色を持たない湯が、記憶に残る|【五色温泉】源泉かけ流しの静かな時間
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湯あがり ぽか子
温泉大好き40年のベテラン。「一湯一会」を逃さないために、常に手ぬぐいを持ち歩いています。長年の経験で、お湯を触っただけで大体の泉質がわかる特技を持ちます。温泉好きが高じて、温泉ソムリエ・温泉観光アドバイザーの資格を取得。日本の宝である「温泉文化」を皆さんにお伝えできることが喜びです!
長野県北部、高山村の山あいにひっそりと湧く五色温泉は、自然の気配とともに過ごす静かな旅を叶えてくれる温泉地です。
雷滝の迫力ある水音に迎えられ、里山の桜や畑の風景を抜けた先に佇む一軒宿・五色の湯旅館。
源泉かけ流しの湯は、光や空気によって白濁や淡い青みを帯び、刻々と表情を変えていきます。
華やかさではなく、余白と静けさを大切にする。五色温泉は、そんな旅の本質を思い出させてくれる場所です。
目次
雷滝|轟音が旅心を目覚めさせる 五色温泉への入り口

出典:五色の湯旅館
五色温泉へ向かう途中に現れる雷滝は、落差約30メートルの豪快な滝。
雷鳴のような水音とともに流れ落ち、その裏側を歩ける「裏見の滝」として知られています。
水のカーテン越しに眺める景色は、山深い世界へ踏み入る合図のよう。
雪解け水が迫力を増す春、涼を運ぶ夏、紅葉に彩られる秋、氷瀑となる冬と、季節ごとに表情を変えるのも魅力です。
雷滝の存在が、これから始まる五色温泉の秘湯体験へと、気持ちを静かに切り替えてくれます。
高山村の桜|山里に訪れる、はかなき春の時間

出典:五色の湯旅館
長野県高山村は、春になると山里ならではの静かな桜景色が広がる場所です。
なかでも知られるのが、樹齢500年を超えるとされる「黒部のエドヒガン桜」。
堂々とした一本桜が、まだ肌寒さの残る里山に淡い色を添え、訪れる人を静かに迎えてくれます。
観光地化されすぎていない高山村の桜は、人のざわめきよりも風の音が似合う風景。
雪解け水が流れる田畑や残雪の山々とともに眺める桜は、五色温泉へ向かう旅の途中で、心をゆるやかにほどいてくれる存在です。
短い春のひとときを慈しむように味わえるのが、高山村の桜の魅力といえるでしょう。
高山ワイナリー|山の気候が育む 素朴で誠実な一杯

出典:五色の湯旅館
高山村の冷涼な気候と昼夜の寒暖差を生かし、丁寧なワイン造りを続けているのが高山ワイナリーです。
自社畑を中心に育てたぶどうから醸されるワインは、派手さよりも土地の個性を映したやわらかく素直な味わいが特徴。
山あいの静かな環境で少量生産されるワインは、旅の途中に立ち寄るのにちょうどよい存在です。
五色温泉で湯に身を委ねたあと、地元の風土が詰まった一杯を思い浮かべる。そんな余韻まで含めて、高山ワイナリーはこの土地らしい楽しみ方を教えてくれます。
五色の湯旅館|色を変える湯と向き合う 山中の一軒宿

出典:五色の湯旅館
五色温泉に佇む五色の湯旅館は、山深い地に昔から湧き続ける源泉を守りながら営まれてきた一軒宿です。
最大の特徴は、空気や光の加減で湯の色合いが微妙に変化する温泉。
その名のとおり、白濁から淡い緑、青みを帯びた表情まで、自然条件によって異なる顔を見せます。
館内の湯は源泉かけ流しで、加水や過度な手入れを抑え、湯本来の力を大切にしているのも魅力。
派手な設備はありませんが、その分、湯と静けさに集中できる時間が流れます。
雷滝や高山村の自然を巡ったあとに身を沈める五色の湯は、旅の終盤にふさわしい、深い余韻を残してくれる存在です。
五色温泉の源泉かけ流し温泉の概要

出典:五色の湯旅館
長野県高山村の五色温泉 源泉かけ流しは、山肌に寄り添う湯が静かに満ち、素直な力で体を包みます。浴槽には新鮮な湯が注がれ、湯口に耳を澄ますと生まれる小さな音が空間の温度を上げてくれます。
泉質は含硫黄-カルシウム・ナトリウム-硫酸塩・塩化物泉。
効能は神経痛・筋肉痛・関節痛・慢性皮膚病・冷え性・疲労回復です。
源泉温度は約45〜50℃前後で、pH値は弱酸性〜中性。
湧出量は施設別表示・非公開。
天候や温度で乳白色から青白色へと湯色が移ろう五色のにごり湯、硫黄香とやわらかな湯触り、渓谷に寄り添う源泉かけ流しが特徴の温泉です。
旅の余韻

出典:五色の湯旅館
雷滝の轟音に迎えられ、高山村の桜や畑の風景を抜け、最後に五色の湯へと身を委ねる。
五色温泉の旅は、自然の表情が少しずつ重なり合うように進んでいきます。
湯の色が定まらないように、記憶の中の景色もまた、時間とともにやわらかく変化していくもの。
華やかさよりも、静けさが深く残る場所。山の気配と湯のぬくもりを胸に、ふとした瞬間に思い出したくなる余韻こそが、五色温泉のいちばんの贈り物なのかもしれません。



