【吉岡温泉】源泉かけ流しから鳥取砂丘へ


出典:フォトAC
2026年02月11日更新

この記事を書いた人

湯あがり ぽか子

温泉大好き40年のベテラン。「一湯一会」を逃さないために、常に手ぬぐいを持ち歩いています。長年の経験で、お湯を触っただけで大体の泉質がわかる特技を持ちます。温泉好きが高じて、温泉ソムリエ・温泉観光アドバイザーの資格を取得。日本の宝である「温泉文化」を皆さんにお伝えできることが喜びです!

鳥取県鳥取市西部、山里の落ち着いた町並みに湧くのが、吉岡温泉です。

千年以上の歴史を持つといわれるこの温泉地は、今も源泉の湯を大切に守りながら、静かな時間を旅人に差し出してくれます。

周辺には鳥取砂丘や賀露港といった海の景色が広がり、山あいの温泉と日本海の風景を行き来できるのも魅力のひとつ。

にぎわいを求める旅ではなく、落ち着きの中で心を整える。吉岡温泉はそんな過ごし方が自然と似合う場所です。

風と光が描く日本最大級の砂の景観 鳥取砂丘

出典:吉岡温泉旅館組合

吉岡温泉から車で足を延ばせば、日本海に沿って広がる鳥取砂丘に辿り着きます。

南北約2km、東西約16kmに及ぶ砂丘は、風と砂がつくり出す自然の造形美が魅力。

時間帯や天候によって表情を変え、朝の静けさ、昼のまばゆさ、夕暮れの陰影と、それぞれに異なる景色を見せてくれます。

広い空と日本海を望みながら歩くひとときは、日常の感覚をゆっくりとほどいてくれるもの。

山あいの吉岡温泉で湯に浸かったあとに訪れれば、温泉の余韻と砂丘の広がりが重なり、旅に静かな奥行きを添えてくれます。

 

日本海の恵みが集まる港町 鳥取・賀露港

出典:吉岡温泉旅館組合

吉岡温泉からほど近い日本海沿いに位置するのが、賀露港です。

古くから漁業の拠点として栄えてきた港で、今も水揚げされたばかりの海の幸が行き交う、生活感のある風景が広がります。

観光色が前に出すぎることなく、漁港本来の営みが息づいているのが賀露港の魅力。

港周辺では、新鮮な魚介を味わえる食事処も点在し、湯あがりの体にやさしく染み入る味に出会えます。

海を眺めながら歩く静かな時間は、吉岡温泉の旅にもうひとつの余白を添えてくれます。

湯治場の面影を今に伝える 吉岡温泉会館 一ノ湯

出典:吉岡温泉会館 一ノ湯

吉岡温泉の中心にあり、地元の人々に長く親しまれてきた共同浴場が吉岡温泉会館 一ノ湯です。

観光向けに飾り立てることなく、湯そのものの良さを大切にした佇まいが印象的。

浴槽には源泉の湯が注がれ、やわらかな温もりが体を包み込みます。

派手さはないものの、静かに湯と向き合える空間にはかつての湯治場の空気が今も息づいています。

宿の湯とは異なる、土地の日常に触れる一湯として吉岡温泉の旅に奥行きを与えてくれる存在です。

静かな温泉町に寄り添う 温泉お宿 おかじまの源泉かけ流し

出典:吉岡温泉旅館組合

吉岡温泉の落ち着いた町並みに溶け込むように佇むのが、温泉お宿 おかじまです。

大きな宿ではありませんが、その分、過ごす時間は穏やかで湯と向き合う余白がしっかりと用意されています。

館内の湯は源泉の恵みを活かしたやさしい湯ざわりで、体の芯までじんわりと温もりが広がる感覚。

女将のこだわりのインテリアや小物が旅人を暖かく迎え入れてくれます。

吉岡温泉らしい落ち着きを大切にしながら、ゆっくりと滞在したい人に寄り添う一軒です。

吉岡温泉の源泉かけ流し温泉の概要

出典:吉岡温泉旅館組合

吉岡温泉は湧きたての湯を循環に頼らず浴槽へ送り、素直な湯ざわりを大切にしてきました。湯面からふわり立つ香りが鼻腔をくすぐり、肩の力がするりと抜けて呼吸まで深くなる感覚があります。

素朴な共同浴場から小さな宿の内湯まで、規模は控えめでも湯の力がまっすぐ届くのが魅力です。浴槽の縁に手を置くと一定の温度が指先に伝わり、やわらかな肌あたりが静かに広がります。

泉質は単純温泉(低張性弱アルカリ性高温泉)。
効能は神経痛・筋肉痛・関節痛・冷え性・疲労回復・健康増進・美肌効果です。

源泉温度は約50℃で、pH値は約8.3(弱アルカリ性)で、湧出量は毎分約430リットルの無色透明でやわらかな肌あたりとつるすべ感が特徴です。

旅の余韻

出典:吉岡温泉旅館組合

湯に浸かり、港や砂丘を巡り、静かな温泉町に戻る。

吉岡温泉で過ごした時間はにぎやかな記憶ではなく、感触として心に残っていきます。

一ノ湯のやわらかな湯ざわりや、町に漂う穏やかな空気は、帰路についてからもふとした瞬間によみがえり、日常の歩幅を少しだけ緩めてくれるはず。

何かを詰め込む旅ではなく、余白を持ち帰る旅。吉岡温泉の余韻は静かに、けれど確かに続いていきます。