文豪・井上靖が愛した【下風呂温泉】源泉かけ流し|本州最北端に湧く異泉質2湯と漁り火の絶景
目次
海峡の湯 青森ヒバの香りと漁り火が交差する温泉施設

出典:青森県
2020年12月、長年地元に愛されてきた「大湯」「新湯」2つの共同浴場を引き継ぐ形で、村営温泉施設「下風呂温泉 海峡の湯」がオープンしました。
施設内は日本三大美林のひとつ「青森ヒバ」をふんだんに使用。
湯船はもちろん、壁・名札・風呂桶・椅子に至るまでヒバの素材が用いられており、ほのかに漂うヒバの清涼感ある香りが、硫黄の温泉の香りとともに心地よく包んでくれます。
源泉は大湯1号・大湯2号・新湯の3種を入り比べでき、それぞれの泉質の違いを肌で感じながら湯巡りが楽しめます。すべて源泉かけ流しです。
2階には「下風呂ゆかりの人たち」の展示室があり、井上靖が宿泊した「長谷旅館」を再現した客室や、執筆した散文詩のレプリカなど、昭和の趣を感じる資料が展示されています。
湯上がりにゆっくりと眺めると、文豪がここに来た理由が伝わってくるようです。
夜になれば、津軽海峡の沖にイカ釣り漁船の漁り火が灯ります。
湯けむりの向こうに揺れる無数の光。
それは下風呂温泉にしかない、唯一無二の絶景です。
下風呂温泉の源泉かけ流し概要

出典:青森県
【大湯(源泉かけ流し)】 泉質:酸性-ナトリウム-塩化物・硫酸塩泉(硫化水素型)/源泉温度:56.5〜58.7℃/pH:2.17〜2.31(強酸性)/特徴:白濁〜薄緑がかった濁り湯・硫黄の香り
【新湯(源泉かけ流し)】 泉質:含硫黄-ナトリウム-塩化物泉/源泉温度:78.8℃/pH:7.4(中性)/特徴:透明・やわらかな肌あたり
【浜湯(源泉かけ流し)】 泉質:海辺から湧く独自の源泉(一部旅館で利用)/特徴:大湯・新湯とは異なる適応症
効能(共通): 切り傷・やけど・慢性皮膚病・虚弱体質・慢性婦人病・糖尿病・動脈硬化症・筋肉や関節の痛み・消化器疾患
共通の特徴: 全施設・全源泉すべて源泉かけ流し、わずか100メートル以内に3種の異なる泉質が湧く全国的に珍しい温泉郷、室町時代から続く歴史ある名湯、文豪・井上靖「海峡」ゆかりの地、青森ヒバ造りの「海峡の湯」(日帰り入浴可)
旅の余韻

出典:青森県
下風呂温泉を後にするとき、硫黄の香りがまだ体のどこかに残っています。
室町時代から人々を癒し続け、文豪がその湯に唸り、漁師たちが毎日通い続けてきた温泉。
本州の北の果てにあるからこそ、この湯は遠くまで足を運ぶ価値のある源泉かけ流しの名湯として、静かに輝き続けています。
漁り火が揺れる津軽海峡を眺めながら湯に浸かるあの時間は、どんな言葉よりも雄弁に、下風呂温泉の魅力を語ってくれます。
また来たい。そう思いながら下北半島を後にする足取りは、不思議と軽くなっているはずです。



