く刻まれていくでしょう。

然別湖畔温泉の源泉かけ流し温泉の概要

出典:しかりべつ湖コタン

然別湖畔温泉 源泉かけ流しの湯は、湯そのものの力を味わいたい人に向きます。立ち寄り入浴や営業時間は施設ごとに異なるため、出発前に最新の案内を確かめると安心です。

泉質はナトリウム-塩化物・炭酸水素塩泉(含硫黄)。

効能は神経痛・筋肉痛・関節痛・五十肩・冷え症・慢性皮膚病・疲労回復・きりきず・やけど・慢性婦人病・糖尿病・動脈硬化症の適応症です。

源泉温度は約50〜60℃前後で、pH値は約8.2〜9.0(弱アルカリ性〜アルカリ性)で、湧出量は毎分数十〜百数十リットル規模の大雪山国立公園内・標高約810mの湖畔に湧く透明でやわらかな湯と湖一望の露天、冬季限定の氷上露天然別湖コタンの名物が特徴の温泉です。

旅の余韻

出典:公益社団法人 北海道観光機構

氷の上の湯を離れ、湖畔へ戻るころ、然別湖の静けさがゆっくりと身体に染み込んできます。

冷たい空気に触れながらも芯にはまだ湯のぬくもりが残り、歩くたびに感覚が穏やかに整っていくのを感じます。

しかりべつ湖コタンで過ごした時間は寒さと温もりの対比や、音の少ない世界の記憶として心に留まります。

氷の村、湖上露天風呂、そして夜の静寂。そのすべてが重なり合い、冬という季節そのものを味わった感覚があとから立ち上がってきます。

日常へ戻ったあともふとした瞬間に思い出されるのは、あの湖の白さや湯気の向こうの景色かもしれません。

然別湖での冬の体験は旅の終わりに静かな余白を残し、また寒い季節に立ち返りたくなる理由として 心の奥に息づいていくでしょう。