温泉経営者がおすすめする一度は泊まりたい温泉宿#3 尾上温泉-紅鮎-


提供:尾上温泉旅館 紅鮎
更新日:2021年3月19日

この記事を書いた人

かっきー

江戸の玄関口と言われた宿場町に生まれ育った生粋の江戸っ子。還暦を迎えた今なお、旅とサーフィンをこよなく愛するアクティブシニア。某夕刊紙に勤務していた経歴を持つ。
マイナーな温泉から秘湯まで、気の向くままに温泉へ出かけることが大好きです。温泉の良さはもちろん、分かりやすく温泉や旅館などの良さをお伝えしてまいります。

温泉は日本を代表する文化の一つです。そして各温泉地にはさまざまなこだわりを持つ温泉宿が軒を連ねます。そこで、これまでご好評をいただいる特別企画「温泉経営者がおすすめする一度は泊まりたい温泉宿」の第3回をお届けします!
今回は、滋賀県にある尾上(おのえ)温泉「紅鮎」の経営者の方へインタビューさせていただきました。温泉経営者の方が素晴らしいと認めた温泉宿の魅力をたっぷりと届けします!

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第3回は滋賀県長浜市にある尾上温泉の旅館「紅鮎」

提供:尾上温泉旅館 紅鮎

第3回目となる今回は、前回インタビューをさせていただいた静岡県の修善寺(しゅぜんじ)温泉「〇久旅館」の鈴木さんがおすすめする、尾上(おのえ)温泉の旅館「紅鮎(べにあゆ)」の経営者の方へインタビューさせていただきました。
尾上温泉は、滋賀県にある琵琶湖の北東(湖北地方)に面した長浜(ながはま)市にあります。

長浜市は北国街道沿いにあり、湖上交通の要として栄えた町です。

そのため、街道沿いには今も、港町の風情を残す舟板塀(ふないたべい)や紅殻格子(べんがらごうし)、虫籠(むしこ)窓の家々が建ち並んでいます。

提供:尾上温泉旅館 紅鮎

長浜市の中心部から少し離れた尾上温泉は、琵琶湖でも奥びわ湖あたりに位置します。

冴えわたる静寂や湖上に遊ぶ水鳥、美しく浮かぶ竹生島(ちくぶじま)の島影など、自然豊かな趣のある場所です。


湖北の自然のすばらしさ、長浜の魅力を全力で伝え続ける「紅鮎・山本 享平さん」

紅鮎の専務取締役 山本享平さん

◇らくらく湯旅編集部(以降 編集部):特別企画の第3回は、尾上温泉旅館紅鮎 専務取締役の若旦那である山本享平さんにお話を伺います。お忙しい中ありがとうございます。よろしくお願いいたします。

◆山本さん:よろしくお願いいたします。


さっそくお話を伺いました!

「旅館 紅鮎」のある尾上温泉はどのような温泉地かお伺いできますでしょうか。

◆山本さん:はい、奥びわ湖畔にある温泉を尾上温泉という名称で呼んでいますが、源泉が湧くのは紅鮎だけなんです。

近隣には3軒ほどのお宿がありますが、全体として温泉街というより紅鮎単体で「尾上温泉」となっています。

尾上温泉の成り立ちは、現在旅館の建っている「尾上」と呼ばれる集落で、御宮様の参詣者が手や口をすすぎ清める手水舎(ちょうずや)の水を掘っているときに水が湧き出たことが始まりです。

湧き出た水が温かくて茶色味を帯びていたため、成分を分析したところ鉄分が多く、神経痛・貧血・婦人病・気管支炎・痔・皮膚病に効果のあるヒドロ炭酸鉄泉であることが判ったことから、昭和33年にこの地に旅館を開業いたしました。

当時、尾上周辺は陸の行き止まりで、周りに何も無いところだったようです。

湖畔の河口に鉱山主の御屋敷を移築したのが、尾上温泉 紅鮎の原型となっています。

提供:尾上温泉旅館 紅鮎

◇編集部:そのような成り立ちがあったのですね。尾上温泉を調べてもなかなか詳細な資料が見つからなかったのですが…

◆山本さん:この企画で今まで取り上げられた「熱海温泉」や「修善寺温泉」に比べると、一般的な知名度はそれほどありません。

◇編集部:いわゆる「秘湯」ということでしょうか。

◆山本さん:そうですね。秘湯という言葉を造った「日本の秘湯を守る会」から加盟のお誘いを受けたことがあります。

「旅館 紅鮎」が佇む周辺環境について教えてください

◆山本さん:尾上温泉は琵琶湖の北東部に位置しています。

豊臣秀吉が初めて拝領して築城した長浜城址(ながはまじょうし)から、車で15分ほどの場所で、琵琶湖の湖畔にある温泉地となっています。

◇編集部:琵琶湖湖畔ということは周辺の観光スポットもたくさんあるのでしょうね。

◆山本さん:自然環境も、歴史的な史跡も沢山の観光スポットがあります。

宿でもいろいろなご案内や車の手配をいたしますが、史跡巡りをされるお客様は随筆家の白洲正子(しらす まさこ)さんの紀行文などを読まれて滞在される方も多いです。歴史や史跡については私よりも詳しいですね。

俳句を詠まれる方や史跡がお好きな方で、あまり知られていないが文化的な歴史がある場所を求めて滞在される方が多いという印象があります。

例えば、当館の目の前に広がる竹生島(ちくぶじま)ひとつをとっても、西国三十三所(さいこくさんじゅうさんしょ)の御札巡りの30番所「竹生島・宝厳寺(ほうごんじ)」があります。

宝厳寺には弁天様が祀(まつ)られており、神奈川県の江島(えのしま)神社と広島県の厳島(いつくしま)神社と並んで、日本三大弁天としても有名です。

古くからの鯖街道(さばかいどう:福井県嶺南地方から京都を結ぶ街道)と併せた道のりとして探索するなど、歴史・文化を掘り下げる方が訪れています。

ほかにも西国三十三所の御札巡りとして功徳・開運といった旅をしているいる方もいらっしゃいます。

「お宿から眺める竹生島」 提供:尾上温泉旅館 紅鮎

◇編集部:紅鮎旅館の公式サイトでこの地の風景を詠んだ句が掲載されていますね。

◆山本さん:自然を詠まれる俳人として有名な森澄雄(もり すみお)さんの句です。当館を気に入っていただき、よくご滞在頂いておりました。

◇編集部:奥深い自然や歴史を求めて、各地からお客様が滞在されるのですね。

◆山本さん:当館は、眼前に広がる雄大な琵琶湖の景観を眺めてゆっくりと湯浴びをしてくつろぐためにご滞在頂く方、自然散策や文化探求をされる多くのお客様にもご愛顧いただいています。そのため、基本的にはお食事とセットでのご提供となっています。

ですが、多くのお客様にこの素晴らしい景観を眺めていただくため、立ち寄り湯もご用意しています。

先ほどご紹介した桃山文化の粋を集めた国宝文化財がある琵琶湖随一のパワースポットとして注目を集める「竹生島」や、ガラスショップや工房・ギャラリー・カフェが点在する黒壁(くろかべ)スクエアなどを訪れる近県からのお客様より、近くで便利な温泉としてご利用いただいています。

「旅館 紅鮎」の温泉はどのような特徴があるのでしょうか?

◆山本さん:創業当初に湧き出た温泉はヒドロ炭酸鉄泉でした。

ですが、改装した際に源泉を掘りなおしており、現在湧き出ている温泉は鉄分を含む色をしたアルカリ性単純泉となっています。

源泉には古代から移動してきた琵琶湖の堆積物である有機成分も含まれています。この有機成分に美肌効果があるようです。

提供:尾上温泉旅館 紅鮎

◇編集部:通称「美肌の湯」とも言われるアルカリ性単純泉で、有機成分の美肌効果は、特に女性の方には嬉しいですね。

◆山本さん:強アルカリ性の温泉と比較するとクレンジング効果は少ないかもしれません。しかし油分の取られすぎもなく、100%天然由来であることからもご好評いただいています。

お宿のつくりについてお伺いできますでしょうか

◆山本さん:全室が琵琶湖側に面しています。すべてのお部屋、大浴場から今も昔も変わらない雄大な景観のなか、ゆったりとお寛ぎいただける造りを意識しています。

提供:尾上温泉旅館 紅鮎

◇編集部:岩盤浴もご用意されているのですよね。

◆山本さん:はい、ただし岩盤浴のお部屋だけは、さすがに景観は楽しんでいただくには無理があります(笑)。

◇編集部:大浴場・岩盤浴場のほかに、お部屋の方にも、浴室がついているのですか?

◆山本さん:全室に半露天風呂を備えています。

◇編集部:全室に露天風呂がついているのはご滞在のお客様には嬉しいでしょうね。

◆山本さん:マッサージチェアも全室に備え付けておりますので、お部屋で湯浴びをした後に、そのままゆっくりとくつろいでいただけます。

提供:尾上温泉旅館 紅鮎

◇編集部:至れり尽くせりですね。その他にも何かこだわりはありますか?

◆山本さん:ご滞在のお客様が心から安心して寛いでいただけるよう、景観の自然と調和するよう配慮しています。

基本的にお部屋は天然素材である和紙、土壁木材をふんだんに使用しています。

提供:尾上温泉旅館 紅鮎

朝から夕暮れに移ろう景観と、白鳥など渡り鳥の鳴き声などを感じながら、お部屋で湯浴びとマッサージを楽しんでいただけます。

廊下には畳を敷き詰めていますので、館内はスリッパを履かずにお過ごしいただけます。

また、車いすの方も安心してご利用いただけるよう、バリアフリーに配慮したお部屋のご用意もございます。

◇編集部:すべてのお客様にお宿を満喫していただける充分な配慮があるのですね。

◆山本さん:はい、尾上温泉のあるロケーションにも、とても助けてもらっていますので、その地を訪れるお客様のニーズと上手く調和することを心がけています。

提供:尾上温泉旅館 紅鮎

◇編集部:ここまでのお話から、リピーターの方が多いのではと推察いたしますがいかがでしょうか。

◆山本さん:そうですね初めてのご滞在やご利用から、6割から7割くらいのお客様に3年以内に再び滞在していただいております。

◇らく湯旅:それはかなり高いリピート率ですね。自然と調和するお宿のおもてなしと、雄大な自然、文化・歴史の史跡といったロケーションと併せて愛されるお宿なのですね。

お食事については、どのようなこだわりがありますか?

◆山本さん:過去には最長10連泊滞在されたお客様もいらっしゃいました。長くご滞在いただいても、何度お越し頂いても飽きないように、旬の素材を活かした20種類以上の懐石料理に対応する準備があります。

ご予約の際に、お客様毎にご希望された懐石料理を御造り致します。

◇編集部:素材についてのこだわりはいかがですか?

◆山本さん:地産にこだわりすぎると、旬のものが使えなくなることもあるので、柔軟に素材を選んでいます。

お客様によっては観光ではなく、くつろぎに来られるお客様もおられるので、あまりご当地の名物に固執しないよう心がけています。

もちろん地産を望まれるお客様には、夏場の鮎、冬場の鴨など地産のコースをお選びいただける準備もございます。

上:鮎の塩焼き・下:鴨鍋 提供:尾上温泉旅館 紅鮎

お食事される場所についても、お値段が異なりますがご予約の際にお部屋やお食事処をお選び頂き、お客様のご希望に併せて柔軟に対応しています。

◇編集部:リピートされるお客様が多いのが良くわかる気がします。

20種類以上の懐石料理を用意したり、ロケーションを活かした環境づくりなど、〇久旅館の鈴木様が熱くおすすめしていたことに納得できますね。

紅鮎・山本享平さんがおすすめする温泉宿

◇らく湯旅:「らくらく湯旅」ではリレー形式で温泉宿を紹介していきます。山本さんがおすすめする一度は宿泊してみたい温泉旅館をご紹介いただけたらと思います。

◆山本さん:一度は行ってみたいと言うとちょっと話が変わりますが、私がおすすめする温泉であれば奥津温泉の奥津荘です。

◇編集部:岡山県の古くは美作国(みまさかのくに)と呼ばれる場所ですね。

そちらの旅館がなぜ、おすすめなのでしょうか?おすすめするポイントをお伺いできますか?

◆山本さん:何しろ、お湯(温泉)がとても素晴らしいです。

足元から湧き出る源泉に加水も加温も循環もせずに、そのまま湯浴みできるという希少な温泉です。

その昔、津山のお殿様専用の温泉として鍵をかけていたことから鍵湯とも呼ばれるらしく、その源泉を持つ古くから続くお宿です。

登録有形文化財のお宿と、私とも同世代の社長の持つ、変化しつつある社会環境に対応する今様の感覚で、今昔が融合するお宿です。

<施設情報>
名泉鍵湯 奥津荘
住所:岡山県苫田郡鏡野町奥津48
電話:0868-52-0021
アクセス:
<電車>JR津山本線・津山駅から鋳鉄バスで約60分
<車>国道53号・院庄~国道179号で、岡山駅から約100分、岡山空港から約90分

温泉好き「らくらく湯旅」ユーザーへのコメント

◇編集部:最後に、「らくらく湯旅」ユーザーへ一言おねがいします。

◆山本さん:紅鮎のお客様をおもてなしするこだわりは「こだわらない」ことと考えています。

こうだとこだわって押しつけず、お客様のご希望を伺って柔軟にお迎えすることで、初めてのお客様でも、懐かしい場所に戻られたように「おかえりなさい」とお迎えすることをこころがけております。

周辺は自然と史跡に恵まれた環境にあり、日常と離れた今も昔も変わらない自然の景観のなかで身も心も癒すお手伝いができるようおもてなしさせていただきます。

近くにお越しの際には、当館のご利用をお待ちしております。

◇編集部:本日はお忙しい中お時間を頂戴いたしましてありがとうございました。

琵琶湖の自然と、文化や歴史、温故知新という言葉がしっくりくる尾上温泉。

日常と異なる空間を演出する柔軟で、行き届いたおもてなしの精神は素晴しいですね。自然と文化の調和のとれた日常とかけ離れた空間で、ご自身に合った過ごし方で尾上温泉を過ごしてみてはいかがでしょうか。

<基本情報>
尾上温泉 旅館 紅鮎
住所:滋賀県長浜市湖北町尾上312
電話:0749-79-0315
ホームページ:https://www.beniayu.com/
アクセス:
<電車>
JR高槻駅より無料送迎バスで約10分
【バスご利用】
伊豆箱根バス・東海バス 修善寺温泉場行き「修善寺温泉」バス停下車~修善寺温泉」バス停より無料送迎バス運行
<車>
北陸自動車道「木之本I.C」から約10分