【渋温泉】源泉かけ流し|九湯めぐりを楽しむ
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湯あがり ぽか子
温泉大好き40年のベテラン。「一湯一会」を逃さないために、常に手ぬぐいを持ち歩いています。長年の経験で、お湯を触っただけで大体の泉質がわかる特技を持ちます。温泉好きが高じて、温泉ソムリエ・温泉観光アドバイザーの資格を取得。日本の宝である「温泉文化」を皆さんにお伝えできることが喜びです!
長野県山ノ内町に位置する渋温泉は1300年以上の歴史を持つ信州を代表する温泉地です。
石畳が続く温泉街には昭和レトロな風情が色濃く残り、浴衣姿で散策する温泉情緒を存分に味わえます。
渋温泉の魅力のひとつは、豊富な源泉を活かした本物の源泉かけ流し温泉です。
宿泊者限定で楽しめる9つの外湯「九湯めぐり」では、それぞれ異なる泉質の源泉かけ流し温泉を巡る贅沢な湯治体験ができます。
また、渋温泉から徒歩圏内には世界的に有名な地獄谷野猿公苑があり、温泉に浸かる野生のニホンザルの姿を観察できます。
渋温泉で昭和レトロな温泉旅を満喫してみませんか?
目次
石畳の温泉街散策|渋温泉のレトロな町並みと見どころ

出典:渋温泉旅館組合
渋温泉の温泉街は石畳が敷き詰められた細い路地が特徴的で、昭和の面影を色濃く残す風情ある町並みが広がっています。
温泉街の通りの両側には老舗旅館や土産物店、射的場などが軒を連ね、まるでタイムスリップしたかのような情緒を感じられます。
特に夜になると軒先に灯る温泉街の明かりが石畳を照らし、浴衣姿で散策する宿泊客の姿が風景に溶け込み、幻想的な雰囲気に包まれます。
温泉街の見どころとしてまず挙げられるのが「金具屋」の木造建築です。
国の登録有形文化財に指定された建物は、宮大工によって建てられた美しい木造四階建てで、ジブリ映画「千と千尋の神隠し」の油屋のモデルの一つともいわれています。
また、温泉街には複数の温泉饅頭店があり、できたての温泉饅頭を食べ歩きしながら散策するのも楽しみの一つです。
射的場やレトロな雰囲気の商店も点在しており、昭和ノスタルジーを感じながらのんびりと歩けます。
温泉街の中心には「渋大湯」と呼ばれる共同浴場があり、温泉街のシンボル的存在となっています。
渋温泉の源泉かけ流し温泉とは|歴史と泉質の魅力

出典:渋温泉旅館組合
渋温泉の歴史は古く、奈良時代の天平年間(729年~749年)に行基によって開湯されたと伝えられています。
1300年以上にわたり湯治場として栄えてきた渋温泉には、武田信玄が川中島の合戦で傷ついた兵士を湯治させたという言い伝えも残ります。
江戸時代には湯治客で賑わい、現在でもその伝統を受け継ぐ老舗旅館が数多く営業しています。
渋温泉の特徴は温泉街全体に豊富な源泉が湧き出ており、多くの宿が源泉かけ流しの温泉を提供していることです。
温泉街には37の源泉があり、温泉の総湧出量は毎分約3,000リットルに達します。
各旅館はそれぞれ独自の源泉を持ち、源泉温度が高いため加温の必要が少なく、新鮮な温泉を供給できる環境が整っています。
泉質はナトリウム・カルシウム-硫酸塩・塩化物温泉が主で、源泉によって微妙に成分が異なるのも渋温泉の魅力です。
豊富なミネラル成分を含む温泉は神経痛、筋肉痛、関節痛、冷え性、疲労回復など、多岐にわたる効能があるとされています。
九湯めぐりで楽しむ渋温泉の源泉かけ流し|外湯巡りの醍醐味

出典:渋温泉旅館組合
渋温泉の名物のひとつが、宿泊者限定で楽しめる「九湯めぐり」です。
温泉街に点在する9つの外湯はそれぞれ異なる源泉を使用しており、ほとんどが源泉かけ流しで提供されています。
各外湯には「初湯」「笹湯」「綿湯」「竹湯」「松湯」「目洗湯」「七操湯」「神明滝湯」「大湯」という名前が付けられ、それぞれに独自の由来と効能があります。
宿泊客は旅館でもらえる専用の鍵を使って、9つの外湯を自由に巡ることができます。
九湯めぐりは、浴衣に下駄履きで温泉街を歩きながら各外湯を順番に巡るスタイルが基本です。
各外湯は無料で利用でき、小さな浴槽ながら源泉かけ流しの新鮮な湯を贅沢に味わえます。
すべての外湯を巡ると「厄除け」や「満願成就」のご利益があるとされ、最後に渋高薬師に参拝して印受けをすることで願いが叶うともいわれています。
外湯によって温度や泉質が微妙に異なるため、自分好みの湯を見つける楽しみもあります。
九湯めぐりをする際はタオルを持参し、外湯のマナーを守ることが大切です。
外湯は地元の方々も利用する共同浴場であるため、石鹸やシャンプーの使用は禁止されています。
また、外湯には脱衣所しかなく、洗い場がない場合もありますので、宿の温泉で体を洗ってから巡るのがおすすめです。
地獄谷野猿公苑への拠点として|渋温泉から訪れる温泉に浸かるニホンザル

出典:渋温泉旅館組合
渋温泉から徒歩約30分、車で約5分の場所に位置する地獄谷野猿公苑は世界的に有名な観光スポットです。
標高850メートルの山間部にあるこの施設では、野生のニホンザルが温泉に浸かる姿を間近で観察できます。
温泉に入るサルの光景は「スノーモンキー」として海外でも広く知られ、多くの外国人観光客が訪れる人気スポットです。
地獄谷野猿公苑へのアクセスは渋温泉から上林温泉方面へ向かい、野猿公苑入口の駐車場から遊歩道を約30分歩いて到着します。
遊歩道は自然豊かな渓谷沿いに整備され、森林浴を楽しみながらのハイキングコースとしても人気です。
冬季は積雪があるため、防寒対策と滑りにくい靴が必須ですが雪景色の中で温泉に浸かるサルの姿は格別の美しさです。
野猿公苑を訪れるベストシーズンは雪が降る12月から3月です。
真っ白な雪景色の中、湯気の立つ温泉でのんびりと温まるサルたちの姿は、見ているだけで心が和みます。
ただし、サルは野生動物であるため必ず温泉に入っているとは限りません。
比較的寒い日や午前中の方が温泉に入る確率が高いとされています。
渋温泉に宿泊すれば朝早くから野猿公苑を訪れ、その後温泉街でゆっくり過ごすことも可能です。
渋温泉の源泉かけ流し温泉の泉質と効能|詳細データ

出典:渋温泉旅館組合
渋温泉の源泉かけ流し温泉は豊富な成分と高温を誇る良質な温泉です。
温泉街全体に37の源泉が点在し、各旅館や外湯がそれぞれ独自の源泉を利用しているため、場所によって微妙に泉質が異なるのが特徴です。
多くの旅館で加水・加温・循環なしの源泉かけ流しを採用しており、新鮮な温泉が常に浴槽に注がれ、溢れ出る贅沢な湯使いは、渋温泉ならではの魅力といえます。
渋温泉の源泉かけ流し温泉詳細データ
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 泉質 | ナトリウム・カルシウム-硫酸塩・塩化物温泉 |
| 効能 | 神経痛、筋肉痛、関節痛、五十肩、運動麻痺、関節のこわばり、うちみ、くじき、慢性消化器病、痔疾、冷え性、病後回復期、疲労回復、健康増進、きりきず、やけど、慢性皮膚病など |
| 源泉温度 | 約50℃〜90℃(源泉により異なる) |
| pH値 | 弱アルカリ性(pH 7.5〜8.5程度) |
| 湧出量 | 豊富(温泉街全体で毎分約3,000リットル) |
| 特徴 | 37の源泉があり、9つの外湯それぞれが異なる源泉を使用。加水・加温・循環なしの源泉かけ流しが基本 |
| 参考 | 渋温泉旅館組合 |
この豊富な湯量と高温の源泉により、渋温泉では真冬でも加温せずに適温の温泉を楽しめます。
渋温泉の魅力

出典:渋温泉旅館組合
渋温泉は1300年以上の歴史と豊富な源泉に恵まれ、多くの宿で源泉かけ流し温泉を満喫できる温泉地です。
石畳が続くレトロな温泉街の散策、宿泊者限定の九湯めぐりによる湯治体験、そして世界的に有名な地獄谷野猿公苑での野生のニホンザル観察など、多彩な楽しみ方が可能です。
多くの旅館で加水・加温なしの源泉かけ流しを採用し、独自の源泉を持つ宿もあるという贅沢な環境は、温泉愛好家にとって魅力的です。
浴衣姿で温泉街を歩き、外湯を巡り、新鮮な源泉かけ流し温泉で心身ともに癒される。
そんな極上の温泉旅行を、ぜひ渋温泉で体験してみてください
。四季折々の自然美と温泉情緒が調和した渋温泉は、何度訪れても新たな魅力を発見できる奥深い温泉地です。



