温泉経営者がおすすめする一度は泊まりたい温泉宿#24 那須温泉-那須別邸 回-


提供:那須別邸 回
更新日:2022年7月22日

この記事を書いた人

かっきー

江戸の玄関口と言われた宿場町に生まれ育った生粋の江戸っ子。還暦を迎えた今なお、旅とサーフィンをこよなく愛するアクティブシニア。某夕刊紙に勤務していた経歴を持つ。
マイナーな温泉から秘湯まで、気の向くままに温泉へ出かけることが大好きです。温泉の良さはもちろん、分かりやすく温泉や旅館などの良さをお伝えしてまいります。

本企画は、旅館・おもてなしのことを知り尽くす、旅館経営者が「素晴らしい!」と大絶賛するおすすめのお宿をリレー形式でご紹介してまいります。
今回は、日光国立公園の中にあり、そばには皇室が静養に訪れる那須御用邸があるという、過ごしやすい環境としても折り紙付きの別荘地に佇むお宿。
散策をはじめ、四季折々の花で埋め尽くされる景勝地や史跡巡りなども楽しめ、ゆっくりと優雅なリゾート気分を満喫できる温泉宿のご紹介です。

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第24回は栃木県那須郡の那須温泉にある「那須別邸 回」

提供:那須別邸 回

第24回となる今回は、天草下田温泉「石山離宮 五足のくつ」の山崎さんがおすすめする、「那須別邸 回」の経営者にインタビューしました。

那須別邸 回は、栃木県の那須岳の南麓に広がる那須高原に位置します。

いくつもの源泉が湧き、日光国立公園に指定された地域の中にある那須温泉にある温泉宿です。


これからの新しいスタイルの旅館として改革に取り組む「那須別邸 回・片岡孝夫さん」

6代目宿主 片岡孝夫さん

◇編集部(以降 編集部):特別企画の第24回は、那須温泉「那須別邸 回」の6代目宿主である、片岡さんにお話を伺います。

◆片岡さん:よろしくお願いいたします。


日本を代表する別荘地・那須温泉にあるお宿

出典:PIXTA(那須高原)

◇編集部:まず最初に、那須温泉の「那須別邸 回」は、どのような場所にあるのでしょうか?

◆片岡さん:那須というと、高原リゾートをイメージされる方も多いかと思いますが、古来温泉場として、栄えて来た歴史があります。

江戸時代の温泉番付では、東の大関-草津温泉、西の大関-有馬温泉、関脇-城崎温泉などと並び、東の関脇として格付けされていた由緒ある温泉場です。

出典:PIXTA(霧幻の道-宮内庁那須御用邸にて)

◆片岡さん:那須温泉をリゾートとして象徴する建物として皇室の御用邸があり、那須別邸 回は那須御用邸に一番近いところに位置しています。

当館周辺は、日光国立公園に指定されていて、自然の木立が広がる中にひっそりと佇んでいます。

提供:那須別邸 回

◇編集部:国立公園の中であること、近くに御用邸があることからも、周辺環境の良さが伺えますね。

◆片岡さん:国立公園の中にあることから、勝手に木を切ってはいけない、建物の色使いや高さなど、厳しい条例があります。

苦労する面もありますが、厳しい条例のお陰で、美しい景観や豊かな自然が守られています。

◇編集部:厳しい条件の中でお宿を運営していくことは、本当に大変なことと思います。

だからこそ、訪れる方も素晴らしい自然に触れられ、より格別なひと時を過ごすことができるのでしょうね。

アクセスがよい那須温泉には、関東圏から訪れるお客様が多い

◇編集部:首都圏から気軽に訪れるアクセスのよさや、皇室御用邸の近所という場所柄、外国人のお客様も多いのではないでしょうか?

◆片岡さん:東北新幹線で、東京駅から那須塩原駅まで1時間10分、そこから宿まで車で30分ほどなので、アクセスしやすいと思います。

出典:PIXTA

◆片岡さん:お越しになるお客様のほとんどは、アクセスが良いという点からも関東圏のお客様が多いです。

海外からのお客様は、那須エリアにおいてはコロナ禍前でも1%代と極端に少ない傾向にありますね。

代わりに多くのリピーターの方にご利用いただいています。

ちなみに、アクセスしやすいこともあり、この辺りから、東京まで通勤されている方もいるようです(笑)。

全室がスイート。しんみりと、静寂な空間が広がるお宿

提供:那須別邸 回

◇編集部:つぎにお宿についてお伺いします。

◆片岡さん:昭和初期の創業時は、日本が温泉保養から温泉リゾートへとシフトして、欧米化を図ろうというムーブメントの中でした。

御用邸に隣接した土地も一般に開放されたことから、山水閣(さんすいかく)という温泉宿を開業したことが、当館の礎となります。

山水閣は、昭和初期に創業して、私で6代目となります。

ただ、昭和54年に血縁関係のない私の父が、5代目として継承しているので、世襲という形では2代目となります。

その後、山水閣の隣にあった旅館ではない建物をリニューアルして、「那須別邸 回」をオープンしました。

那須のファンのお客様の別荘という位置付けで、連泊でご滞在いただけるお宿をテーマとしています。

提供:那須別邸 回

◆片岡さん:宿は、リサイクルやリユース、リプロダクトして、リセットするという、循環させるイメージのコンセプトから、日本らしい旅館名としたいと考え「那須別邸 回」と命名して、全室オールスイートとしています。

提供:那須別邸 回 (全室がスイートの客室のリビング一例)

◆片岡さん:客室は、天然温泉の浴室を設けて、お客様のプライバシーを保ち、寛いでいただける造りとしています。

一番小さな客室でも、60㎡以上のゆとりある空間となっています。

提供:那須別邸 (客室の露天風呂の一例)

◆片岡さん:全室が異なる意匠で、120㎡ほどの一棟独立した離れや、お二人様向けから、3世代ご家族、お子様連れでもご宿泊できるお部屋など、色々なタイプをご用意しています。

提供:那須別邸 回(客室のテラスの一例)

◇編集部:お宿にはどのような施設があるのですか?

◆片岡さん:那須別邸 回にご宿泊される場合は、隣接する山水閣のサロンやラウンジもご利用いただけます。

提供:那須別邸 回 (山水閣のサロン)

提供:那須別邸 回(山水閣のラウンジ)

◆片岡さん:那須別邸 回は、2022年の7月下旬から2023年3月位までに、フルリニューアルを予定しています。(※営業は続けています)

例えば、現在のフロント棟に、スペインと日本の建築様式が融合した、昭和初期の登録文化財の歴史的な建物を、東京の駒込から移築して、レセプションやレストランを設置。

また、現在ラウンジとしているスペースは、客室となり、現在の9部屋から11部屋に増やす予定です。

天然の保湿成分がたっぷりのプライベートな温泉

提供:那須別邸 回(客室のプライベート温泉の一例)

◇編集部:次に温泉についてお伺いします。

◆片岡さん:那須温泉には、大きく分けて、酸性が高く外傷の治癒効果の高い硫黄泉と、メタケイ酸が含まれる美肌効果が高い単純泉の、2種類の源泉が湧いています。

当館や御用邸、周辺の宿に引かれている大丸(おおまる)温泉は、無色透明で少しトロみのある単純泉が引かれています。

身体を芯から温めて免疫効果を高め、昭和天皇にも愛されていた温泉とされています。

古くから、硫黄泉で外傷などを癒し、仕上げとして単純泉である大丸温泉に浸かる、といった形で湯治として利用されてきました

※メタケイ酸とは…天然の保湿成分

◇編集部:浴室は、どのような種類があるのですか?

◆片岡さん:宿は、日常と離れて自分と向き合える、ふと我に返る、過去を振り返るなど、そういう空間にしたいと考えています。

提供:那須別邸 回(客室のプライベート温泉の一例:鍵穴温泉)

◆片岡さん:そういった思いを可視化するものとして、客室の中には、鍵穴形の浴室を設けて、お客様ご自身が鍵となり、日常とON/OFFしていただくとの思いを込めたお部屋などもご用意しています。

提供:那須別邸 回(山水閣の貸切風呂)

◆片岡さん:他にも、山水閣の男女別の大浴場、貸切風呂「五葉(ごよう)」「洞(うろ)」をご利用いただけます。

◇編集部:どの浴室も、しみじみとした趣のある、温もりを感じられる空間ですね。

厳選された素材の味を満喫するお料理の数々

◇編集部:次に、お料理についてのこだわりなどをお伺いします。

◆片岡さん:当館にご滞在されるお客様のほとんどは首都圏からで、普段から全国の美味しいものを外食されている方が多いと考えています。

そのお客様に、那須ならでは、当館ならではのこだわりを持って、新鮮な旬の食材を使用したお料理をご提供させていただいています。

提供:那須別邸 回(お料理の一例)

◆片岡さん:地産地消という言葉は使い古されてしまっていますが、那須は酪農や野菜農家が多く、ブランド肉など豊富な食材が揃います。

特に、本州では乳製品の生産が一番ということもあり、チーズも評価の高い食材です。

提供:那須別邸 回(食材の一例)

提供:那須別邸 回(お料理の一例)

◆片岡さん:野菜については、たくさんの種類を少しずつ作っている農家の方が多いという特長があります。

そのような農家から直接、豊富な種類の旬の野菜を仕入れ、お料理をご堪能いただいています。

提供:那須別邸 回(お料理の一例:那須黒毛和牛 豆乳しゃぶしゃぶ)

◆片岡さん:また、鶏豚牛ともに美味しいお肉が揃っていますが、当館では那須黒毛和牛というブランド牛を調理し、ご提供しています。

毎年2月から3月に行われる全国共励会で、日本一になるようなお肉を生産している4人の酪農家から仕入れる、こだわりの食材です。

提供:那須別邸 回(お料理の一例:那須黒毛和牛 ステーキ)

◆片岡さん:A5等級の霜の入ったお肉もありますが、あまり脂身の多いお肉を好まれない傾向もあるため、赤身の旨味が多い部分を、少し熟成してご提供しています。

他にも、那須高原を流れる北関東屈指の清流の那珂川(なかがわ)は、鮎の漁獲高が日本一となっています。

当館ではこの鮎のうち、比較的小さくて一口で召し上がっていただけるサイズを厳選しています。

6月の解禁から秋くらいまで、塩焼きと鮎の魚醤の2種類で召し上がっていただいています。

鮎を焼く際は、頭を下にして遠火で炙ると、鮎の脂分が頭に寄って、頭はカリッと、身はふっくらと焼き上がります。

◇編集部:豊富に恵まれた那須の食材を、是非とも味わってみたくなりました。

◆片岡さん:海の食材を使うこともありますが、那須にお越しいただいて食べる価値があるものだけに限定しています。

提供:那須別邸 回(お料理の一例:のどぐろ)

◆片岡さん:例えば、岩手県や宮城県で獲れて、那須から東京に卸すようなお魚をお出ししています。

銀座の高級寿司店と同等レベルの質と鮮度のお魚を味わっていただけます。

お客様が驚かれるような品質のものをご用意していかなければと思っています。

◇編集部:食材一つひとつに対してのこだわりが素晴らしいですね。お話を聞くだけでも、間違いないお料理がいただける!と感じます。

お料理とペアリングするお酒などは、どのように選ばれているのでしょうか?

◆片岡さん:当館には、ワインソムリエと、日本酒ソムリエが中心となって、県内の酒造メーカーやワイナリーが限定販売するお酒を取り揃えています。

提供:那須別邸 回

◆片岡さん:どんなに美味しいお酒でも、お料理と一緒に召し上がると疲れてしまうことがあると思います。

そのため、お料理の邪魔をしないように、食前酒、食中酒、食後酒というように分けて、楽しんでいただいています。

◇らく湯旅:限定販売するお酒を取り揃えていらっしゃるという点でも、お酒好きの方にとってはすごく魅力的ですね。

「那須別邸 回」片岡さんがおすすめする温泉宿

◇編集部:「らく編集部」ではリレー形式で温泉宿を紹介していきます。

片岡さんがおすすめする一度は泊まりたい温泉宿をご紹介いただけないでしょうか。

◆片岡さん:私がおすすめするのは福島県二本松市にある岳(だけ)温泉「花かんざし」です。

◇編集部:こちらのお宿をおすすめする理由はどこでしょうか。

◆片岡さん:こちらのお宿の若女将が、居心地の良い日本旅館のあり方を追求して繊細なおもてなしで切り盛りしていて、素朴で温かみのあるお宿という点がおすすめする理由です。

それと、素晴らしい泉質の源泉で、非常に効能効果が高い温泉というのも、ポイントですね。

<施設情報>
岳温泉「花かんざし」
・住所:福島県二本松市岳温泉1-104
・電話:0243-24-2110
・アクセス:
<車>東北自動車道 二本松ICより約15分
<電車>JR東北本線の二本松駅から車で約15分(路線バスもあり)
<飛行機>福島空港から車・タクシーで約60分

温泉好き「らくらく湯旅」ユーザーへのコメント

◇編集部:最後に、「らくらく湯旅」ユーザーへ一言おねがいします。

◆片岡さん:那須別邸 回を、私たちはリセットリゾートと呼んでおり、お客様がのんびりと安らいでご滞在いただけるよう、心を込めておもてなししております。

是非1日、皇室御用邸の隣人気分を味わってみませんか。

◇編集部:本日はお忙しい中、お時間を頂戴いたしましてありがとうございました。

繊細で独創的なこだわりに基づく、心を込めたおもてなしや、上品で温かみのある癒し空間の創出など、素晴らしい取り組みをされているものと感じました。

都心から僅か2時間ほどで訪れることができる大人リゾートな場所で、上質なひと時を過ごしに「那須別邸 回」を訪れてみてはいかがでしょうか。

<基本情報>
那須温泉「那須別邸 回」
・住所:栃木県那須郡那須町湯本206
・電話:0287-76-3180
・ホームページ:http://www.bettei-kai.jp/
・アクセス:
<車>東北自動車道 那須ICより約12km
<電車>東北新幹線の那須塩原駅から車で約30分(路線バスもあり)
<高速バス>バスタ新宿の那須・塩原号 新那須から徒歩約5分