知床の玄関口に湧く植物性モール泉【斜里温泉】源泉かけ流し|ワイン色の美肌湯と幻の橋・オホーツクの旅


出典:公益社団法人 北海道観光機構
2026年06月23日更新

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湯あがり ぽか子

温泉大好き40年のベテラン。「一湯一会」を逃さないために、常に手ぬぐいを持ち歩いています。長年の経験で、お湯を触っただけで大体の泉質がわかる特技を持ちます。温泉好きが高じて、温泉ソムリエ・温泉観光アドバイザーの資格を取得。日本の宝である「温泉文化」を皆さんにお伝えできることが喜びです!

北海道斜里郡斜里町に湧く「斜里温泉」は、太古の植物が地中に堆積した地層を通り抜けて湧き出す植物性モール泉です。

泉質はナトリウム炭酸水素塩泉(弱アルカリ性低張性温泉)。ワイン色に色づいた湯は肌にとろりとしたすべすべ感をもたらし、浴槽に体を沈めると微細な気泡が肌に付着して湯の新鮮さを証明します。

知床斜里駅から車で約10分・徒歩25分の「斜里温泉 湯元館」が24時間かけ流しで提供するこの湯は、道東ドライブや知床観光の途中に立ち寄る旅人と温泉マニアの両方を引き寄せる、全国でも希少な植物性モール泉の宿です。

市街地から少し離れた越川地区には、地元の利用組合が守り続ける秘湯「越川温泉」も点在しており、斜里町全体が知られざる温泉の宝庫となっています。

知床の玄関口・斜里へ モール温泉が湧く道東の町の歴史

出典:公益社団法人 北海道観光機構

斜里温泉は、北海道斜里郡斜里町の市街地および越川地区に位置しています。

女満別空港から国道334号を経由して車で約55〜70分、知床ウトロから車で約45分、JR釧網本線・知床斜里駅から斜里温泉湯元館まで車で約10分(徒歩約25分)というアクセスです。

斜里町は「知床の玄関口」として全国に知られており、斜里岳(1,547メートル・日本百名山)を南に、オホーツク海を北に、そして世界自然遺産・知床半島を東に擁する道東の自然の要衝です。

温泉の歴史については「斜里温泉 湯元館」が昭和51年(1976年)に開業したことが記録されており、以来40年以上にわたって知床観光の旅人と道東在住者の湯処として機能してきました。

モール温泉が湧出する背景には、この地域の地層に堆積した太古の植物性有機物があり、帯広・十勝のモール温泉と同じ植物性有機成分を含む希少な泉質が道東の大地から届いています。


知床・オシンコシンの滝・流氷 道東最高の自然体験

出典:公益社団法人 北海道観光機構

斜里温泉を拠点にすると、道東を代表する自然体験が効率よく楽しめます。

「知床半島」は世界自然遺産に登録された日本最後の秘境で、知床五湖の透き通った湖と原生林の景観、オシンコシンの滝の豪快な水量、知床峠から眺める羅臼岳の雄大さは道内でも別格の体験です。

羅臼・斜里間を走る知床横断道路は冬期閉鎖され、開通する春(4月下旬〜)には残雪の峠から太平洋とオホーツク海を両側に見渡せる絶景が広がります。

冬(1〜3月)にはオホーツク海に流氷が接岸し、斜里の海岸線が白一色に変わります。知床斜里駅前からはウトロの流氷クルーズへのアクセスが便利で、砕氷船・流氷ウォークなど流氷ならではの体験が待っています。

宿の露天風呂がないためおもに内風呂でのモール泉体験となりますが、窓越しに北国の冬景色を眺めながら温かいワイン色の湯に浸かる時間は格別のものがあります。


斜里岳・越川橋梁・幻の橋 斜里町の知られざる絶景

出典:NPO法人きよさと観光協会

斜里温泉のある斜里町には、知床の陰に隠れながら訪れる価値がある絶景が残っています。

南に聳える「斜里岳(1,547メートル)」は、沢を何度も渡りながら山頂を目指す独特の登山コースで知られる日本百名山のひとつです。

山頂からはオホーツク海・知床連山・屈斜路湖まで広がる360度の大パノラマが楽しめます。また越川温泉のある越川地区には「越川橋梁(第一幾品川橋梁)」という壮大な遺構が残っています。

戦時中に斜里と標津を鉄道で結ぶために建造されながら開通しないまま終戦を迎えた「幻の橋」で、鬱蒼とした原生林の中に7連のコンクリートアーチが静かにそびえる景観は国の登録有形文化財に指定されており、歴史の重みと道東の自然が交差するスポットとして温泉ファンの間でも知られています。


知床の海の幸・斜里産小麦 道東の食を楽しむ

出典:知床斜里町観光協会

斜里町とその周辺では、オホーツク海の豊かな海産物が食の主役を担っています。

知床の清流と豊かな海で育ったサーモン・ホタテ・ウニ・毛ガニ・コマイ・ニシンなど多彩な魚介が水揚げされており、知床斜里駅前の食堂や市場では旬の地魚料理が楽しめます。

また斜里町は農業も盛んで、小麦・じゃがいも・てん菜の広大な畑が広がる農業地帯でもあります。道の駅「しゃり」では斜里産の農産物・加工品・知床の海産物が揃い、温泉の行き帰りに立ち寄る旅人で賑わいます。


ワイン色のモール泉と越川温泉 源泉かけ流し体験

出典:公益社団法人 北海道観光機構

斜里温泉の2つの湯は、それぞれ全く異なる個性を持っています。

斜里温泉 湯元館は、市街地に建つ全7室の小規模民宿で、24時間かけ流しの植物性モール泉が最大の魅力です。

泉質はナトリウム炭酸水素塩泉(弱アルカリ性低張性温泉)。
ワイン色の湯は太古の植物由来のフミン質成分を豊富に含み、入浴すると肌に微細な気泡が付着してモール泉ならではのすべすべとした肌触りが広がります。

口に含むとほんのりとした塩味があり、鮮度の高い生きた湯を体感できます。

神経痛への高い効能とフミン質の素肌への美容効果が評判で、素泊まりを基本とした自由度の高いスタイルで長期滞在にも対応しています。

越川温泉は、国道244号線沿いの越川地区に佇む地元の利用組合が管理するトタン小屋の共同浴場です。

泉質はナトリウム・カルシウム塩化物・硫酸塩温泉。

加水加温循環なしの完全源泉かけ流しで、「幻の橋」越川橋梁のすぐそばに湧く秘湯として温泉ファンとライダーに知られる名湯です。

看板もなく入口のドラム缶のゲートが目印というB級感満点の外観とは対照的な本物の温泉の質が、知る人ぞ知る魅力として語り継がれています。


斜里温泉の源泉かけ流し概要

出典:公益社団法人 北海道観光機構

泉質(湯元館): ナトリウム炭酸水素塩泉(弱アルカリ性低張性温泉)・植物性モール泉

湯色: ワイン色(薄い紅茶色)・微細な気泡が肌に付着・ほんのり塩味

源泉かけ流し: 24時間かけ流し・加水加温循環なし・100%源泉

泉質(越川温泉): ナトリウム・カルシウム塩化物・硫酸塩温泉

源泉かけ流し(越川): 加水加温循環なし・完全源泉かけ流し・飲泉可

効能: 神経痛・筋肉痛・関節痛・冷え性・慢性皮膚病・疲労回復・美肌

旅の余韻

出典:公益社団法人 北海道観光機構

ワイン色の湯に入ると、肌に無数の小さな気泡が付着します。

これが生きた源泉かけ流しの証だと、静かな浴室の中でひとり確認します。

太古の植物が地中で変容し、道東の大地を通り抜けてこの湯になった。知床の世界自然遺産が車で45分の場所にあるというのに、この斜里の温泉は不思議なほど静かで、旅人をほとんど急かしません。

越川温泉では、幻の橋の遺構が原生林に飲み込まれていくのを横目に、地元の人が守り続けた湯に浸かります。

知床の観光地としての華やかさとは別の、斜里町の深さがここにはあります。