熱くならない湯へ|源泉かけ流し【微温湯温泉】で過ごす余白の旅


出典:高湯温泉観光協会 高湯温泉旅館協同組合
2026年01月31日更新

この記事を書いた人

湯あがり ぽか子

温泉大好き40年のベテラン。「一湯一会」を逃さないために、常に手ぬぐいを持ち歩いています。長年の経験で、お湯を触っただけで大体の泉質がわかる特技を持ちます。温泉好きが高じて、温泉ソムリエ・温泉観光アドバイザーの資格を取得。日本の宝である「温泉文化」を皆さんにお伝えできることが喜びです!

福島市の市街地から山道を分け入り、吾妻連峰の懐へと進んでいくと谷あいにひっそりと湯けむりを上げる微温湯温泉に辿り着きます。

人里からそう遠くはないはずなのに周囲には音が少なく、山の静けさがゆっくりと広がっていきます。

この温泉の特徴はその名のとおり“ぬるい”こと。熱さで身体を押す湯ではなく、時間をかけて寄り添うような温度がここでは当たり前として守られてきました。
最初は拍子抜けするほど穏やかな湯が、しばらくすると呼吸や思考の深さを変えていく。微温湯温泉はそんな変化を静かに受け止める場所です。

何かを得るための旅ではなく、余分な力を抜くための旅。山あいの静けさとともに、ぬる湯に身を委ねる時間がここからゆっくりと始まります。

花見山公園。福島の里山にひらける、季節の色を歩く時間

出典:一般社団法人 福島市観光コンベンション協会

福島市郊外の里山に広がる花見山公園は、訪れる季節によってまったく異なる表情を見せる場所です。

特に春、桜や花木が一斉に咲き誇る光景はよく知られていますが、この公園の本質は花の多さ以上に里山の起伏と人の暮らしが織りなす風景そのものにあります。

整備された散策路を歩くと視線の先には福島市街や吾妻連峰の稜線が重なり、歩くごとに景色がゆっくりと切り替わっていきます。

春の華やぎ、夏の深い緑、秋の穏やかな色づき、冬の静寂。どの季節も、過度に作り込まれた印象はなく、自然と人の距離感が心地よく保たれています。

花見山公園は何かを急いで見て回る場所ではありません。
立ち止まり、風を感じ、遠くの山を眺める。その静かな時間がこれから向かう微温湯温泉での滞在や湯上がりの余韻をより深いものにしてくれます。

旅の途中で感覚をひらき、季節を受け取るための寄り道としてそっと組み込みたい場所です。

 

源泉かけ流し 微温湯温泉。山あいに湧く“ぬるさ”の理由


出典:高湯温泉観光協会 高湯温泉旅館協同組合

福島市の山あい、吾妻連峰の懐に抱かれるように湧く微温湯温泉は、その名のとおり一般的な温泉よりも低めの湯温を特徴とする温泉地です。

熱さで身体を一気に温める湯とは異なり、ここでは「ぬるい」と感じる温度がむしろこの温泉の本質を形づくっています。

その理由は自然の条件にあります。微温湯温泉の源泉は火山の直上ではなく、山あいの地下深くをゆっくりと巡って湧き出すため、源泉温度が高くなりすぎません。
加温を抑え、源泉の状態に近い温度で湯を使ってきた結果、この“ぬるさ”が守られてきました。

湯に身を沈めると最初は物足りなさを覚えるかもしれません。しかし、時間をかけて浸かるうちに身体の力が抜け、呼吸が深くなっていくのを感じます。

微温湯温泉の湯は刺激で効かせるものではなく、静かに寄り添うもの。
山の静けさと同じリズムで身体を整えていく。そのための温度がこの“ぬるさ”なのです。

微温湯温泉 旅館 二階堂。ぬる湯と静けさに身を委ねる、山あいの宿


出典:高湯温泉観光協会 高湯温泉旅館協同組合

福島市の山あい、吾妻連峰の懐にひっそりと佇む旅館 二階堂は、微温湯温泉の性格をそのまま体現するような宿です。

派手な看板や賑わいはなく、宿へ向かう道の途中から音と気配が少しずつ削ぎ落とされていきます。

二階堂の湯は微温湯温泉ならではの“ぬるさ”を大切にした源泉かけ流し。熱さで押すことはなく、身体を包み込むような温度が続きます。

湯に浸かり、しばらく何もせずにいると呼吸が深くなり、思考が静まっていくのを自然と感じるでしょう。
長く浸かることを前提にした湯だからこそ、時間そのものが贅沢になります。

山の静けさと歩調を合わせるように過ごす滞在は湯治場としての微温湯温泉の記憶を今に伝えています。

旅館 二階堂は何かを足すための宿ではありません。余分なものを手放し、湯と向き合う。そんな時間を求める旅人に静かに寄り添ってくれる一軒です。

微温湯温泉の源泉かけ流し温泉の概要


出典:高湯温泉観光協会 高湯温泉旅館協同組合

微温湯温泉は福島市の山あいに佇む静かな湯処で、浴槽には源泉かけ流しの湯が満ちています。湯は注がれ続けて溢れ出し、つねに新しい湯へと入れ替わっていく素直な湯づかいが魅力です。

ぬるめの温度は体にやさしく、肩まで沈めてしばらく息を整えると芯からじわりと温まります。窓の向こうを渡る風や鳥の声が静けさを深め、時間の流れがふっと緩むのを感じます。

泉質は酸性泉。

効能は酸性泉に準ずる皮膚疾患の緩和と殺菌・洗浄作用、長湯による休養・疲労回復です。

源泉温度は低温泉に分類されるぬる湯。
pH値は酸性域で、湧出量は非公表の山あいの一軒宿を中心とした源泉かけ流し、季節による湯温の自然変動、長湯向きの滞留浴が特徴の温泉です。

旅の余韻


出典:一般社団法人 福島市観光コンベンション協会

湯を上がり、微温湯の谷に戻ると山の空気が静かに身体へ染み込んできます。

熱さで押す湯ではないからこそ、源泉かけ流しの“ぬるさ”はあとから効いてくる感覚として残ります。
呼吸は深く、歩幅は自然と小さくなり、時間の流れが一段ゆるやかになるのを覚えます。

湯船で過ごした長いひとときは強い印象としてではなく、思考の余白として心に留まります。

音の少ない山あいで、何も足さずに身を委ねた記憶が日常へ戻ったあとも静かに支えになる。

微温湯温泉での滞在は旅の終わりに“熱”ではなく“余白”を残してくれます。

ふと立ち止まりたくなったとき、あのぬる湯の感触がよみがえり、また山へ向かう理由として心の奥で息づいていくでしょう。