温泉経営者がおすすめする一度は泊まりたい温泉宿＃18 油谷湾温泉-ホテル楊貴館-

第18回目は山口県長門市にある「油谷湾温泉 ホテル楊貴館」

提供：油谷湾温泉 ホテル楊貴館（油谷湾の海岸に佇むお宿）

第18回となる今回は、前回インタビューさせていただいた三重県の鳥羽温泉郷「季さら別邸 刻（とき）」の上村さんがおすすめする、山口県長門市油谷伊上（ゆやいがみ）にある「油谷湾（ゆやわん）温泉 ホテル楊貴館（きようかん）」の経営者にインタビューしました。

油谷湾温泉 ホテル楊貴館は山口県の北部、日本海側の油谷湾の海辺に位置し、周辺は北長門海岸国定公園に指定される、風光明媚な景観の中に佇んでいます。

美しい海を眺める絶景展望風呂と、地産地消の旬の食材をふんだんに使った美味しいお料理など、心づくしのおもてなしで迎えてくれる温泉宿です。

お客様本位に地域共生での発展に尽力される「油谷湾温泉 ホテル楊貴館・岡藤 明史さん」

油谷湾温泉 ホテル楊貴館　取締役　岡藤明史（おかふじ あきふみ）さん

◇らくらく湯旅編集部（以降 編集部）：特別企画の第18回は「油谷湾温泉 ホテル楊貴館」の取締役である岡藤さんにお話を伺います。お忙しい中ありがとうございます。よろしくお願いいたします。

◆岡藤さん：とんでもないことです。こちらこそ、よろしくお願いいたします。

油谷湾周辺は国内外のメディアも注目する景勝地が盛り沢山

出典：PIXTA（東後畑の棚田）

◇編集部：油谷湾温泉ホテル楊貴館のある、山口県長門市の油谷湾温泉はどのようなところですか？

◆岡藤さん：当館は、山口県北部の日本海に面した長門市の西側、油谷伊上の油谷湾の海辺にある油谷湾温泉に位置しています。

目の前に広がる湾内は、向津具半島（むかつくはんとう）に囲まれているため、天然の良港となっています。何時もとても穏やかで、刻々と移ろう澄んだ海と空の表情を望める場所です。

周辺には、農林水産省主催の日本の棚田百選、ため池百選に選定されている「東後畑棚田（ひがしうしろばたたなだ）」「深田ため池」などの景勝地があります。

出典：PIXTA（角島大橋）

車で少し行けば、映画やCMのロケ地ともなっている「角島大橋（つのしまおおはし）」や、日本最大規模の鍾乳洞「秋芳洞（あきよしどう）」などの絶景スポットも沢山あります。

出典：PIXTA（「秋芳洞」）

◇らく湯旅：まさに一生に一度は観ておきたいという稀有な景観に囲まれる、この地の奥深さを感じますね。

地域と連携した温かなおもてなしの心で発展したお宿

提供：油谷湾温泉 ホテル楊貴館（夕日の油谷湾を眺める絶景の露天風呂）

◇編集部：つぎにお宿の歴史やこだわりなどについてお伺いできますでしょうか？

◆岡藤さん：当館の創業は、昭和48年です。

初代となる曽祖父が、この地に温泉が湧くことがわかり、自家源泉を掘って一軒宿を始めたことが、油谷湾温泉と当館の礎となります。

その後、この地域の皆様と自然の恵みと共に、2代目の祖父、3代目の父、当代4代目となる母と続き、私は、次期代表として経営に携わっています。

2023年には、おかげさまで創業50年を迎えることができます。

数百年も続くような長い歴史のある温泉宿ではありませんが、新しいからこそできるお客様本位の様々な取り組みをして、進化することにこだわりを持ってまいりました。

こだわり1「地域の方々とともに、この地ならではの素晴らしさを発信する活動」

その一つに、当館を支えてくれる地域や生産者の皆様と共に、この地ならではの素晴らしさを発信して行くことがあります。

提供：油谷湾温泉 ホテル楊貴館（ライトアップイベントで神秘的な光に包まれる「元乃隅神社」）

昨年は、地域観光の活性化を図りご滞在していただけることをテーマに、地域と連携して名所となった「元乃隅神社（もとのすみじんじゃ）」のライトアップイベントなども開催しています。

イベント以外でも、当館スタッフによる地域貢献として、お客様をお迎えする近隣駅の清掃活動も実施しています。

提供：油谷湾温泉 ホテル楊貴館（地元の銘酒を取り揃えている日本酒BAR「海と月」）

また、当館にお越しいただいたお客様へ地域の魅力を発信できる場所として、地元山口県の銘酒を取り揃えた日本酒BAR「海と月」を2021年にオープンしました。

当館は15:00チェックインとなっていますが、日本酒BAR「海と月」は14:00より営業しているため、チェックイン前からご利用いただけるようになっています。

「海と月」では、日本酒のほか、スパークリングワインやノンアルコールでウェルカムドリンクをお愉しみいただけます。

提供：油谷湾温泉 ホテル楊貴館（日本酒BARでは、海を眺めてウエルカムドリンクも愉しめる）

他にも、朝のうちに近くの景勝を愉しんでいただいた後でも、温泉で湯浴みをしていただけるよう、チェックアウトも12:00とゆとりを持たせています。

そうすることで、地域観光の拠点としてお宿をご利用いただけるよう配慮しています。

◇編集部：見事にコンセプトに沿った取り組みとなっていますね。

こだわり2「よりお客様にお寛ぎいただける環境づくり」

◆岡藤さん：もう一つのこだわりは、お客様をおもてなしする女性ならではの目線と繊細な気遣いで、お客様に喜んでいただくサービスをご提供することです。

このこだわりを実現するために、当館は女性が輝ける職場環境を築き上げています。

当館では私が経営に携わる以前から、社長や支配人をはじめ、サービス担当部長、労務人事部長、総務部長などの管理職に女性を登用して、リーダーシップを奮って活躍してもらっています。

提供：油谷湾温泉 ホテル楊貴館（日本酒BAR「海と月」の店長）

女性の目線ならではの発想で、岩盤浴や酸素バー、エステサロンといった人気の施設もご提供できるようになりました。

また、働きやすい環境作りから、育休しても職場復帰してくれるので、培われたサービス品質を維持できています。

そのおかげもあって、多くのリピーターのお客様よりご愛顧賜っています。

提供：油谷湾温泉 ホテル楊貴館（岩盤浴「沙羅沙」）

◇編集部：お客様は心地よい時間を、女性のスタッフは輝ける場所と、皆が笑顔になれる環境にあるのですね。

こだわり抜いた取り組みから、さまざまな賞も受賞

◇編集部：サービスや取り組みについて色々な賞を受賞されているとお伺いしました。

◆岡藤さん：おかげさまで、地域貢献や細やかなおもてなしにこだわった取り組みを、お客様目線で選出されるいろいろな団体の賞で、ご評価いただきました。

【2018年温泉総選挙】ではうる肌部門の1位（旅して日本プロジェクト主催）

【第13回みんなで選ぶ 温泉大賞(R)】では中国・四国エリアの1位（BIGLOBE主催）

【2021年旅館甲子園】スタッフと地域との強い繋がりで地域貢献が評価されてグランプリを受賞（全旅連青年部主催）

提供：油谷湾温泉 ホテル楊貴館

多様な滞在スタイルに対応する豊富なタイプのお部屋

提供：油谷湾温泉 ホテル楊貴館（美しい景観を望むお部屋の一例）

◇編集部：次に、お部屋のこだわりについてお伺いいたします。

◆岡藤さん：お部屋には、当館がご提供するサービスのコンセプトである「大切な人と、大切な時間を過ごせる宿」として、多様なスタイルのご滞在に対応することにこだわりを持っています。

海を眺めて和んでいただけるお部屋は、朝日側にある朝凪（あさなぎ）の棟と、夕日側にある夕凪（ゆうなぎ）の棟に、趣やタイプの異なる39部屋をご用意しています。

提供：油谷湾温泉 ホテル楊貴館（露天風呂のあるお部屋の一例）

お部屋のタイプは、メゾネットや客室露天風呂やジャグジーをご用意した特別室、PCデスクと大画面モニターを備えた新スタイルルームなどがあります。

提供：油谷湾温泉 ホテル楊貴館（メゾネットお部屋の一例）

気の合う仲間同士から親子三世代の旅行や、一人旅、ワーケーションなど、人数やスタイルに合わせてお選びいただけます。

◇編集部：さまざまなお部屋のタイプがご用意されていて、目的に沿って気兼ねなく羽を伸ばせそうですね。

絶景を愛でながら贅沢なひとときを過ごす美肌の湯

提供：油谷湾温泉 ホテル楊貴館（大浴場「玄宗の湯」の露天風呂からの景観）

◇編集部：次に温泉について教えてください。

◆岡藤さん：当館に湧く源泉は加水なしの100%天然温泉で、無色透明で匂いもないアルカリ性単純温泉です。

ph9.6と水素イオンの濃度が高く、いわゆる「美肌の湯」と言われる泉質です。

お湯はとろとろとした柔らかい質感で、湯上がり後はしっとりとした肌になります。

◇編集部：美肌効果に優れているのは、特に女性には嬉しい泉質ですね。

浴室にはどのようなタイプがあるのでしょうか。

◆岡藤さん：当館の名前もそうなのですが、この地に伝わる楊貴妃伝説に因んで、楊貴妃とその夫の名から、夕凪の棟には、大浴場として露天風呂も備えた「楊貴妃の湯」「玄宗（げんそう）の湯」をご用意しています。

提供：油谷湾温泉 ホテル楊貴館（夕凪の棟「楊貴妃の湯」の展望露天風呂）

提供：油谷湾温泉 ホテル楊貴館（夕凪の棟「楊貴妃の湯」の大浴場）

楊貴妃の湯には冷え性の方におすすめの炭酸風呂を、玄宗の湯には腰痛緩和などに良いとされる電気風呂を、それぞれに併設しています。

夜間に女湯・男湯を入れ替えますので、お越しになった当日と、ご宿泊の翌日に両方の浴室をお楽しみいただけます。

また、朝凪の棟には「展望大浴場」と「貸切風呂」もございます。

提供：油谷湾温泉 ホテル楊貴館（展望大浴場）

貸切風呂は、6〜7人のご家族でもゆったりと湯浴みできる大きさがあるので、気の合うご友人やご家族でゆっくりとお寛ぎいただけます。

提供：油谷湾温泉 ホテル楊貴館（朝凪の棟の完全予約制の「貸切風呂」）

他にも、お部屋のタイプによっては、客室露天風呂を設けたお部屋をご用意しております。

旬の食材をふんだんに使用したお食事

◇編集部：次にお料理についてのこだわりなどをお伺いできますでしょうか。

◆岡藤さん：お食事は、この地の食材を中心とした創作料理をご用意しています。

提供：油谷湾温泉 ホテル楊貴館（創作会席の一例）

海産物は、油谷湾で一本釣りしたケンサキイカ、長門市・下関のトラフグ、エビ、また農産物は、百種類以上の野菜を作付けしている契約農家からのものなどを中心に、旬の食材を使用しています。

提供：油谷湾温泉 ホテル楊貴館（長門市・下関のトラフグは、天然・養殖のいずれもご用意が可能）

提供：油谷湾温泉 ホテル楊貴館（別注料理の活イカの姿造り）

お食事どころは、個室の「料亭 あさ井」、夕凪の棟にあるお部屋食の取れる特別室などで、お召し上がりいただけます。

提供：油谷湾温泉 ホテル楊貴館（個室お食事処の「料亭 あさ井」）

また、多様なお客様ニーズにお応えできるよう、和風レストラン「あまのゆ」をご用意しています。

単品で料理をお召し上がりたいお客様や、ミールクーポン（食事券）付きのプランなどでご宿泊する際に、日本酒BARと併せてご利用いただくこともできます。

提供：油谷湾温泉 ホテル楊貴館（和風レストラン「あまのゆ」）

◇編集部：お食事においても、お客様本位に地域との結びつきにこだわられているのですね。

◆岡藤さん：食材については専任の仕入れ担当者が厳選していますが、私自身も直接仕入れに赴き、食材の細やかな話を伺って、新たな食材として検討することにも取り組んでいます。

他にも、地域と連携することで、お客様からのご要望で、地元の漁師さんに遊漁船を出していただき、イカの夜釣り、鯛やヒラマサの釣りを愉しんでいただくこともできます。

タイミングによっては、釣ったものを当館で調理することもあります。

提供：油谷湾温泉 ホテル楊貴館（地元と連携した遊漁船での釣り体験）

油谷湾温泉 ホテル楊貴館 岡藤さんがおすすめする温泉宿

◇編集部：「らくらく湯旅」ではリレー形式で温泉宿を紹介していきます。岡藤さんがおすすめする一度は行ってみたい温泉宿をご紹介いただけないでしょうか。

◆岡藤さん：うーん、素晴らしいお宿が沢山あって一つというのは難しいのですね（苦笑）…。

あえておすすめするなら、行きたいと思いながら未だに行けていない、兵庫県神戸市にある有馬温泉にある「有馬山叢 御所別墅（ありまさんそう ごしょべっしょ）」をおすすめします。

◇編集部：そちらのお宿をおすすめするポイントを教えてください。

◆岡藤さん：日本三名湯のひとつとされる素晴らしい温泉地であることをはじめ、こちらのお宿は歴史と伝統もあると伺っています。旅慣れた目の肥えた方も、ご納得いただけるおもてなしを提供するお宿であることが、行ってみたい理由です。

＜施設情報＞
有馬温泉　有馬山叢 御所別墅
・住所：兵庫県神戸市北区有馬町９５８
・電話：078-904-0554
・アクセス：
＜電車＞神戸電鉄-有馬温泉駅から、送迎あり
＜車＞阪神高速７号北神戸線の西宮山口南ICより約7分、有馬口ICより約6分
＜バス＞JRバス・阪急バス・神姫バスの有馬温泉から、送迎あり

温泉好き「らくらく湯旅」ユーザーへのコメント

◇編集部：最後に、「らくらく湯旅」ユーザーへ一言おねがいします。

◆岡藤さん：当館は、多様なお客様本位のご要望にお応えして、心より満喫していただけるよう、地域と連携してお迎えしています。

コロナ禍となっている今だからこそ、何度でもお越しいただけるように、常にレベルアップを図り、お客様にご満足いただけるよう邁進してまいりました。

また、自由に旅を楽しめる日が訪れることを心から願っています。

美しい自然の景観のなか心身を癒すお手伝いができるよう、おもてなしさせていただきますので、是非とも油谷湾温泉 ホテル楊貴館にお越しください。

◇編集部：本日はお忙しい中、お時間を頂戴いたしましてありがとうございました。

地域と連携しておもてなしすることに、徹底したこだわりを持ち、多くのお客様から高くご評価いただいている油谷湾温泉ホテル楊貴館の取り組みは、素晴らしいものと感じました。

ご自身にあった過ごし方がきっと見つかりそうな、油谷湾温泉 ホテル楊貴館に、足を運んでみてはいかがでしょうか。

＜基本情報＞
油谷湾温泉 ホテル楊貴館
・住所：山口県長門市油谷伊上10130番地
・電話：0837-32-1234
・ホームページ：http://www.hotelyokikan.jp/
・アクセス：
＜電車＞JR山陰本線-伊上駅から、送迎バスあり
＜車＞中国自動車道 美弥ICより約50分、下関ICより約70分