【川俣温泉】源泉かけ流し|渓谷美とともに味わう湯の時間


出典:フォトAC
2026年02月05日更新

この記事を書いた人

湯あがり ぽか子

温泉大好き40年のベテラン。「一湯一会」を逃さないために、常に手ぬぐいを持ち歩いています。長年の経験で、お湯を触っただけで大体の泉質がわかる特技を持ちます。温泉好きが高じて、温泉ソムリエ・温泉観光アドバイザーの資格を取得。日本の宝である「温泉文化」を皆さんにお伝えできることが喜びです!

日光国立公園の奥深く、切り立つ渓谷に抱かれるように佇む川俣温泉は自然とともに湯を育んできた山あいの温泉地です。

瀬戸合峡の迫力ある景観や大地の鼓動を感じさせる間欠泉など、この地には温泉が湧く理由そのものを実感できる風景が広がっています。

そんな環境の中で湧き続けるのが、手を加えず自然のままに注がれる源泉かけ流しの湯。

川音に耳を澄まし、湯に身を沈める時間は日常の感覚をゆっくりと手放していくひとときです。

瀬戸合峡|切り立つ断崖が描く、川俣温泉郷随一の渓谷美

出典:日光市観光協会

川俣温泉郷の入口に広がる瀬戸合峡は、鬼怒川上流が長い年月をかけて刻み込んだ迫力ある渓谷です。

両岸には高さおよそ100メートルにも及ぶ断崖が連なり、その間を縫うように川が流れる景観は思わず足を止めて見入ってしまうほどの迫力を備えています。

遊歩道や吊り橋が整備されており、谷底を見下ろしながら歩くことで瀬戸合峡のスケール感を間近に体感できます。

新緑がまぶしい初夏、岩肌と緑のコントラストが映える夏、そして紅葉に染まる秋と、季節ごとに表情を変えるのも魅力のひとつです。

川俣温泉へ向かう道中でこの峡谷を訪れれば、自然の力強さに触れることで気持ちが切り替わり、これから始まる湯の時間への期待が静かに高まっていくことでしょう。

 

川俣温泉 間欠泉|大地の鼓動を間近に感じる、温泉地ならではの自然現象

出典:川俣温泉 蔵

川俣温泉郷を訪れると湯の恵みが大地から生まれていることを実感させてくれるのが、川俣温泉の間欠泉です。

一定の周期で地中から熱湯や蒸気が噴き上がるこの現象は火山活動の名残を今に伝えるもので、人工的な演出では得られない迫力があります。

噴き出す音や立ち上る湯けむりを目の当たりにすると、静かな山里の風景の奥に確かな地球のエネルギーが息づいていることに気づかされます。

温泉街のほど近くで見学できるため、散策の途中に立ち寄りやすく、川俣温泉が“湧く場所”であることを体感できる貴重なスポットです。

湯に浸かる前にこの間欠泉を眺めれば、これから触れる温泉の背景がより立体的に感じられ、川俣温泉郷での滞在に深みを与えてくれるでしょう。

日光国立公園 川俣温泉 蔵|渓谷に溶け込む共同浴場

出典:川俣温泉 蔵

日光国立公園内に位置する川俣温泉の「蔵」は渓谷沿いに静かに佇む共同浴場です。

名前の通り蔵を思わせる簡素な外観で、観光施設としての装いはほとんどありません。

その佇まいこそが、川俣温泉が本来持つ湯治場としての性格を今に伝えています。

浴槽には源泉かけ流しの湯が注がれ、湯けむりの向こうには鬼怒川の流れと切り立つ岩壁が迫ります。

派手な演出はなく、あるのは湯と自然だけ。

湯に身を沈めて耳を澄ますと水音や風の気配がそのまま届き、時間の感覚がゆっくりとほどけていきます。

川俣温泉を訪れるなら、この「蔵」での一湯は温泉地の本質に触れる体験として旅の記憶に深く刻まれることでしょう。

川俣温泉の源泉かけ流し温泉の概要

出典:川俣温泉 蔵

川俣温泉 源泉かけ流しは、日光の山深く、奥鬼怒温泉郷と湯西川の狭間に佇む温泉地に広がります。
山峡の静けさと渓谷のせせらぎが旅人を落ち着かせ、湯の湧く気配をそこかしこに感じます。

多くの湯船で湯が注がれ続け、満ちては溢れる循環のない流れに身を預ける時間が心地よいです。宿に腰を据えて湯あみを重ねれば、体の奥にじんわり熱が灯り、眠りまで穏やかになります。

泉質は硫黄泉を主とする混在泉質(単純硫黄泉/含硫黄-カルシウム-硫酸塩泉/含硫黄-ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩泉 など)。
効能は慢性皮膚病・切り傷・糖尿病・動脈硬化・高血圧・神経痛・関節痛・筋肉痛・冷え性・疲労回復です。

源泉温度は高温泉主体(40℃以上の源泉を中心とする傾向)でpH値は弱酸性〜中性。

湧出量は自噴を含む豊富な湧出量の自家源泉群の奥鬼怒の山峡に点在する秘湯情緒と白濁の硫黄香、渓谷を望む野趣あふれる大露天、鮮度重視の源泉かけ流し文化が特徴の温泉です。

旅の余韻


出典:日光市観光協会

切り立つ断崖に挟まれた渓谷を歩き、大地の息づかいを伝える間欠泉に立ち止まり、そして静かな湯に身を委ねる。

川俣温泉の旅は自然の力を段階的に身体へ染み込ませていくような時間です。

川音に包まれながら源泉かけ流しの湯に浸かると日常で張り詰めていた感覚が少しずつほどけ、思考は静けさの奥へと沈んでいきます。

派手な観光地では得られない、自然と向き合う濃密な時間がここにはあります。

旅を終えたあとも渓谷の風景や湯のぬくもりは余韻として心に残り、またこの山深い温泉郷を訪れたくなる。
川俣温泉はそんな静かな記憶を旅人に残してくれる場所です。