イメージは動く森!木の温もりを感じながら旅する列車「ゆふいんの森」で、由布院温泉へ


出典:PIXTA
更新日:2022年10月21日

この記事を書いた人

ともきち

温泉が好きで、年に数回は友人や家族と国内旅行を計画し、色々な温泉地へ出かけています。温泉の中でも、濁り湯の露天風呂が特に好みです。旅先では、有名観光地や絶景スポットをひと通りまわり、地元の名物料理やお菓子の食べ歩きも欠かしません。旅好きならではの視点で、温泉地の情報や温泉にまつわる知識など、魅力あふれる記事をお届けします。

九州は福岡の博多駅と大分の由布院駅・別府駅を結ぶ特急「ゆふいんの森」。「乗ることそのものを忘れられないイベントに」をコンセプトとしたD&S(デザイン&ストーリー)列車。そのコンセプトを実現した夢のような列車は、今日もたくさんの人をワクワクさせていることでしょう。今回は、実際に「ゆふいんの森」に乗車し、車内の様子や車窓を流れる景色、弁当や地元の銘菓、飲み物を味わえる車内グルメなどを体験しました。記事後半では、全席指定席の「ゆふいんの森」の予約方法も紹介していますので、最後までご覧ください。

【国内旅行をもっとお得に!】目的別おすすめカード
目的 飛行機・電車 宿泊
サービス \空も陸もこれ1枚/
JAL suicaカード
JALカードSuica
\No.1人気の定番/
楽天カード
楽天カード
おすすめ
ポイント
搭乗ボーナスあり
・入会時 1,000マイル
・毎年初回 1,000マイル
・搭乗毎 10%プラス
電車旅行がおトク
・新幹線 5%還元
・グリーン券 5%還元
空港も駅もワンタッチ
楽天トラベルと相性◎
・楽天ポイントが2倍
・1,000円割引クーポン
└毎月1回使える
└お盆や正月もOK
海外旅行保険が付帯
年会費無料で高還元
年会費 2,200円
(初年度無料)
永年無料
還元率 0.5~1.0%
(200円=1マイル)
1.0%
(100円=1pt)
ブランド JCB 各種カードブランド
入会特典 1年間年会費無料 最大5,000pt付与
公式HP 詳細を見る 詳細を見る

乗ってるだけで楽しめる観光列車の先駆け「ゆふいんの森」とは?

出典:PIXTA

「ゆふいんの森」は、移動手段としてではなく、乗ること自体を旅の目的とした観光列車の先駆けとなった列車。

列車の中にいながら九州の大自然の温もりを感じられ、由布院温泉の魅力がぎゅっと凝縮された「ゆふいんの森」に乗車することを旅の目的として、多くの人が訪れています。

ヨーロッパの保養地へ向かう高原列車をイメージして作られたという、ゆふいんの森。

グリーンに金色の帯が鮮やかに映えるレトロモダンなデザインが印象的です。

「ゆふいんの森」には、ゆふいんの森Ⅰ世(キハ71系4両編成)と、ゆふいんの森Ⅲ世(キハ72系5両編成)の2タイプの車両が使われています。

平成元年(1989年)のデビュー時から運行する車体が、ゆふいんの森Ⅰ世。後継のゆふいんの森Ⅲ世は、平成11年(1999年)に登場。

Ⅲ世のデザインを手がけたのは、九州を周遊する臨時高級寝台列車「ななつ星」のデザインでも知られる水戸岡鋭治氏です。

ゆふいんの森Ⅲ世は博多・由布院を1日2往復、ゆふいんの森Ⅰ世は博多・別府を1日1往復(月に数日運休)しています。

車体により前面デザインや側面の客室の窓の大きさが少し違います。

でも、どちらも客室が高い位置にあるハイデッカー構造なので、座席から車窓に広がる景色を存分に楽しむことができますよ。

外から見ると、一般的な電車より窓の位置が高いことがわかります。


ゆふいんの森の座席は2タイプ

ゆふいんの森の特急料金は1種類。

座席のタイプは一般的な4列並びの座席とボックスシートの2タイプとなっています。

4列並びの通常座席は、列車や号車ごとにシートや床、装飾品などのデザインも様々。

どの座席でも料金は同じなので、乗りたい号車や席があれば予約の時に席を指定しましょう。

選べる3種類のデザインで旅気分を盛り上げてくれる普通席

ゆふいんの森の座席は、どの車両も4列配置。

Ⅰ世とⅢ世、それぞれの車両ごとで座席や車内空間の雰囲気が変わります。

中でもおすすめは、ゆふいんの森Ⅲ世(本記事3枚目の写真)の植物をモチーフにしたデザインが森を思わせる雰囲気の座席。

ふかっとした程よいクッションの座り心地で、リラックス。

上下振動が少ない工夫がされているので、乗り心地も抜群です。

他に、白と黒のレトロポップな水玉やシックな深緑一色のシートなど、床や装飾品も含め、車両ごとに雰囲気が異なるのは面白いところ。

乗る度に車両を変更すれば、木漏れ日が溢れる優しい雰囲気や、深い森のような落ち着いた雰囲気など、違った空気感で旅を楽しめますよ。

グループ旅行に嬉しい「ボックスシート」

2号車には、3〜4人用のボックスシートがあります(料金は通常座席と同じ)。

折りたたみ式の広いテーブルに食べ物や飲み物を並べ、おしゃべりも弾みます。

背中には仕切り版もあるので、プライベート感もありますよ。


さぁ、乗車。木のぬくもりあふれる「ゆふいんの森Ⅲ世」で博多駅から由布院へ

今回は、福岡県にある博多駅から乗車。

さっそく、ホームへ向かいます。

ホームに佇む「ゆふいんの森」は、おしゃれ感満載!

乗車前に、列車との2ショットを記念撮影をして、いざ車内へ向かいます。

まるで吊り橋!車両移動ひとつにもワクワクが

入ってみてまず驚いたのは、乗車口から階段を登り、客席へ向かおうとした時、そこに現れたのは吊り橋!

車両の連結部分は吊り橋のデザインと、遊び心満載で、旅気分が盛り上がります。

いつもとは違う視点から望む車窓の景色に心も晴れ晴れ

さて、車両に入ります。

ハイデッカー構造なので、高い場所から車窓の景色を見晴らすことができ、気分は爽快。

車内も明るく開放的です。

前の座席とのスペースもゆとりがあるので、足を伸ばして十分くつろげます。

筑紫平野を抜けると、筑後川、その支流といくつも鉄橋を渡り、次第に緑の山々へと進んでいきます。

(車掌から見える筑後川)

(車窓から見る慈恩の滝)

天ヶ瀬駅を過ぎると、この旅一番の絶景スポット「慈恩(じおん)の滝」が現れます。

列車が徐行してくれるので、見逃しなく、写真もばっちり撮れます。

車内の説明パネルもチェックして、絶景をしばし満喫。

慈恩の滝は進行方向右に見えるので、右側の席を予約するのがおすすめです。

(車掌から望む耳納連山)

(車窓からの景色)

綺麗な青空と、自然豊かなのどかな雰囲気で心が落ち着きます。

他にも、プリンのような形をした「伐株山(きりかぶさん)」や、九州に唯一残されている扇形機関庫が残された「旧豊後森機関庫」なども見られます。

(車掌から見る伐株山)

(車窓から見る旧豊後森機関庫)

旧豊後森機関庫に訪れた観光客の方が手を振ってくれます。

このような交流も観光列車ならではの楽しみだったりしますよね。

180℃広がる大パノラマ展望席からの眺望は大迫力

先頭と後尾(1号車と5号車)には、展望席があります。

運転席が低めに作られているので、見晴らしは抜群。

最前部の席は、次々と迫ってくるような景色に圧倒されます。

流れゆく景色を眺めながらのんびり過ごせる、最後尾の席も良いですね。

ただ、左右のはじに大きめの柱がある車両もあります。

目の前に広がる景色をしっかり見たいなら、最前列・最後列の通路側の席がおすすめです。

自然に溶け込むような感覚で風景を楽しめる展望スペース

3号車右側には、片面が大きな窓になっている展望スペースがあります。

座席よりもさらに大きな窓で景色が楽しめるし、気分も変わっておすすめですよ。

左側の座席などで慈恩の滝がよく見えるか心配な方は、そのタイミングで展望スペースに行くと安心ですね。

大分の大自然を舌で感じる。心に沁みる優しい味わいの弁当が勢揃い

同じく3号車の進行方向左側は、ビュッフェになっています。

大分グルメが堪能できるお弁当や、沿線エリアの行列ができる人気店のスイーツや地ビールが購入できます。

今回は、「ゆふいんわっぱ」(720円)を選びました。

可愛いまん丸おにぎりが入り、彩鮮やか。

上品な味が染み込んだ野菜の優しい味に、ほっと一息つけます。

大分和牛をローストビーフ、しぐれ煮、厚切り肉の3種類で味わい尽くす「百年の恵み 牛華絢爛(けんらん)」(2,900円)も美味しそう。

お弁当は、完全予約制です。

注文したい方は、乗車の1ヶ月〜2日前までに電話で予約してください。

行列店のスイーツや飲み物も外せない!

行列のできる由布院の人気店「由布院ミルヒ」のドーナツ「ミルヒクラッフェン」(180円)や、程よい甘さでスカッと気分転換できる「ゆふいんサイダー」(260円)も魅力的。

行列に並ばずに味わえるのは嬉しいですね。

由布院美術館に併設したおしゃれなカフェ桐屋の「かぼすアイスクリーム」(410円)も人気です。

ゆふいんの森の途中停車駅にも、温泉や見どころが満載

「ゆふいんの森」の停車駅には、由布院駅以外にも訪れたい温泉や観光スポットがあります。

【久留米駅】ぬるぬるの肌触りの美人の湯を堪能「久留米温泉」

出典:PIXTA

福岡県の「久留米温泉」は、筑後川のほとりにある平野部には珍しい自噴温泉です。

日帰りでも宿泊でも楽しめる温泉施設や宿がたくさんあり、気軽に楽しめます。

泉質は、美人の湯と言われるアルカリ性単純硫黄泉。

甘い硫黄の香りが漂う湯は、ヌルヌルとする肌ざわり。

アトピー性皮膚炎、尋常性乾癬、慢性湿疹、表皮化膿症などの効能があります。

【天ヶ瀬駅】1,300年以上前に開湯されたといわれる歴史ある温泉地「天ヶ瀬温泉」

出典:PIXTA

大分県日田(ひた)市にある「天ヶ瀬(あまがせ)温泉」。

1,300年以上前に開湯されたといわれる歴史ある温泉地です。

筑後川の上流、玖珠(くす)川を中心とする温泉街には、共同露天風呂や温泉宿・施設が立ち並びます。

先ほどご紹介した慈恩の滝は、天ヶ瀬駅から車で約7分ほど。

タイミングがあえば、迫力ある滝のすぐそばを走り抜けるゆふいんの森に出会えるかもしれません。

【別府駅】まさに温泉大国!世界一の源泉数を誇る「別府温泉」

出典:PIXTA

ちなみに、ゆふいんの森Ⅰ世は、由布院の先、大分県にある「別府(べっぷ)温泉」まで足を伸ばせます。

別府温泉は、堂々の源泉数日本一。

別府市内には代表的な8つの温泉地があり「別府八湯」として親しまれ、それぞれ異なる泉質や風情が楽しめます。

街中からもくもくと湯気が立ち上がる風景は、国の重要文化的景観に指定され、NHKが募集した「21世紀に残したい日本の風景」でも富士山に次いで2位に選ばれています。

出典:PIXTA

別府温泉の観光名所といえば「地獄めぐり」。

赤・青・白…の地獄池から熱泥や噴気が立ち上る様子は、まさに地獄絵図のようです。

ゆふいん駅に到着!目の前に迫る由布岳とどこまでも続く青い空に気分爽快

博多から2時間10分ほどで、ゆふいん駅に到着。

黒塗りのモダンな木造駅舎は、大分県出身の建築家・磯崎新氏によるもの。

吹き抜けのロビーは、広々としていて気持ち良い!

改札口がない駅は全国でも珍しく、旅に来たという実感が一気に湧いてきました。

豊かな自然、老舗旅館、おしゃれなカフェと、伝統とモダンが絶妙に入り混じった由布院温泉を、楽しみ尽くします。

まずはやっぱり由布院温泉

由布院についたら、最初に楽しみたいのはやっぱり温泉。

由布院温泉は日本第2位といわれる約900もの源泉数と毎分38,600Lもの湧出量を誇ります。

由布院駅のホームには足湯も。列車を降りた瞬間から由布院温泉を楽しむことができます。

泉質は、刺激が少ない単純温泉や美人の湯として知られるアルカリ性単純温泉が中心。

神経痛、筋肉痛、疲労回復などの効能があるので、日頃の疲れをしっかりととってくれそうですね。

由布岳を眺めながらゆったりと過ごし、心身共にリラックスできました。

由布院で絶品グルメを堪能

由布院は、温泉だけでなく絶品グルメも有名です。

駅から続く「湯の坪街道」周辺には、食事処やカフェ、食べ歩きにぴったりのグルメが目白押し!

今回は、​温泉で空いた小腹を満たしに出かけます。

まず、初めに挑戦するのは、「金賞コロッケ本店」の「金賞コロッケ」(160円)。

全国コロッケコンクールで金賞を受賞したという、お墨付き。

サクサクっとした衣に、ホクホクのじゃがいもがたっぷり詰まっていて、確かに絶品です。

コロッケで小腹を満たしたら、次は甘いものを。

どら焼きや黒糖揚げまんじゅうで有名な「今泉堂」へ向かいます。

最近話題なのは「モンブランソフト」(743円)。

濃厚なモンブランと、地元産の牛乳で作られたソフトクリームのハーモニーはたまりません。

見た目も可愛いので、写真映えもしますね。

由布院は観光スポットも目白押し

おすすめの観光スポットの一つ目は、「今泉堂」からすぐのところにある「金鱗湖(きんりんこ)」。

紅葉のベストシーズンは、10月下旬〜11月中旬頃。

湖面にも赤や黄色が写り、辺り一面華やかな雰囲気に包み込まれます。

出典:PIXTA

冷え込んだ朝に朝霧が一面にかかる風景は、由布院温泉の象徴ともいえるもの。

泊まりがけで由布院へ出かけられる方は、その幻想的な世界をぜひ体験してみてください。

(画像中央の黒い建物がシャガール美術館)

金鱗湖の散策で立ち寄りたいのが、湖のほとりにある「シャガール美術館」(入館料:一般600円)。

サーカスをテーマにした幻想的な作品が、金鱗湖に面したロケーションにぴったり。

1階には食事やスイーツが楽しめるカフェやショップもあります。


予約方法と良い席をとるコツをご紹介

出典:PIXTA

「ゆふいんの森」は人気のため、特に休日は発売と同時に売り切れてしまうことも。

全席共通価格なので、倍率の高い見晴らしの良い席を撮りたいなら事前準備をしておきましょう。

ここでは、予約を取るためのコツを説明しますので、ぜひ参考にして実践してみてくださいね。

予約方法

特急券の予約は、「ゆふいんの森」に乗る予定日の1ヶ月前の10時に、インターネット・みどりの窓口・駅の自動券売機で同時に開始されます。

料金

ゆふいんの森の博多から由布院までの大人1名の片道料金(普通運賃+指定席特急料金)は、通常5,190円。

ネット限定の「九州ネットきっぷ」を購入すれば、片道4,080円。

往復割引の「ゆふいんのんびりきっぷ」を購入すれば、往復で8,070円とお得に乗車できます(インターネットと自動券売機のみで販売)。

区間ごとに購入すれば、天ヶ瀬など沿線駅への立ち寄りもできます。

良い席の予約を取るためのコツ

おすすめはインターネット購入です。

先ほどご紹介したように、割引でお得に購入もできます。

予約を素早く完了できるよう、発売開始前にJR九州Web会員(無料)になっておきましょう。

登録が済んでいると、予約の際に名前などの個人情報や決済方法などを記入する必要がなくなるので、早く購入へ進むことができます。

シートマップを見ながら予約ができるので、好みの車両や座席を好きに選べます。

ただし、悩んでいる間に良い席は埋まってしまう可能性があるので、あらかじめ狙いの席は決めておいた上で予約に挑みましょう。

気分は高原リゾート!「ゆふいんの森」で、思い出の旅へ出かけよう

実際に乗ってみて、「ゆふいんの森」が30年ものあいだ人気を持続し、走り続けていることに納得。

確かに思い出に残る旅になりました。

木の温もりに包まれた「ゆふいんの森」で、由布院温泉へ出かけてみてはいかがですか。