タンチョウが舞う酪農の村に湧く【鶴居温泉】源泉かけ流し|釧路湿原を望む美人の湯と鶴見台・音羽橋の旅
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湯あがり ぽか子
温泉大好き40年のベテラン。「一湯一会」を逃さないために、常に手ぬぐいを持ち歩いています。長年の経験で、お湯を触っただけで大体の泉質がわかる特技を持ちます。温泉好きが高じて、温泉ソムリエ・温泉観光アドバイザーの資格を取得。日本の宝である「温泉文化」を皆さんにお伝えできることが喜びです!
北海道阿寒郡鶴居村、釧路湿原国立公園と隣接する北海道有数の酪農地帯。
タンチョウの二大給餌場として世界中の野鳥愛好家・カメラマンが訪れるこの村には、ナトリウム塩化物泉の「グリーンパークつるい」、pH9.19の高アルカリ性美人の湯「鶴居ノーザンビレッジ HOTEL TAITO」、2022年開業の「つるいむら湿原温泉ホテル」という3つの個性ある温泉施設が点在しています。
釧路市内から車で約30〜40分という気軽さで、白銀の大地を舞うタンチョウの姿と本物の源泉かけ流しが一度に体験できる。
北海道でもここにしかない旅の組み合わせが、鶴居村温泉の真骨頂です。
目次
鶴居村へ タンチョウのふるさと・釧路湿原の農村

鶴居温泉は、北海道阿寒郡鶴居村の村内各所に位置しています。
たんちょう釧路空港からタクシーで約30分、釧路市内から阿寒バス(鶴居線)で約50〜70分、または車で約30〜40分というアクセスです。
札幌から道東自動車道を使って車で約4時間10分、JR釧路駅から特急列車でのアクセスも可能です。
鶴居村は面積の約70%が釧路湿原国立公園と森林に覆われた自然豊かな農村で、約2,600人が暮らす小さな村です。
酪農を主産業とし、村を走る道路沿いには広大な牧草地と牛舎が続きます。村名の由来は文字通り「鶴が居る」場所であること。
現在道内に約1,800羽が生息するとされるタンチョウのうち、多くが鶴居村周辺を繁殖地・越冬地としており、特別天然記念物の鳥と人が共存する世界的にも稀有な地域として国内外の注目を集めています。
鶴見台・音羽橋・鶴居伊藤タンチョウサンクチュアリ タンチョウとの出会い

鶴居村でのタンチョウ観察は、温泉旅の最大のハイライトです。
鶴居伊藤タンチョウサンクチュアリは、長年タンチョウへの給餌活動を続けた故・伊藤良孝氏が提供した10ヘクタールの草地を、日本野鳥の会が運営する国内屈指の観察拠点です。
10月から3月の給餌期間中には最大300羽以上のタンチョウが集まり、翼を広げると2メートルを超える大型の鳥たちが雪を蹴り空へ舞い上がる光景は、思わず息をのむ美しさです。
隣接するネイチャーセンターでは暖かい館内から望遠鏡で観察しながら、レンジャーによる解説も無料で受けられます。
鶴見台は国道に面した給餌場で、バス停の目の前というアクセスの良さが魅力。
道路を挟んだ向かいのカフェ「どれみふぁ空」では名物の「丹頂カレー」を食べながら窓越しにタンチョウを眺めることができます。
音羽橋は雪裡川にかかる橋で、冬でも凍らない川をねぐらとするタンチョウが早朝に川から飛び立つ瞬間を観察できる絶景スポットです。
冷え込んだ夜明け、川から立ちのぼる霧が朝日に橙色に染まり、その中にタンチョウのシルエットが浮かぶ光景は全国から写真家が集まる道東冬の最高の被写体です。
鶴居チーズ・クラフトビール・丹頂カレー 村の食を楽しむ

酪農の村・鶴居が誇る食の恵みは、旅の楽しみを一段と深めてくれます。
鶴居村は良質な牧草で育てた乳牛の生乳から作るチーズの産地として知られており、「鶴居チーズ」は道内でも評判の特産品です。
「鶴居たんちょうプラザ つるぼーの家」では鶴居産チーズ・乳製品・シカ肉製品・地元産高糖度トマトなどが揃い、旅の土産選びにも最適です。
ソフトクリームも人気で、牧草地を眺めながらいただく鶴居ミルクのソフトは格別の美味しさです。
2022年には廃校となった小学校を再利用したクラフトビール醸造所も誕生し、麦芽の粉砕から樽詰めまでの全工程を一貫生産する道東地域限定品を含む5種類のビールが楽しめます。
「丹頂ソフト」「丹頂カレー」など鶴居らしいネーミングのメニューも旅のユーモアを添えてくれます。
3つの個性ある温泉 源泉かけ流し体験

鶴居村には個性の異なる3つの源泉かけ流し施設があります。
ホテルグリーンパークつるいは、鶴居桜公園に隣接する公共的な温泉宿です。
泉質はナトリウム塩化物泉で、源泉温度50〜60℃という高温泉のため加水加温なしでそのまま浴槽に提供する源泉かけ流し100%を実現。
薄い茶褐色のやや塩辛い湯は保温効果が高く湯冷めしにくい「温まりの湯」として地元の常連客に愛されており、日帰り入浴も可能で露天風呂も備えています。
飲用も可能で、神経痛・筋肉痛・慢性消化器病への効能があります。
鶴居ノーザンビレッジ HOTEL TAITOは釧路湿原国立公園特別保護区内という希少な立地にある一軒宿です。
pH9.19の高アルカリ性という強アルカリ性の自家源泉かけ流しは「美人の湯」として評判で、肌がつるつるになると旅人の口コミが絶えません。
5〜10月に催される自然体験ガイドでは、国立公園特別保護区への特別許可を取得したルートを案内してもらえる、ここならではの体験です。
つるいむら湿原温泉ホテルは2022年11月開業の新しい温泉宿です。
弱アルカリ性の源泉かけ流し温泉を内湯・外湯で提供し、木の温もりと香りを活かしたバレルサウナも備えています。
落ち着いた雰囲気の館内レストラン「ビストロ チモシー」では鶴居の食材を使った料理が楽しめます。
鶴居温泉の源泉かけ流し概要

出典:つるいむら湿原温泉ホテル
泉質(グリーンパークつるい): ナトリウム塩化物泉
源泉温度: 50〜60℃(高温泉・加水加温なし・源泉100%かけ流し)
湯色: 薄い茶褐色・塩味・飲泉可
泉質(HOTEL TAITO): アルカリ性単純温泉
pH: 9.19(高アルカリ性・美人の湯)
源泉かけ流し: 自家源泉かけ流し
泉質(湿原温泉ホテル): 弱アルカリ性温泉・源泉かけ流し
効能: 神経痛・筋肉痛・関節痛・慢性消化器病・慢性婦人病・冷え性・美肌・疲労回復
旅の余韻

音羽橋の欄干に両手をかけて夜明けを待っていると、川霧がオレンジ色に染まりはじめ、その中からタンチョウのシルエットが静かに浮かび上がります。
全国から集まったカメラマンたちが一斉にシャッターを切る音が、朝の静寂を破ります。
その感動を体に刻んだまま、源泉かけ流しの湯に浸かる。pH9.19の美人の湯が肌をなめらかに整え、茶褐色の塩化物泉が体の芯をじんわりと温める。
鶴居チーズとクラフトビールの夜を経て、タンチョウの朝と温泉の湯が重なる旅は、釧路湿原でしか体験できない記憶になります。



