【浴衣の着方 動画付き】温泉旅館の浴衣の着こなしポイントとマナーを解説!
この記事を書いた人
ともきち
温泉が好きで、年に数回は友人や家族と国内旅行を計画し、色々な温泉地へ出かけています。温泉の中でも、濁り湯の露天風呂が特に好みです。旅先では、有名観光地や絶景スポットをひと通りまわり、地元の名物料理やお菓子の食べ歩きも欠かしません。旅好きならではの視点で、温泉地の情報や温泉にまつわる知識など、魅力あふれる記事をお届けします。
みなさんは温泉宿で用意されている「温泉浴衣」の着こなしに自信はありますか?中には、「きちんと着付けたつもりでも、なんとなくモッタリしてしまう」「ちょっと動くと着崩れてしまう」といったお悩みをお持ちの方もいるのではないでしょうか?そんな方もいくつかのポイントを押さえれば、温泉浴衣の着崩れ知らずになれますよ。今回は、美しく着こなすための温泉浴衣の着方や帯の結び方などのポイントをご紹介します。
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目次
温泉旅館の浴衣の着方
▼動画でチェック
1. 左右均等に浴衣をはおる
2. 左側の衣を右腰に巻き付け長さを決める
3. 右側の衣を左腰に巻き付ける
4. 3の右側の衣はその状態をキープしたまま、左側の衣を右腰に巻き付ける
5. 帯紐を結ぶ
【女性】温泉旅館の浴衣の帯の結び方
出典:PIXTA
次に、温泉浴衣の帯の結び方について説明します。
帯紐をする位置
正確な位置に帯紐をすることは、着くずれしないように着こなすための一番のポイントです。
温泉浴衣の帯は、1本で胸紐と腰紐の用途を担うため、腰紐の位置より少し上、胸紐の位置より少し下のくびれたウエストの細い部分に結びます。
寝る時は、帯結びが後ろにあると寝づらいので、前に回して寝るといいですね。
男性はウエストより下の腰の部分で帯を結びますが、女性が同じように結んでしまうと、胸元が開いてしまったり、ウエストより上の位置で結ぶと脚のあたりが開きすぎてしまいます。
だらしのない格好となってしまいますので要注意です。
帯紐の結び方
帯を結ぶ際は、羽織った浴衣を抑えるようにして帯の中心あたりを前からあて、その後ぐるっと帯を一周させ、そして結んでいきます。
結び方にルールはありませんので、簡単なリボン結び(蝶々結び)でもまったく問題ありません。
温泉浴衣の場合、帯が細くて長く、柔らかい場合が多いので、前で結ぶ「前結び」が一番収まりが良いでしょう。
結び目は右腰前あたりに持ってくると邪魔になりにくいです。
次に、おすすめの帯の結び方を3つご紹介します。
リボン結び(蝶結び)のポイント
▼動画でチェック
<完成例>
<結び方>
1. 帯を体に一周させたら、身体の前で1回ぎゅっと縛ります。
この時、横向きに縛るのではなく縦向きに縛り、下に伸びた方の帯をしっかりと引っ張ることが、着崩れを防止するのに重要なポイントです。
2. ぎゅっと縛ったら下の帯で輪を作る。
3. 上の帯をかぶせるようにリボン結び(蝶結び)し、右前に少しずらして完成です。
4. 最後にお好みの場所まで帯をずらしましょう。
元禄結びのポイント
▼動画でチェック
<完成例>
半幅帯の結び方「元禄(げんろく)結び」を前で結ぶ方法も、温泉浴衣におすすめです。
元禄結びは、先ほど説明したリボン結び(蝶結び)をちょっとだけアレンジするだけで、粋でシックな雰囲気を出せる結び方です。
<結び方>
1. まずは、リボン結び(蝶結び)を作ります。
2. 下に向いた「たれ」(輪になっていない帯の両端)を2つとも、リボン(蝶結び)の結び目と帯の間に下からくぐらせる。
3. 上に引き抜いて、リボン(蝶)の上に再度垂らせば完成します。
貝の口結びのポイント
▼動画でチェック
<完成例>
貝の口結びは、男性が着物や浴衣で帯を結ぶ際に使う代表的な方法ですが、女性でもキリッとした雰囲気の出せる帯の結び方です。
結んだ部分が平たくなるので、寝ころんだ場合にも邪魔になりません。
<結び方>
1. まず、浴衣に帯を巻きつける際には、30㎝ほどの手先(帯の端から30㎝)を取ります。
右腰に置くようにし、残りの帯を左側から後ろに回して一回転巻きます。
この時、手先の方を1周巻いた帯の内側に入れます。
帯のたれが、手先の長さとより長い場合は、内側に折って調節します。
2. 次にたれと手先を結びます。その際、たれが右上に出るようにしてください。
3. たれを半分に折る。
4. 右斜め上へ持ち上げ、手先を上からかけて下から巻き込みます。
5. 最後にたれと手先を2つとも上へ向けて完成です。
【男性】温泉旅館の浴衣の帯の結び方
帯紐をする位置
男性の場合、女性と違って、帯は低めの方がバランス良く着こなせます。
そのため、帯は腰骨にかけて巻くようにしましょう。
出典:PIXTA
女性のようにウエストの位置に締めると、裾が広がってしまう原因にもなるので気をつけましょう。
帯紐の結び方
リボン結び(蝶結び)のポイント
男性の場合も女性のリボン結びと同じですが、先ほど説明したように帯を締める位置が変わります。
1. まず、帯を腰骨にかけるように体に一周させた、身体の前で1回ぎゅっと縛ります。
女性の時と同様、縦向きに縛り下に伸びた方の帯をしっかりと引っ張ると、着崩れを防止できます。
2. ぎゅっと縛ったら下の帯で輪を作り、上の帯をかぶせるようにリボン結び(蝶結び)し、体の正面から少しずらして完成です。
3. 結び目を左向きに体の後ろ側に回して、背中の中心から左右どちらかに少しずらしたところにおいても。
最後に、帯がおへそ付近まで下がっているかどうかをチェックしましょう。
貝の口結びのポイント
出典:PIXTA
シンプルな形の貝の口結びは、パリッとした清潔な感じに仕上がり、男性に似合います。ほどけにくいのも、旅館で過ごすのにピッタリです。
1. まず、30㎝ほどの手先(帯の端から30㎝くらい)を取り、半分に折ります。
2. 手先を右腰の腰より下のあたりに添え、残りの帯を腰骨を沿うように左側から後ろに回して1〜2回転ほど巻きます。
この時、手先の方を1周巻いた帯の内側に入れます。
帯のたれが長い場合は、手先の長さと同じくらいの約30cmになるように、内側に折って調節します。
3. 次にたれと手先を結びます。その際、たれが右上に出るようにしてください。
4. 手先を半分に折り、左斜め上へ持ち上げ、たれを上からかけて下から巻き込みます。
5. たれと手先を2つとも上へ向けます。
右手で結んだところの中心を持ち、左手は後ろの中心を持って帯を後ろに回します。
6. 最後に、帯下の浴衣のしわを整え完成です。
浪人流しのポイント
出典:PIXTA
浪人流しは、結び目が小さく、背中に結び目が食い込まない結び方です。
そのため、椅子に座ったり寝ころんだりしても邪魔になりません。
1. まず、50㎝ほどの手先(帯の端から50㎝)を取ります。
2. 半分に折り曲げた手先の先端を、左腰骨の上あたりに当てます。
先端が、体の真横の位置より少し背中側になるようにすると、きれいな形に仕上がります。
3. 帯を1〜2周ほど巻きます。
帯のたれを、手先の長さと同じくらいになるように内側に折って調節します。
4. 次にたれと手先を結びます。その際、たれが上向きに出るようにします。
5. 幅の広い方の先端を上にかぶせ、巻いてある帯の間に入れます。
6. 結び目の形を整え、帯を時計回りに回して結び目を背中にします。
7. もう一度形を整えて、完成です。
温泉旅館の浴衣を着る際に気をつけたいポイント
出典:PIXTA
最初に、温泉浴衣の着方や選び方について、一般的な浴衣と同様に基本的に気を付けることと、温泉浴衣だからこそ気をつけたいことを説明します。
「右前」に着る
温泉浴衣も一般的な浴衣と同様、前身頃を合わせる際は「右前」に着ます。
これは、着るときに、右を先に入れるという意味なので、合わせた見頃の外側は自分から見て左側になります。着た時に右手が懐にスッと入ると正解です。
もし、逆の「左前」で着てしまうと死装束になってしまい、縁起が悪いので注意しましょう。
肌着を着る必要はない
浴衣の発祥は、平安時代に蒸し風呂に入浴する際に着用されていた、麻の着物「湯帷子(ゆかたびら)」といわれています。そのため、基本的に浴衣の中に着る肌着は不要です。
温泉浴衣の場合も、部屋の外に出る際は羽織や丹前(たんぜん)を着られるので、肌着なしでも大丈夫です。
もし、下着をつけてないのは不安という女性は、ワイヤー付きのブラジャーだと、着崩れの原因になってしまうこともあるので、パッド付きの下着のようなものを身につけることをおすすめします。
しかし、汗をかきやすい方は、汗を吸ってくれる肌着を着た方が快適に過ごせることもあるでしょう。
「衣紋抜き」はしない
一般的に着物や浴衣は生地がしっかりしていますが、温泉旅館の浴衣は生地が柔らかく作られています。
そのため、着物全般の着付けでおこなう、衿と首筋に空間を作る「衣紋抜き」は、温泉浴衣の場合はしません。
温泉浴衣で衣紋抜きをすると、だらしなく見えてしまい、着崩れの原因にもなります。首元が窮屈に感じず、うなじが少し見える程度が適切です。
左右の裾の長さを揃える
浴衣を羽織ったらお腹あたりにある両端をそれぞれ手で摘み、左右の裾の長さが同じになるよう調節しましょう。
これをきちんと行っておくと、動いた際の着崩れが予防されます。
羽織った際にくるぶしが見える長さがベスト
温泉浴衣のサイズは身丈の違いのみです。
一般の浴衣にある「おはしょり」がなく、対丈(ついたけ。身の丈と同じに布を裁って仕立てること) という男性物の浴衣と同じ作りになっています。
そのため、一般的な浴衣のように、おはしょりでの着丈調整ができません。
羽織った際にくるぶしが見える長さがベストですが、温泉浴衣はサイズがあってもS・M・Lサイズくらいの展開です。
もしサイズに合うものがない場合には、裾を引きずるよりは少し短めの丈の温泉浴衣を選ぶのが正解です。
温泉旅館の浴衣とセットである羽織の使い方
出典:PIXTA
旅館やホテルに泊まった際に、浴衣と一緒に用意されているのが「羽織(はおり)」です。
羽織の種類や素材、織り方
温泉旅館やホテルで提供される羽織の中で、一番よく見かけるのが、腰丈で袖がある「茶羽織」「半天(はんてん)」と呼ばれるものです。
腰丈で袖なしの羽織は、「陣羽織(じんばおり)」「袖なし半天」などと呼び、また、膝くらいまでの長い丈の羽織を「丹前」と呼びます。
素材は、一般的にウール・ポリエステル・アクリルの3種類。100%のものや混紡のものがあります。
また、織り方の種類も、一般的な平織りの他に、梨の皮のような細かい凹凸感を出す梨地織りなど、さまざま。
ちなみに、羽織の柄にシックなものが多いのは、色や柄が多様な浴衣に喧嘩せず、合わせやすいからです。
羽織の役割は防寒
どの種類の羽織も役割は、湯冷めを防止するための防寒着です。
丹前の中には綿が厚く入っているので、防寒性がより高くなります。
湯上がりだけに限らず、外出する際の防寒着としても活躍しますよ。
羽織の着方
羽織の正しい着方は、とってもシンプル。
ジャケットのように浴衣の上から重ねて着て、内側の浴衣の袖を整えたら、羽織の前についている紐(帯)を縛って完成です。
浴衣を着用せずに羽織を着たり、羽織の紐を締めずに着たりするのは、身だしなみ的にNGです。
浴衣を着た際に気をつけたいマナー
出典:PIXTA
浴衣を着て美しい立ち振る舞いができたら、さらに温泉旅行が楽しくなるでしょう。
ここでは、浴衣を着た際に気をつけたいマナーや所作を説明します。
しゃがむ時やイスに座る時は、両膝を揃える
片足を出したり足を広げたりすると、浴衣がはだけて足元があらわになってしまいます。
しゃがむ時は、両膝を揃え上半身を真っ直ぐしたまま腰を落とすと綺麗。
イスに座る時は、浅めに腰掛け背筋を伸ばして両膝を揃えて座りましょう。
食事の際、手を伸ばす時は浴衣の袖口を押さえる
食事の際に奥の物を取る時は、伸ばす方の浴衣の袖口をもう一方の手で軽く押さえます。
袖が邪魔にならずにすみ、袖の中の腕が丸見えになるのも防げます。
階段やトイレでは裾を持ち上げる
階段の上り下りをする際は、裾を踏んで転んだり階段で擦ったりしないよう、浴衣の外側の衣を軽く持ち上げながらゆっくり進みましょう。
トイレでは、裾を帯に挟むと便利。最初に外側の裾を、次に内側の裾を挟むと上手くできます。
トイレから出る際は、戻して整えるのをお忘れなく。
朝食の際は、身だしなみを整えて
一般的に、共同の食事処に、夕食や朝食に浴衣を着て行ってもマナー違反ではありません。
ただ、浴衣が着崩れていると他のお客さんに不快感を与えます。
さっと浴衣のシワを伸ばすなど、最低限の身だしなみはして行きましょう。
浴衣の上に羽織を着ると、シワなどが目立たず安心です。
ただし、旅館やホテルによっては、浴衣のまま客室外・宿外に出歩くのはNGの場合もあるので事前に確認しておくと安心です。
外出は浴衣でOK
温泉地では、旅館の浴衣で外出OKのところが多いです。寒くないよう羽織を着て出かけましょう。
旅館によりますが、下駄、ぞうり、ゴムスリッパなどの履物が用意されていることもあります。
温泉街の坂や石段などを、慣れない下駄やぞうりで歩くときは、転倒しないよう気をつけましょう。
食事のマナーと同様に、旅館やホテルによっては、浴衣のまま客室外・宿外に出歩くのはNGの場合もありますので、併せて事前に確認しておくと安心です。
素敵に温泉浴衣を着こなして、楽しい温泉旅行を!
出典:PIXTA
素敵な温泉旅館に泊まっても、温泉浴衣が着崩れないか心配しながら過ごしては、リラックスもできないでしょう。
今回ご紹介した温泉浴衣の着方や帯の結び方のポイントを参考に、素敵に温泉浴衣を着こなして温泉旅行を存分に楽しまれてください。