温泉経営者がおすすめする一度は泊まりたい温泉宿#9 泥湯温泉-奥山旅館-


提供:奥山旅館
更新日:2021年9月13日

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かっきー

江戸の玄関口と言われた宿場町に生まれ育った生粋の江戸っ子。還暦を迎えた今なお、旅とサーフィンをこよなく愛するアクティブシニア。某夕刊紙に勤務していた経歴を持つ。
マイナーな温泉から秘湯まで、気の向くままに温泉へ出かけることが大好きです。温泉の良さはもちろん、分かりやすく温泉や旅館などの良さをお伝えしてまいります。

世界に誇る日本文化のひとつとして、古来より親しまれてきた温泉。湯治や保養で温泉に浸かることはもちろん、その土地に佇む宿でゆっくりとした時間を過ごしたり、景観や食文化に触れることを通じて温泉を楽しんでいる方も多いのではないでしょうか。その中でも特に温泉宿は旅の要であり、こだわりたいものです。

本連載企画は、温泉経営者がプロの目線で選んだ至高の温泉宿をリレー形式でご紹介していきます。今回ご紹介するのは、秘湯が多い秋田県の泥湯(どろゆ)温泉にある「奥山旅館」です。経営者にインタビューして伺った魅力の数々をお届けします。

第9回目は秋田県湯沢市にある泥湯温泉「奥山旅館」

提供 奥山旅館

第9回となる今回は、前回インタビューさせていただいた山形県の湯田川(ゆたがわ)温泉「九兵衛(くへえ)旅館」の大滝さんがおすすめする、泥湯温泉「奥山旅館」の経営者へインタビューしました。

泥湯温泉は、栗駒(くりこま)国定公園の秋田側、湯沢市の山間に囲まれた谷間に佇む古くからある湯治場です。周辺は秋田、山形、宮城、岩手の4県にまたがる広大な栗駒国定公園となっており、どこをみても緑が生い茂る、まさに秘湯の趣きあるなかに奥山旅館があります。

手つかずの大自然に囲まれた静かで穏やかな場所にある泥湯温泉は「日本秘湯を守る会」の会員にも認定されており、湯治を目的に訪れる方も多いようです。


地域の文化を守り続ける泥湯温泉「奥山旅館・奥山晃弘さん」

奥山旅館 代表取締役 奥山 晃弘さん

◇らくらく湯旅編集部(以降 編集部):特別企画の第9回は、泥湯温泉「奥山旅館」の代表取締役である奥山さんにお話を伺います。お忙しい中ありがとうございます。よろしくお願いいたします。

◆奥山さん:よろしくお願いいたします。


約1200年前に開湯、肥沃な大地に恵まれた温泉地・泥湯温泉

提供:奥山旅館

◆奥山さん:泥湯温泉は秋田県南部の湯沢市にある温泉地です。周辺は鎌倉時代には城下町として発展、江戸時代以降は鉱山として栄えてきた歴史があります。

現在の湯沢市の特長は、周辺を自然と肥沃な大地に恵まれており美味しい食材が豊富なことです。

夏頃であれば品質日本一の「三関のさくらんぼ」、泥湯温泉周辺で採れる「じゅんさい」、食べ物では日本3大うどんと称される「稲庭うどん」などがあります。

※じゅんさい:沼や池に自生するスイレン科の植物。ゼリー状の透明な粘膜に覆われおり、つるんとした独特の食感で、ビタミンが豊富な食材。

また地熱資源にも恵まれています。あちこちで湧出する温泉の他に、地熱発電も2箇所で稼働中、さらに2箇所が調査中となっています。

◇編集部:古くは湧出する温泉であった自然の恵みが、現代では地熱資源としても利用されているのですね。

◆奥山さん:温泉自体は、約1200年前の平安時代には当時の村人等がこの地で湯浴みや湯治をしていたという文献が残こされていますのでこの時代が開湯となります。それから800年ほど経過した西暦1680年に湯宿が開かれたと伝わっていいます。

◇編集部:1200年も続いている歴史ある温泉なのですね。泥湯温泉の規模はどの位なのでしょうか?

◆奥山さん:以前は泥湯温泉に旅館が4軒ほどありましたが、廃業されて現在では奥山旅館ともう1軒の2軒だけの静かな温泉地となっています。