【塩原元湯温泉】源泉かけ流し|硫黄香る元湯で味わう静養の湯旅


出典:フォトAC
2026年02月03日更新

この記事を書いた人

湯あがり ぽか子

温泉大好き40年のベテラン。「一湯一会」を逃さないために、常に手ぬぐいを持ち歩いています。長年の経験で、お湯を触っただけで大体の泉質がわかる特技を持ちます。温泉好きが高じて、温泉ソムリエ・温泉観光アドバイザーの資格を取得。日本の宝である「温泉文化」を皆さんにお伝えできることが喜びです!

栃木県・塩原温泉郷の奥にひっそりと佇む塩原元湯温泉は、古くから湯治場として親しまれてきた“元湯”の名を冠する温泉地です。

渓谷に架かる吊り橋を渡り、山あいの道を進んだ先に現れるのは硫黄の香りをまとった源泉かけ流しの湯。

白濁した湯や泉質の異なる源泉が今も自然のままに湧き続け、訪れる人を静かな癒やしへと導きます。

もみじ谷の景観から老舗宿の湯までを辿りながら、塩原元湯温泉ならではの源泉かけ流しで心身を整える湯旅の時間を過ごしてください。

もみじ谷大吊橋紅の吊橋|渓谷美を渡り歩く、塩原随一の眺望散策

出典:栃木県観光物産協会

塩原温泉郷を代表する景勝地として知られるのが、もみじ谷大吊橋と紅の吊橋です。

深いV字谷に架かるもみじ谷大吊橋は全長約320メートルの歩行者専用吊橋で、足元に広がる渓谷とダム湖の景色を一望できる開放感が魅力です。

とりわけ紅葉の季節には谷全体が色づき、橋上からの眺めは塩原を象徴する風景として多くの人を惹きつけます。

一方、紅の吊橋は渓流沿いの遊歩道に溶け込むように架けられた小ぶりな吊橋で、水音や木々の気配をより間近に感じられる存在です。

二つの橋を歩き比べることで雄大さと親密さ、異なる渓谷の表情が浮かび上がります。

塩原元湯温泉へ向かう前にこの地を訪れれば、自然に身を委ねる感覚が静かに高まり、湯への期待を深めてくれることでしょう。

大出館|湯とともに時を重ねる、塩原元湯の老舗宿

出典:大出館

塩原元湯温泉に佇む大出館は、湯治場としての歴史と個性を今に伝える老舗宿です。

この宿を語るうえで欠かせないのが、日本唯一とされる名湯「墨の湯」の存在でしょう。

湯船には黒褐色の湯が満ち、その色合いはまるで墨を溶かしたかのように深く、静かな迫力を放っています。

泉質の個性は強くありながらも、肌当たりは意外なほどやわらかく、身体の芯までじんわりと温めてくれます。

館内にはほかにも性質の異なる源泉を引く浴場があり、入浴するたびに湯の表情の違いを楽しめるのも元湯ならではの魅力です。

自然に囲まれた露天風呂で過ごす時間は、硫黄の香りと山の気配が溶け合い、日常の感覚を静かにほどいていきます。

塩原元湯温泉の源泉かけ流し文化を象徴する宿として、大出館は今も変わらず湯そのものの力を伝え続けています。

元泉館|三種の源泉に浸る、元湯文化を今に伝える宿

出典:元泉館

塩原元湯温泉に湧く豊かな源泉を守り続けてきた元泉館は、温泉そのものの魅力を深く味わいたい旅人に選ばれてきた一軒宿です。

館内では性質の異なる複数の源泉を楽しむことができ、白濁した湯や透明感のある湯など湯色や肌触りの違いが入浴のたびに新鮮な印象を与えてくれます。

自然に囲まれた露天風呂では山あいの静けさに身を委ねながら、湯が身体に染み渡っていく感覚をじっくりと味わえます。

華やかさよりも湯治場として培われてきた実直な佇まいが心に残り、長く滞在するほどに元湯の良さが実感できる宿と言えるでしょう。

塩原元湯温泉の源流に触れるような体験がここには静かに息づいています。

季節ごとの楽しみ方—源泉かけ流しと景色のベストタイミング

出典:栃木県観光物産協会

塩原元湯温泉の源泉かけ流しは、季節といっしょに味わうと輪郭がくっきりします。

春は山肌が淡く芽吹き、軽やかな外気が湯上がりの火照りをやさしく冷ましてくれます。

夏は谷風が心地よく、早朝と夕方に歩けば汗の引きが早く、入浴リズムも整います。

秋は紅葉のピークを狙いつつも、人が少ない平日や朝の時間帯を選ぶと橋や遊歩道が穏やかです。

冬は冷たい空気が湯の温かさを引き立て、短い外歩きと湯への出入りを繰り返すだけで体が芯から温まります。
雪の可能性がある日は、足元と移動時間に余裕を。

源泉かけ流しと渓谷の光の重なりが、旅の記憶を濃くします。

塩原元湯温泉の源泉かけ流し温泉の概要

出典:大出館

塩原温泉郷の中でも元湯は、山の静けさと水の気配が濃い一角にあります。湧き上がる湯を循環に頼らず注ぎ、浴槽の縁から自然にあふれさせる素朴なスタイルが受け継がれています。

大出館と元泉館はいずれも、塩原元湯温泉の源泉かけ流しを大切に掲げる宿です。湯の香りや色合いの違いが肌に届き、同じ山の懐でありながら入浴の印象が少しずつ変わるのが面白いところです。

元湯一帯は渓谷と森に囲まれ、外気の冷暖が湯浴みの余韻を深くします。湯上がりに外を一歩歩けば、葉の匂いや川音がふっと戻ってきて、体温と景色が重なります。

泉質は含硫黄泉(硫化水素型)を主とする硫黄泉系とカルシウム・ナトリウム-硫酸塩・塩化物泉の混在。白濁湯と黒湯の共存 です。

効能は神経痛・関節痛・筋肉痛・慢性皮膚病・慢性婦人病・糖尿病・高血圧症・動脈硬化症・切り傷・やけど・冷え性です。

源泉温度はおおむね約45〜70℃の高温泉帯 で、pH値はおおむねpH3〜6.5の酸性〜中性域。

湧出量は自家源泉複数本による豊富な湧出量の塩原温泉郷発祥の地に伝わる硫黄香と濃厚なにごり湯、源泉かけ流し主体の山間の秘湯情緒が特徴の温泉です。

旅の余韻

出典:フォトAC

渓谷に架かる吊り橋を渡り、硫黄の香りを含んだ湯に身を沈める。

塩原元湯温泉の旅は、自然の造形と湯の力を順を追って身体に刻んでいく時間です。

白濁した源泉に浸かるうち、日常の感覚はゆっくりと薄れ、山あいに流れる静けさだけが残っていきます。

宿を出たあとも川音や湯の感触はふとした瞬間に思い出され、また元湯を目指して歩きたくなる。

そんな余韻こそが、この地が湯治場として愛され続けてきた理由なのかもしれません。