【山代温泉】源泉かけ流し|山代温泉で出会う美と静寂
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湯あがり ぽか子
温泉大好き40年のベテラン。「一湯一会」を逃さないために、常に手ぬぐいを持ち歩いています。長年の経験で、お湯を触っただけで大体の泉質がわかる特技を持ちます。温泉好きが高じて、温泉ソムリエ・温泉観光アドバイザーの資格を取得。日本の宝である「温泉文化」を皆さんにお伝えできることが喜びです!
朝の光がやわらかい時間、山代温泉の古総湯で一番湯に浸かり、夕暮れは総湯で湯けむりに包まれる。源泉かけ流しのぬくもりが一日の呼吸を整え、湯の曲輪を歩けば石畳の匂いまでやさしい。湯あがりに加賀棒茶を一口、頬に風。古総湯の静けさと総湯の賑わいをはしごする小さな逗留が、肌と心にすっと染みる。そんな往復こそ、山代の醍醐味だと感じた。
目次
石川県九谷焼美術館で出会う 加賀が誇る色絵の美

出典:山代温泉観光協会
山代温泉の中心地に位置する石川県九谷焼美術館は、加賀を代表する伝統工芸・九谷焼の魅力を体系的に紹介する専門美術館です。
江戸時代初期に始まった古九谷から、明治以降の再興九谷、現代作家の作品まで、時代ごとの意匠や色彩の変遷を丁寧に辿ることができます。
赤・緑・黄・紫・紺青といった鮮やかな五彩を用いた大胆な絵付けは、温泉街の穏やかな風景とは対照的な華やかさを放ちます。
湯に浸かるだけでなく、土地が育んだ美意識にも触れることで、山代温泉の旅はより奥行きを増していきます。
九谷焼美術館は、湯と文化が寄り添う山代ならではの立ち寄り処です。
山代で味わう 加賀の恵みと湯の町の食文化

出典:山代温泉観光協会
山代温泉を訪れたなら、湯とともに楽しみたいのが加賀の食です。
日本海に面した石川県は海の幸に恵まれ、のどぐろや甘えび、香箱ガニなど、旬の魚介が食卓を彩ります。
加えて、加賀野菜に代表される土地の恵みも豊か。
治部煮や加賀会席といった伝統料理は、素材の持ち味を生かした繊細な味わいが特徴です。
九谷焼の器に盛られた料理は、目でも楽しめるひと皿に。
湯で体を温めたあと、滋味深い料理をゆっくり味わう。山代温泉の旅は、五感を通して土地の文化を受け取る時間でもあります。
山代温泉 総湯で味わう 湯の原点
山代温泉の中心に建つ「総湯」は、旅館の内湯が主流となる以前から、地域の人々に親しまれてきた共同浴場の象徴です。
現在の建物は近代的に再建されていますが、湯治場としての歴史と「町の湯」という役割は今も変わりません。
源泉かけ流しの湯はやや熱めで、山代らしいしっかりとした温まりを感じさせます。
大きな窓から差し込む光の中で湯に浸かると、観光というよりも“暮らしの延長”に触れる感覚が広がります。
総湯は、山代温泉が今も生きた温泉地であることを静かに伝える、原点ともいえる存在です。
山代温泉 古総湯で体感する 明治の湯治空間

山代温泉の象徴的な建物「古総湯」は、明治時代の総湯を再現した共同浴場です。
九谷焼のタイルや色鮮やかなステンドグラスがあしらわれ、当時の湯治文化の華やぎを今に伝えています。
外観から内装まで意匠にこだわり、単なる入浴施設を超えた“文化体験”の場として親しまれています。
浴室には洗い場やシャワーは設けられておらず、湯に浸かることそのものを楽しむ造り。
源泉かけ流しの湯に身を沈めると、時代を遡るような静かな感覚が広がります。
古総湯は、山代温泉が培ってきた湯治の歴史と美意識を、体で味わえる特別な一湯です。
山代温泉の源泉かけ流し温泉の概要

出典:山代温泉観光協会
旅の目的や体調に合わせて湯との距離感を調整すれば、山代温泉の源泉かけ流しは頼もしい味方になります。
泉質はナトリウム・カルシウム‐硫酸塩・塩化物泉(弱アルカリ性の含塩類泉)。
効能はきりきず・やけど・慢性皮膚病・神経痛・関節痛・筋肉痛・五十肩・冷え性・慢性消化器病・疲労回復・健康増進の適応症です。
源泉温度は約60〜70℃程度で、pH値は弱アルカリ性(約7.4〜7.8)程度。
湧出量は毎分約2,000〜3,000リットル規模の古総湯と総湯を中心に自家源泉を持つ宿が多く、塩化物泉の保温性と硫酸塩泉の肌しっとり感が両立するやわらかな湯ざわりが特徴の温泉です。
旅の余韻

出典:山代温泉観光協会
総湯で湯の原点に触れ、古総湯で明治の面影を感じ、九谷焼の鮮やかな色彩に目を奪われる。
山代温泉の旅は、湯と美が自然に溶け合う時間の連なりです。
源泉かけ流しの湯が体を温め、加賀の食がゆっくりと満たしていく。
華やかな器や建物の意匠も、やがて静かな余韻へと変わっていきます。
山代温泉が残すのは、強い刺激ではなく、後からじんわりと思い出される温もり。
湯と文化が寄り添う町の記憶が、穏やかに胸に残ります。




