3万年前の噴火が刻んだ柱状節理の峡谷【天人峡温泉】源泉かけ流し|落差270mの羽衣の滝・大雪山と忠別川渓谷の秘湯


出典:公益社団法人 北海道観光機構
2026年06月27日更新

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湯あがり ぽか子

温泉大好き40年のベテラン。「一湯一会」を逃さないために、常に手ぬぐいを持ち歩いています。長年の経験で、お湯を触っただけで大体の泉質がわかる特技を持ちます。温泉好きが高じて、温泉ソムリエ・温泉観光アドバイザーの資格を取得。日本の宝である「温泉文化」を皆さんにお伝えできることが喜びです!

北海道上川郡東川町、大雪山国立公園の西麓・標高600メートルの深い渓谷の底に、明治33年(1900年)の開湯以来120年以上の歴史を持つ「天人峡温泉」は佇んでいます。

「御やど しきしま荘」が一軒宿として渓谷の絶景を守りながら、ナトリウム・カルシウム・マグネシウム硫酸塩・炭酸水素塩・塩化物泉(源泉温度47〜50℃)の黄褐色の湯を源泉かけ流しで提供しています。

石造りの露天風呂から眼前に迫る柱状節理の断崖絶壁を眺めながら入浴する体験と、北海道指定天然記念物「日本の滝百選」の羽衣の滝(落差270メートル)。

天人峡温泉には、大雪山の懐深くまで分け入ってきた旅人だけが受け取れる贈り物があります。

大雪山の懐へ 柱状節理が刻む峡谷と温泉の歴史

出典:公益社団法人 北海道観光機構

天人峡温泉は、北海道上川郡東川町の忠別川上流・天人峡地区に位置しています。

旭川空港から車で約25分、旭川市内から車で約45分、東川町中心部から車で約30分というアクセスです。

公共交通機関は2011年にバス路線が廃止されており、現在はマイカーまたはタクシーでのアクセスが必要です。

旭川空港からタクシーで約40分、旭川駅前からタクシーで約1時間が目安となります。東川町が旭川空港から天人峡方面への送迎サービスを手配できる場合もあるため、宿への事前確認をおすすめします。

温泉の発見は明治33年(1900年)。松山多米蔵らがアイヌ数名とともに鉱脈探検中にこの湯を発見したとされています。

かつては「松山温泉」と呼ばれ、やがて峡谷の神秘的な景観にちなんだ「天人峡温泉」の名に変わりました。

旭川市の奥座敷として賑わった時代には複数のホテルが建ち並んでいましたが、道路水害や観光客の減少で廃業が相次ぎ、2026年現在は「御やど しきしま荘」が一軒宿として天人峡の名湯を守り続けています。


羽衣の滝・七福岩・紅葉の天人峡 渓谷の絶景を歩く

出典:公益社団法人 北海道観光機構

天人峡温泉の周辺は、大雪山国立公園の中でも特異な景観美を誇る地帯です。

渓谷を歩くと、天津岩・涙岩・七福岩など個性豊かな名前の付いた岩々が次々に現れます。

「涙岩」は巨大な一枚岩から清水が流れ落ちる様子が涙に見えると名付けられ、「七福岩」は柱状節理が7本等間隔に天に向かってそびえる壮大な岩です。

10月初旬の紅葉期には赤・黄・橙に染まった木々と黒ずんだ柱状節理の岩肌のコントラストが峡谷美の極致を生み出し、全国からカメラマンが集まります。

そして天人峡最大の見どころが「羽衣の滝」。

忠別川の支流が断崖から270メートルを一気に流れ落ちる北海道最大の落差を誇る名瀑です。

1954年(昭和29年)に北海道指定天然記念物に指定され、1990年(平成2年)には「日本の滝百選」に選出されました。

天女が羽衣をかけたという伝説が名前の由来で、白絹のように繊細に流れ落ちる水の姿はその名にふさわしい優美さです。

なお遊歩道は過去の自然災害の影響で復旧工事中のため、最新の通行情報をひがしかわ観光協会で確認してからお出かけください。


旭岳・東川町・旭川観光との組み合わせ

出典:公益社団法人 北海道観光機構

天人峡温泉は大雪山観光の知られざる拠点でもあります。

北海道最高峰・旭岳(2,291メートル)へは天人峡から車で約30分の旭岳温泉が登山口で、ロープウェイを使えば気軽に高山植物帯まで上がれます。

9月中旬には北海道で最も早い紅葉が旭岳周辺で始まり、天人峡の10月初旬の紅葉と合わせて2週間以上の長期にわたる大雪山の紅葉が楽しめます。

また「写真の町」「米の町」として知られる東川町の中心部では、個性的なカフェ・ギャラリー・家具店が点在する散策が楽しめます。

旭川市内ではラーメン・ジンギスカン・旭山動物園など北海道らしい定番の観光が充実しており、天人峡温泉を道央道央観光の起点として旭川・富良野・美瑛エリアとも組み合わせやすい立地です。


大雪山の食材と東川米 北の旬を味わう

出典:御やど しきしま荘

御やど しきしま荘の食事は、北海道内各地の旬の食材と東川町産の食材にこだわった内容で評判が高く、口コミ評価でも食事への満足度が特に高い評価を受けています。

東川町は「米の町」として知られており、大雪山の雪解け水と豊かな大地が育てた「東川米(ゆめぴりか・ななつぼし)」は粘りと甘みが格別の銘柄米です。

炊きたての東川米が宿の夕食を支える基盤となり、旭川・富良野・十勝など北海道各地から集まる旬の野菜・山菜・キノコ・魚介が彩りを添えます。

大雪山の清冽な空気と水の中で過ごし、温泉でほぐれた体に届く山里の食事は、峡谷の旅に温かな満足感を与えてくれます。


石造り露天風呂から仰ぐ断崖絶壁 源泉かけ流し体験

出典:御やど しきしま荘

御やど しきしま荘の温泉は、地下から引湯する際に空気に触れないようパイプを通して直接大浴場に届けることで温泉の老化現象を防ぎ、加水加温なしの源泉そのままを掛け流す源泉直結かけ流しを実践しています。

泉質はナトリウム・カルシウム・マグネシウム硫酸塩・炭酸水素塩・塩化物泉(中性低張性高温泉)・源泉温度47〜50℃・黄褐色澄明。

芒硝(硫酸ナトリウム)・石膏(硫酸カルシウム)・重曹(炭酸水素ナトリウム)・食塩という複合成分が血行を促進し体の芯から温め、神経痛・慢性関節リウマチ・高血圧症・動脈硬化症・糖尿病・痛風・皮膚病・婦人病など多岐にわたる効能が期待されています。

大浴場は山の岩肌をそのまま利用した豪快な設計で「パワースポットに体半分入っているような感覚」と旅人が表現するほどの圧倒的な存在感があります。

石造りの露天風呂からは眼前に迫る柱状節理の断崖絶壁が一望でき、忠別川のせせらぎと大雪山から吹き下ろす冷たい風が露天風呂の熱い湯とともに体を包みます。

温泉街の公共駐車場には足湯「天女の足湯」が無料で開放されており、日帰り旅人も気軽に天人峡の湯を体験できます。


天人峡温泉の源泉かけ流し概要

出典:公益社団法人 北海道観光機構

泉質: ナトリウム・カルシウム・マグネシウム硫酸塩・炭酸水素塩・塩化物泉(中性低張性高温泉・旧泉質名:含土類・食塩硝芒塩)

源泉温度: 47〜50℃

湯色: 黄褐色澄明

源泉かけ流し: 源泉直結・加水加温なし・空気非接触引湯による鮮度維持

効能: リウマチ・神経痛・高血圧症・動脈硬化症・糖尿病・痛風・胃腸病・皮膚病・婦人病・脳卒中後遺症


旅の余韻

出典:御やど しきしま荘

3万年前の噴火が刻んだ岩肌が、今夜は闇の中で静かにそびえている。

忠別川のせせらぎと大雪山から吹き下ろす夜風が、黄褐色の湯の熱をほどよく冷ましてくれます。

羽衣の滝が270メートルを流れ落ちる轟音がわずかに風に乗って届く気がする夜、旭川から45分走ってきたこの峡谷の底で、ゴールデンカムイの舞台にもなった大雪山の懐の深さを温泉とともに感じます。

一軒宿が守り続けたこの湯は、天人峡という地名にふさわしい、天女が降り立っても驚かない清廉な美しさを持っています。