日本三大胃腸病の名湯【峩々温泉】源泉かけ流し|蔵王の一軒宿で味わう「かけ湯」と御釜の絶景
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湯あがり ぽか子
温泉大好き40年のベテラン。「一湯一会」を逃さないために、常に手ぬぐいを持ち歩いています。長年の経験で、お湯を触っただけで大体の泉質がわかる特技を持ちます。温泉好きが高じて、温泉ソムリエ・温泉観光アドバイザーの資格を取得。日本の宝である「温泉文化」を皆さんにお伝えできることが喜びです!
宮城県川崎町、蔵王国定公園の奥深く、標高約850メートルの山中に湧く峩々温泉。
仙台から車を走らせ、蔵王エコーラインを登っていくと、やがて左右を険しい断崖に囲まれた細い道へ入ります。
木々がぐっと迫り、空気がひんやりと変わる。
その先にひっそりと三角屋根を連ねる一軒宿が姿を現すのが、峩々温泉との出会いです。
目次
蔵王の大自然 御釜と絶景エコーラインを巡る

峩々温泉へ向かう道すがら、蔵王エコーラインは季節ごとにまったく異なる顔を見せます。
春はゴールデンウィーク前後に現れる高さ数メートルにおよぶ雪の壁、夏は目に染みるような新緑、秋は山肌を染める紅葉が続き、ドライブそのものが一つの旅になります。
その先に待つのが、蔵王のシンボル「御釜」です。
蔵王ハイラインを登りきった展望台から見下ろすエメラルドグリーンの火口湖は、荒々しい岩肌との対比が神秘的で、一度目にすると長く記憶に残る光景です。晴れた日には刈田岳山頂から360度の大パノラマを楽しむこともできます。
蔵王の自然をたっぷりと目と体に刻んだあと、山の奥へと分け入っていくと、峩々温泉の湯がいっそう深く身体に沁みてきます。
蔵王の恵み 山と海の食材が織りなす食卓

出典:峩々温泉
峩々温泉の食卓には、宮城蔵王の豊かな自然が詰まっています。
宿では地元を中心に食材を探し、宮城蔵王の高原野菜、三陸産の海鮮、地元の旬な食材で料理を組み立てています。
蔵王の山裾で育まれた野菜は、昼夜の寒暖差がもたらす甘みを持ち、滋味深い一皿となって卓上に並びます。
峩々温泉では温泉の効果をより高めるために胃腸に良い食事を心がけているため、素材の力を引き出した丁寧な料理が続きます。
また、峩々温泉の近くには遠刈田温泉周辺の食の文化も息づいています。
蔵王の名水を使った蕎麦や、地元産の蔵王牛・蔵王ポーク、そして伝統こけしの里として知られる遠刈田の温泉街を散策しながら、土地の味を探してみるのも旅の楽しみの一つです。
日本三大胃腸病の名湯 「かけ湯・飲泉・入浴」の三拍子

出典:峩々温泉
峩々温泉は、宮城県の峩々温泉・群馬県の四万温泉・九州の湯平温泉とともに「日本三大胃腸病の名湯」として知られています。
飲んで胃腸に良く、入って肌に良いとされるこの湯は、明治9年(1876年)の開湯以来、150年近くにわたって湯治宿として人々に愛され続けてきました。
峩々温泉ならではの入浴法が「かけ湯」です。
大浴場のあつ湯(47度)の縁に木枕を置いて横になり、竹の筒でゆっくりと腹部に100杯かけ続けます。
最初は熱く感じますが、徐々に胃腸のあたりがじんわりと温まってくる独特の感覚があります。
この入浴法は、かつての湯治客たちが熱い湯でも湯あたりを起こさないようにと自然発生的に生み出したもので、今も峩々温泉の伝統として受け継がれています。
ロビーには飲泉のコーナーも設けられており、「かけ湯・飲泉・入浴」の三拍子が揃ってこそ、峩々温泉の湯治は完成します。
峩々温泉 150年の湯を守り続ける一軒宿

出典:峩々温泉
峩々温泉は、見渡す限り山と森に囲まれた一軒宿です。
「代々蔵王の山に生き、この名湯を守り続ける」という思いで、100%源泉かけ流しにこだわり続けています。
電波はほぼ圏外、周囲に建物はなく、冬の寒さは厳しい。しかしそんな不便さの中にこそ、ここでしか過ごせないひとときがあります。
大浴場にはぬる湯(38〜42度)とあつ湯(47度)の2つの湯船があり、男女別の露天風呂と貸切露天風呂「天空の湯」も備わっています。
冬季を除いた時期には混浴露天風呂からそそり立つ「峩々」の名の由来となった断崖を見上げることもできます。
木の温もりと洗練が共存する客室、薪ストーブが赤々と燃える談話室、湯守おすすめの一杯が楽しめるバーカウンター。
過剰なサービスよりも、日常のなかにある上質な心地よさを追い求めた宿のたたずまいが、長く滞在したくなる理由です。
峩々温泉の源泉かけ流し概要

出典:峩々温泉
泉質: カルシウム・ナトリウム-炭酸水素塩・硫酸塩泉(低張性中性高温泉)
源泉温度: 約58度
湧出量: 約200〜250リットル/分
pH値: 6.6〜6.8(中性)
効能: 胃腸病・リウマチ・肝臓疾患・慢性消化器疾患・慢性便秘・疲労回復・美肌
特徴: 100%源泉かけ流し、峩々温泉伝統の「かけ湯」が楽しめるあつ湯、ぬる湯・露天風呂・貸切露天風呂・混浴露天風呂(冬季閉鎖)を完備、飲泉可能、日本三大胃腸病の名湯
旅の余韻

峩々温泉を後にしても、身体の奥にじんわりとした温もりが残ります。
かけ湯を100杯終えたとき、飲泉をひとくち含んだとき、露天風呂から断崖を見上げたとき。
それぞれの瞬間が、蔵王の山のなかに刻まれていきます。
電波が届かず、余計なものが何もない場所だからこそ、自分の身体と静かに向き合える時間があります。
帰り道、蔵王エコーラインを下りながら、また来たいと思う場所がひとつ増えていることでしょう。



