最速23分で癒しの温泉街に！ついに開通「西九州新幹線 かもめ」で長崎から武雄温泉へ

2022年9月23日ついに開業！西九州新幹線 かもめとは？

出典：PIXTA

西九州新幹線 かもめは、長崎県の長崎駅と佐賀県の武雄温泉を最速23分で走る新幹線です。

長崎から武雄温泉へ向かう途中の停車駅は、諫早、新大村、嬉野温泉の3駅。

武雄温泉駅から九州新幹線の新鳥栖駅の間は新幹線未整備のため、長崎から博多に向かう際は、武雄温泉で「西九州新幹線 かもめ」から博多へ向かうリレー特急「リレーかもめ」に対面乗り換えをします。

新幹線の開通によって、長崎から博多までの所要時間は、導入前の最速1時間50分から約30分縮まり、1時間20分になりました。

乗り換えの手間はかかりますが、30分短縮できるのはとても嬉しいですね。

メイクアップした顔を持つ新幹線

車両をデザインしたのは、水戸岡鋭治氏。

世界的な賞をたくさん受賞し、これまでJR九州の列車を中心に数多くのデザインを手掛けてきた方です。

今回の西九州新幹線 かもめは、「九州らしいオンリーワンの車両」をコンセプトに、新幹線とかもめをイメージする白をベースにJR九州の企業カラーの赤を使ったデザインで、かもめのシンボルマークや毛筆の「かもめ」が描かれています。

水戸氏によると、「新幹線の顔にメイクアップしよう！」という発想で、ライト（目）をアイシャドウで大きく見せたり、先端に鼻をつけて高く見えるようにしたりと、面白い趣向も盛り込まれています。

車両ごとに異なるデザインのシートは快適性バツグン！

内装のデザインは、「優しい、明るい、楽しい、心地よい、美しい」をテーマに和洋折衷、クラシックとモダンの懐かしくて新しい空間が表現されているとのこと。

さらに注目は、次に紹介する指定席は車両ごとに異なるシートのデザイン。予約するときにどの車両を選ぶか迷ってしまいますね。

落ち着いた装飾のなか、ゆったりくつろげる「指定席」

広々とした4列シートの指定席は、足元もゆったりしてくつろげます。

シートデザインは、1号車は菊大柄、2号車は獅子柄、3号車は唐草と、どれもシックで落ち着いた雰囲気。シートの間にあるひじ掛けを開けば木製のテーブルが出てきます。

腰や背中部分は程よい弾力があり、頭部は頭を包み込んでくれるような柔らかさで、全身の力が自然と抜けるほど抜群の快適性です。

黄色を基調とした爽やかな空間が広がる「自由席」

一方、自由席は、鮮やかな黄色を基調としたシートで爽やかな雰囲気。

5列シートなので指定席よりは若干スペースが狭いですが、東洋紡の三次元網状繊維構造体「ブレスエアー」が採用されたシートは、ほど良いクッション性でとっても快適です。

テーブルは、前座席の後ろから倒して使うタイプです。

長崎らしさがあちこちに散りばめられた長崎駅に気分は上々

いよいよ長崎駅から佐賀の武雄温泉駅に向けて出発です。

新幹線の開通に合わせて大きくリニューアル工事中の長崎駅。

令和5年（2023年）秋には、地上階から5階までが商業施設、7階から最上階までがホテルとなる新しいビルもできるそうで今から楽しみです。

いざ改札へ。

改札を入ってすぐのところにあるトイレの入口には、ステンドグラスで飾られているという、異国情緒あふれる長崎ならではのデザインがあしらわれています。

改札を入った先には、長崎県の世界遺産である「大浦天主堂」や「軍艦島」をLEGOブロックで作った展示物も。

駅の中で、長崎旅行が楽しめるかのようです。

まるでヨーロッパのようなホーム

駅構内のドーム状の屋根は、まるでヨーロッパの終着駅のよう。

西洋と東洋の文化が混じり合った長崎にピッタリの雰囲気を漂わせています。

さっそく、「西九州新幹線 かもめ」にご対面！

列車を正面から眺められるのは、終着駅ならではの利点。

また、タイミングによっては15分以上停車しているので、こだわりの新幹線のお顔のメイクアップデザインもしっかり確認できます。

車両の停車ホームによっては、新幹線が在来線と並ぶ貴重な姿を撮影することもできますよ。

いざ、佐賀の武雄温泉駅へ向かって出発！

乗車してすぐ見つけたのは、車両連結部に飾られた「かもめイラスト」。

先ほど紹介した水戸岡氏の描いたイラストです。

ここでももれなく記念撮影を。

大きな荷物も難なく置ける広い手荷物置き場に感動しながら席につき、さぁ出発です。

※長崎駅-諫早駅間の車窓

※諫早駅-新大村駅間の車窓

長崎から武雄温泉まではトンネルの区間も多いですが、車窓からの景色を楽しむなら進行方向左の窓側の席がおすすめ。

この日は快晴で遠くの景色まではっきりと楽しむことができました。緑豊かな景色が広がり心が穏やかになりますよ。

※新大村駅-嬉野温泉駅間の車窓

新大村駅から嬉野温泉駅間は、大村湾や茶畑の美しい景色を望めます。

地元の名産品が展示されたスペースもあり観光列車のような雰囲気も

車内には、地元の名産品や「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」などの名所を案内するコーナーがあり、観光列車のようなワクワク感を味わえます。

展示物は定期的に変わるので、乗るたびに異なる名産品を見れるのは嬉しいですね。

名産品の他にも数々の作品が飾られており、座っている暇がないほど。

新幹線とは思えないほど、楽しめる車内となっています。

各地域の情景が浮かんでくるかのよう。発車メロディも聴き逃せない

西九州新幹線では、オリジナルの各駅の発車メロディーや車内メロディーを導入しています。

JR九州のホームページを見ると、例えば長崎駅は、国指定の重要無形民俗文化財「長崎くんち」の銅鑼(どら)で始まり…、武雄温泉駅は、武雄温泉楼門をイメージして制作と各駅や車内メロディーの説明が書いてあります。

それぞれの地域の情景がどんなメロディーになるか、聴き逃せませんね。

あっという間に武雄温泉へ到着！武雄の豊かな自然に心温まる

23分の旅はあっという間。武雄温泉へ到着です。

今回は、対面のホームの博多行きのリレーかもめには乗り換えず、武雄温泉で下車し豊かな自然に癒されることにします。

ちなみに、リレーかもめはこちら。

武雄温泉駅に到着すると、同一ホームの両側に「リレーかもめ」が並ぶ形になっているので、階段を上り下りしたりといった移動なく、ラクに乗り換えができます。

リレーかもめを見送って、武雄温泉へ繰り出しましょう！

まずは武雄温泉のシンボル「武雄温泉楼門」へ

最初に赴いたのは、武雄温泉駅から歩いて12分ほどの場所にある「武雄温泉楼門」。

竜宮城のような艶やかな門は、街中でも一際目立つ存在です。

こんなに立派な建築物が、釘を一本も使っていないとはびっくり。国の重要文化財に指定されているのにも納得です。

武雄温泉の湯をゆっくり堪能

提供：武雄市観光協会

武雄温泉楼門の見学後は、すぐそばにある「武雄温泉 元湯」へ。

現役の建物としては日本最古の公衆浴場といわれている場所とのことで、さすがの佇まい。

あつ湯とぬる湯を交互にゆっくり楽しみ、冷えた体が芯から温まりました。

温泉に浸かったら佐賀牛や海の幸などグルメを堪能

入浴後はお腹を満たしましょう。

佐賀といえばやっぱり佐賀牛ということで、武雄温泉駅に戻り在来線乗り場「武雄温泉駅観光案内所」の一角にある「カイロ堂」へ。

佐賀牛を使ったお弁当で九州駅弁グランプリ3連覇を達成した店に期待が高まります。

「佐賀牛ステーキ＆焼肉弁当」（2,484円）を購入しイートインスペースでさっそくご対面。

溶けるほど柔らかいステーキと、タレがよく染みた焼肉の旨みに大満足です。

ちなみに、武雄温泉では近海で獲れた新鮮な海の幸も味わえます。

武雄温泉はパワースポットや陶芸体験など観光スポットも満載

出典：PIXTA（武雄の大楠）

武雄温泉には、樹齢2,000年から3,000年以上といわれている大楠めぐりや1年中冷んやりしている「永野の風穴」など、パワースポットがさまざま。

また、「武雄温泉新館やきもの体験工房」で、ロクロ体験や湯呑みや皿への絵付け体験をして旅の思い出の品を作ることも。

温泉だけに止まらない魅力が武雄温泉にはあふれています。

西九州新幹線 かもめの停車駅は温泉やグルメに自然も魅力が盛りだくさん

西九州新幹線 かもめの停車駅には、他にも魅力たっぷりの場所があります。

異国情緒溢れる街並みで、観光・グルメ・温泉と多彩な楽しみ方ができる「長崎駅」

出典：PIXTA

西洋と東洋の入り混じった異国情緒溢れる街並みが広がる長崎。

明治期の洋館を移築復元した「グラバー園」や鎖国時代に唯一西欧に開かれていた「出島」、世界平和への願いを込めてつくられた「平和公園」などの観光はもちろん、「ちゃんぽん」「カステラ」などのグルメも多彩です。

また、駅から車で8分ほどの稲佐山にある日帰り温泉施設「ふくの湯」では、露天風呂、ジェットバス、人工炭酸泉、サウナ、岩盤浴などの湯めぐりが楽しめます。

風情ある街並みにほっこり気分。日本三大美肌の湯で知られる街「嬉野温泉駅」

出典：PIXTA

「嬉野温泉」は、日本三大美肌の湯として有名な温泉地です。

レトロな建物の公衆浴場「シーボルトの湯」をはじめ、風情ある街並みはほっこり気分にさせてくれます。

小さい街ながら足湯スポットも充実。日帰り温泉が楽しめる施設や温泉宿も多いので、温泉に浸かるだけでつるつるスベスベの肌になれるという嬉野の湯をお気軽に満喫できます。

西九州新幹線 かもめで日帰り温泉はしごの旅へ出かけよう！

出典：PIXTA

開通して間もない西九州新幹線 かもめに実際に乗ってみて、そのこだわりや魅力を肌で感じることができました。

長崎からあっという間に嬉野温泉や武雄温泉にアクセスできる西九州新幹線 かもめ。

かもめに乗って、日帰り温泉のはしご旅へ出かけてみてはいかがでしょうか。

西九州新幹線 かもめの所要時間・料金・予約方法

最後に、西九州新幹線 かもめの具体的な所要時間や料金、予約方法を説明します。

西九州新幹線 かもめの停車駅や所要時間

■停車駅と所要時間

停車駅は、長崎、諫早、新大村、嬉野温泉、武雄温泉の5駅です。

1日47本の運行のうち、3本（下り2本、上り1本）は、長崎-新大村間の区間運転で、残り44本は、諫早駅は全列車停車、新大村は37本が停車、嬉野温泉は25本が停車します。

所要時間は、長崎-武雄温泉間は最速23分。長崎-嬉野温泉間はおよそ25分（各駅停車）です。

■西九州新幹線 かもめの全線開通時期は2037年頃！

現在、令和4年（2022年11月）は、武雄温泉-新鳥栖間が未整備のため、長崎から博多に向かう際は、武雄温泉で「西九州新幹線 かもめ」から博多へ向かうリレー特急「リレーかもめ」に乗り換えます。

未整備区間がフル規格に整備され、西九州新幹線 かもめが全線開通するのは、順調にいけば令和19年（2037年）頃とされています。

その際には、長崎-博多間の所要時間がさらに約29分短縮され約51分となります。

長崎から博多まで1時間かからず、さらに新大阪までの直通運行が実現するのが待ち遠しいばかりです。

乗車料金

長崎-武雄温泉間の通常きっぷは大人3,600円、子供1,800円（自由席の場合、大人3,070円、子供1,530円）、インターネットでは、大人3,070円、子供1,530円（指定席・自由席とも）と割引価格で購入できます。

予約方法

JRの窓口、みどりの窓口、自動券売機、旅行代理店、インターネットなど、さまざまな場所や方法で購入できますが、お得にきっぷを購入できるのはインターネットです。

各種割引きっぷは、JR九州のインターネット予約「JR九州インターネット列車予約」で無料会員登録すれば誰でも購入できます。

きっぷをインターネット購入した場合、乗車前に紙のきっぷをJR九州の窓口もしくは特急券券売機・受け取り専用機で受け取りましょう。

長崎-武雄温泉間のお得なきっぷは、乗車日の出発列車6分前まで購入できる「かもめネットきっぷ」です。

別途、長崎-博多間や長崎-佐賀間は、期間限定の割引きっぷがあります（令和4年（2022年）11月13日現在）。

新たに割引きっぷが販売されることもありますので、購入前にJR九州のサイトでご確認ください。