十勝平野を一望する丘の上のモール温泉【幕別温泉】源泉かけ流し|パークゴルフ発祥地・ナウマン象の里とインカのめざめの旅
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湯あがり ぽか子
温泉大好き40年のベテラン。「一湯一会」を逃さないために、常に手ぬぐいを持ち歩いています。長年の経験で、お湯を触っただけで大体の泉質がわかる特技を持ちます。温泉好きが高じて、温泉ソムリエ・温泉観光アドバイザーの資格を取得。日本の宝である「温泉文化」を皆さんにお伝えできることが喜びです!
北海道中川郡幕別町依田——帯広市に隣接する幕別町は「パークゴルフ発祥の地」「ナウマン象の化石骨が発掘された町」として道内外に知られる農業の町です。
その町の丘陵地に温泉地が形成されたのは大正・昭和初期にさかのぼりますが、1,000メートル以上の深掘削で高温のモール温泉を掘り当てた現在の幕別温泉は、北海道遺産に認定された植物性モール温泉を源泉かけ流しで提供する十勝の名湯として定着しています。
目次
十勝の丘の上へ 若山牧水が訪れた湯と幕別の歴史

幕別温泉は、北海道中川郡幕別町依田の丘陵地に位置しています。
とかち帯広空港から車で約25分、帯広市内から車で約20〜30分、JR根室本線・帯広駅よりバスで約25分(「幕別温泉」バス停下車)というアクセスです。
道東自動車道・幕別ICからは約10分と近く、道東観光の拠点として便利な立地です。
なお帯広駅から徒歩約2分のルートインホテルよりグランヴィリオホテル行きの無料シャトルバスも運行されています(1日2便・要確認)。
「幕別」はアイヌ語の「マクウンペツ(山際を流れる川・後川)」に由来するとされています。
幕別町は2006年に幕別町と忠類村が合併して誕生した農業の町で、十勝平野中南部に位置する畑作・酪農地帯です。
幕別温泉の歴史は大正・昭和初期にさかのぼります。途別川流域の丘の麓には古くから冷泉が湧き出し、温泉旅館が複数営業していました。
そのひとつ「黒田温泉」は、放浪の歌人・若山牧水が北海道旅行で訪れたとの記録が残っており、温泉地の麓には今も若山牧水の歌碑が建っています。
昭和52年(1977年)には国民保養温泉地に指定。
その後1,000メートル以上の深深度ボーリングで高温のモール温泉が掘り当てられ、現在の幕別温泉として発展しました。
ナウマン象記念館・パークゴルフ発祥地・十勝ヒルズ 幕別の観光を巡る

幕別町には全国に知られる2つの「発祥」と「発見」の歴史があります。
ひとつが「パークゴルフ発祥の地」——昭和58年(1983年)に幕別町で産声を上げたパークゴルフは、子どもから高齢者まで気軽に楽しめるスポーツとして全国・海外に広まり、今や愛好者が多数にのぼる北海道発のコミュニティスポーツです。
幕別町内には複数のパークゴルフ場があり、発祥の地として全国から愛好者が訪れます。
もうひとつが「ナウマン象の化石発掘」——昭和44年(1969年)に幕別町忠類地区の道路工事中に発見されたナウマン象の化石は、ほぼ完全な全身骨格が揃う発見として古生物学的に非常に重要で、「忠類ナウマン象記念館」(2024年3月リニューアルオープン)ではその発掘の歴史と全長4.3メートルの復元骨格を展示しています。
また帯広から車で15分の「十勝ヒルズ」(北海道ガーデン街道の一拠点)は、十勝平野に広がる色彩豊かな花畑と農園が楽しめる園芸パークで、スカイミラーや季節の花々が旅人を迎えます。
温泉宿のすぐそばの丘に建つ「幕別町ふるさと館」では地元の歴史資料の展示とサケの生育が行われており、散策がてら立ち寄れる施設です。
インカのめざめ・ゆり根・どろぶた 幕別の食の恵みを味わう

出典:フォトAC
幕別町は十勝を代表する農産物の産地として豊かな食の恵みを持っています。
なかでも全国的な人気を誇るのが「インカのめざめ」。
幕別町が作付面積日本一を誇るこのじゃがいもは、黄金色の果肉と栗のような独特の甘みとコクが特徴で、焼くだけでスイーツのような風味を放ちます。
加えて毛がない新品種の長芋「和捻じょ(わねじょ)」も幕別発の特産品で、独特の食感と上品な甘みが評判です。
食用ゆり根は幕別を含む十勝が主産地で、おせち料理の高級食材として全国に出荷されています。
忠類のホテルアルコでは「ゆり根かき揚げ丼」が名物メニューとして地元産食材の旨みを伝えています。
また幕別には放牧豚「どろぶた」「遊豚」を育てるエルパソ牧場があり、のびのびと育ったブランド豚肉が地元の食卓を飾ります。
豚丼や豚肉を主役にした料理は帯広との連携で十勝の食文化の象徴です。
丘の上から十勝平野を望む モール温泉かけ流し体験

幕別温泉の中心施設「十勝幕別温泉グランヴィリオホテル」と「幕別温泉パークホテル悠湯館」は、いずれも丘陵地の高台に建ち、十勝平野と帯広市街を見渡すパノラマビューが最大の魅力のひとつです。
泉質はナトリウム塩化物泉(植物性モール温泉・北海道遺産認定)・源泉温度47〜49℃・湧出量毎分600リットル。
太古の植物が亜炭層に堆積し、その地層を熱水が通って湧き出た植物由来のフミン質・フルボ酸を豊富に含む淡い茶色の湯は、肌にやさしくなめらかな保湿効果と美肌の評判を持ちます。
加水・加温なしで源泉温度のまま浴槽に注ぐかけ流しで、「丘の上の美人の湯」という評判にふさわしい本物の湯体験が楽しめます。
グランヴィリオホテルの日帰り健康ランド「華のゆ」では10種類以上の浴槽・サウナが利用でき、十勝平野を望む露天風呂は特に人気が高い施設です。
12階の展望風呂は宿泊者専用で、眼下に広がる農地と帯広市街の夜景が評判です。
パークホテル悠湯館は「琥珀のモール湯」をテーマにした落ち着いた雰囲気の宿で、源泉かけ流しの内湯・露天風呂がそれぞれ充実しています。
幕別温泉の源泉かけ流し概要

泉質: ナトリウム塩化物泉(植物性モール温泉)
源泉温度: 47〜49℃
湧出量: 毎分600リットル
湯色: 淡い茶色(褐色)・植物由来のフミン質・フルボ酸含有
源泉かけ流し: 両施設とも源泉かけ流し(加水加温なし)
効能: 神経痛・筋肉痛・肩こり・関節痛・疲労・ねんざ・婦人病・冷え性・皮膚病・痔疾・きりきず・末梢循環障害・うつ状態・皮膚乾燥症
旅の余韻

丘の上の露天風呂に浸かると、淡い茶色のモール温泉の向こうに十勝平野が広がっています。
日高山脈から大雪山まで続く山並みと、農業地帯の広大なパッチワークが夕日に染まっていく光景は、温泉の美肌の湯とともにここにしかない体験です。
若山牧水がこの丘で詠んだ短歌のように、十勝の大地と温泉が旅人の心に静かに刻まれます。
パークゴルフで体を動かし、インカのめざめの甘みを噛みしめ、ナウマン象が眠った土地の湯に体を委ねる。
幕別温泉は帯広観光の奥に潜む、十勝の旅を深くする一軒湯です。



