山里に時を預ける|【沓掛温泉】源泉かけ流しと国宝を巡る旅


出典:大法寺三重塔
2026年02月15日更新

この記事を書いた人

湯あがり ぽか子

温泉大好き40年のベテラン。「一湯一会」を逃さないために、常に手ぬぐいを持ち歩いています。長年の経験で、お湯を触っただけで大体の泉質がわかる特技を持ちます。温泉好きが高じて、温泉ソムリエ・温泉観光アドバイザーの資格を取得。日本の宝である「温泉文化」を皆さんにお伝えできることが喜びです!

長野県青木村、山あいの静かな集落に湧くのが沓掛温泉です。

古くから湯治場として親しまれてきたこの温泉地には、今も派手さを抑えた落ち着いた空気が流れています。

やわらかな湯に身を委ね、国宝・大法寺三重塔や山里の風景を辿る時間は、観光というよりも土地に身を置く感覚に近いもの。

慌ただしい日常から一歩離れ、呼吸を整えるように過ごす。

沓掛温泉は、静けさの中で旅を深めたい人にそっと寄り添う場所です。

山里に佇む均整の美 国宝・大法寺三重塔

出典:大法寺三重塔

沓掛温泉からほど近い青木村に静かに立つのが、大法寺三重塔です。

鎌倉時代に建立されたとされるこの三重塔は、全国でも数少ない国宝建造物のひとつ。

山里の風景に溶け込む端正な姿は過度な装飾に頼らず、均整の取れた美しさで見る者を惹きつけます。

境内に立てば、木々のざわめきと澄んだ空気が満ち、時間がゆっくりとほどけていく感覚に包まれます。

沓掛温泉で湯に浸かり体を温めたあとに訪れることで、湯の余韻と歴史の静けさが重なり、旅に奥行きのある一章を添えてくれる場所です。

山里の恵みが集う拠点 道の駅「あおき」

出典:一般社団法人 長野県観光機構

沓掛温泉や大法寺三重塔を巡る途中に立ち寄りたいのが、道の駅 あおきです。

青木村の暮らしに根ざしたこの道の駅には、地元で採れた野菜や加工品が並び、季節ごとの土地の表情を身近に感じることができます。

食事処では信州らしい素朴な味わいが楽しめ、観光客向けに作り込まれすぎていない点も魅力のひとつ。

買い物や休憩を通して、山里の日常にそっと触れる時間が流れます。

温泉や歴史を味わったあとの立ち寄り先として、旅に現実感と温もりを添えてくれる場所です。

 

山あいに静かに佇む一軒宿 沓掛温泉・満山荘

出典:満山荘

沓掛温泉の落ち着いた空気を象徴する宿が、満山荘です。

山里の自然に溶け込むように建つ宿は派手な演出を控え、湯と向き合う時間を大切にした佇まい。

館内では源泉かけ流しの温泉が楽しめ、やわらかな湯ざわりが体の緊張をゆっくりとほどいてくれます。

窓の外に広がるのは、山の稜線と静かな集落の景色。

食事もまた、土地の恵みを丁寧に生かした内容で、滋味が静かに広がります。

賑わいから距離を置き、心身を整えるために滞在したい。満山荘は沓掛温泉の本質を静かに伝えてくれる一軒です。

 

湯治場の面影を残す共同浴場 小倉乃湯

出典:小倉乃湯

沓掛温泉の中心で、長く地域に親しまれてきた共同浴場が小倉乃湯です。

観光向けに飾り立てることなく、湯そのものの心地よさを大切にした素朴な佇まいが印象的。

浴槽に満たされる湯はやわらかく、体を包み込むように温もりが広がります。

地元の人々の暮らしの延長にある空気感は、初めて訪れても不思議と落ち着くもの。

宿の湯とは異なる、土地の日常に触れる一湯として、小倉乃湯は沓掛温泉の静かな魅力を今に伝えています。

沓掛温泉の源泉かけ流し温泉の概要

出典:満山荘

泉質は単純温泉(低張性弱アルカリ性高温泉)で、効能は神経痛、筋肉痛、関節痛、冷え性、疲労回復、美肌です。

源泉温度は45℃前後で、pH値は8.5前後。

湧出量は非公表の無色透明でやわらかな湯、静かな里山の湯治情緒、源泉かけ流し主体が特徴の温泉です。

旅の余韻

出典:満山荘

湯に浸かり、山里を歩き、歴史と暮らしに触れる。

沓掛温泉で過ごした時間は、賑やかな記憶ではなく、静かな感覚として心に残っていきます。

小倉乃湯のやわらかな湯ざわりや、満山荘の落ち着いた佇まい、大法寺三重塔の均整のとれた姿は帰路についてからふとよみがえり、日常の歩幅を少しだけ緩めてくれるはず。

何かを詰め込む旅ではなく、余白を持ち帰る旅。沓掛温泉の余韻は穏やかに、そして長く続いていきます。