【中房温泉】源泉かけ流し| 燕岳登山口で味わう源泉の時間


2026年02月13日更新

この記事を書いた人

湯あがり ぽか子

温泉大好き40年のベテラン。「一湯一会」を逃さないために、常に手ぬぐいを持ち歩いています。長年の経験で、お湯を触っただけで大体の泉質がわかる特技を持ちます。温泉好きが高じて、温泉ソムリエ・温泉観光アドバイザーの資格を取得。日本の宝である「温泉文化」を皆さんにお伝えできることが喜びです!

北アルプス・燕岳の登山口、長野県安曇野市の山中に湧くのが中房温泉です。

標高約1,450メートル、深い谷あいに位置するこの温泉地は自然湧出の源泉と地熱を活かした湯が点在し、山と共に過ごすための時間が静かに整えられています。

登山前後に立ち寄る湯として知られながらも、ただ浸かるだけで終わらないのが中房温泉の魅力。

湯気、岩、風、そして山の熱。人の手を最小限にした環境の中で、心身がゆっくりと自然へ還っていく感覚を味わえます。

北アルプスの稜線へと誘う名峰 燕岳

出典:フォトAC

中房温泉から登山道をたどった先に広がるのが、北アルプスを代表する山のひとつ、燕岳です。

花崗岩が織りなす白い山肌と、なだらかで開放感のある稜線は、北アルプス入門の山としても親しまれてきました。

山頂付近から望む槍・穂高連峰の眺めは雄大で、晴れた日には空と岩稜が溶け合うような景色が広がります。

特徴的なイルカ岩など、自然が生んだ造形に足を止めながら歩く時間も印象的。

下山後に中房温泉の湯に浸かれば、山の緊張がゆっくりとほどけ、登る喜びと癒やしがひとつにつながる。

そんな山と温泉の関係を実感できる場所です。

安曇野の水が育てる味

出典:フォトAC

北アルプスの雪解け水が地中をくぐり、澄んだ湧水となって現れる安曇野。この豊かな水こそが、安曇野の食文化を静かに支えています。

わさび田を潤す清冽な流れ、豆腐やそば、地酒づくりに欠かせない水の存在は、料理の輪郭をやさしく整え、素材の持ち味を引き立てます。

強く主張する味ではなく、あとからじんわりと伝わってくる滋味。

その背景には、変わらぬ水の流れと、自然と向き合ってきた土地の営みがあります。

安曇野の味を口にすることは、この地を流れる水そのものに触れることなのかもしれません。

北アルプスの懐に湧く秘湯 中房温泉

出典:中房温泉

燕岳の登山口に位置し、北アルプスの山々に抱かれるように湧くのが、中房温泉です。

標高約1,450メートルの山中にありながら湯量は豊富で、敷地内には14のお風呂が点在。

渓流沿いの野天風呂や趣の異なる湯船に加え、体を動かしながら温まれる温泉プールも備え、滞在の中で湯めぐりの楽しみが広がります。

源泉は自然湧出で、加水や循環に頼らない湯は力強さとやわらかさを併せ持ち、登山でこわばった体をゆっくりと解きほぐしてくれます。

硫黄の香りがほのかに漂う空気、谷を渡る風、湯音だけが響く時間。

多彩な湯に身を委ねながら、山とともに過ごす感覚を深く味わえるのが中房温泉です。

山の熱に身をあずける 中房温泉の地熱浴場

出典:中房温泉

中房温泉ならではの体験として知られるのが、自然の地熱を活かした地熱浴場です。

中房温泉の敷地内には、地下から立ち上る熱をそのまま利用した空間が設けられ、蒸気に包まれながら体を芯から温めることができます。

湯に浸かるのとは異なり、じんわりと内側から汗がにじみ、呼吸も自然と深くなる感覚。

登山後の体を休める場としても重宝され、無理なく巡りを整えてくれます。

人工的な設備に頼らず、山が生み出す熱そのものを受け取る。地熱浴場は、中房温泉が自然と共にある温泉地であることを静かに実感させてくれる場所です。

中房温泉の源泉かけ流し温泉の概要

出典:中房温泉

北アルプスの山腹に湧く中房温泉は、湯気に森の匂いが混じる山の湯です。

満たしては溢れるおだやかな湯に身を委ねると、肌当たりはやわらかく野趣がそっと寄り添います。

湯舟の縁で耳を澄ますと、せせらぎと鳥の声が重なり、時間の感覚が少し緩みます。山旅の前に体を温めるもよし、下山後に深くほどけるもよし、旅程に合わせて楽しめます。

泉質は単純温泉中心で、効能は神経痛・筋肉痛・関節痛・冷え性・疲労回復などの一般適応症です。

源泉温度は高温〜超高温帯。pH値は弱酸性〜中性。湧出量は豊富な自家源泉による源泉かけ流し。
北アルプス登山口に湧く山間の秘湯情緒と多彩な浴槽、豊富な湯量を生かした源泉かけ流し利用が特徴の温泉です。

旅の余韻

出典:フォトAC

山を歩き、湯に浸かり、地熱に身をあずける。中房温泉で過ごした時間は、自然のリズムに呼吸を合わせるような体験として心に残ります。

燕岳の稜線で感じた風や、野天風呂に漂う湯気の匂いは、下山してからもふとよみがえり、日常の速度を静かに緩めてくれるはず。

何かを成し遂げたという達成感ではなく、山とともに過ごした感覚が余韻として続いていく。

中房温泉の旅は、そんな静かな締めくくりがよく似合います。