江戸時代にタイムスリップ【薬師温泉】源泉かけ流し|茅葺き集落に湧く230年の天然自噴湯と滝見露天風呂


出典:かやぶきの郷 薬師温泉 旅籠
2026年4月12日

この記事を書いた人

湯あがり ぽか子

温泉大好き40年のベテラン。「一湯一会」を逃さないために、常に手ぬぐいを持ち歩いています。長年の経験で、お湯を触っただけで大体の泉質がわかる特技を持ちます。温泉好きが高じて、温泉ソムリエ・温泉観光アドバイザーの資格を取得。日本の宝である「温泉文化」を皆さんにお伝えできることが喜びです!

群馬県吾妻郡東吾妻町、浅間隠山の山懐に抱かれた静かな渓谷に、230年以上の歴史をもつ天然自噴温泉が湧いています。

長屋門をくぐった先に広がるのは、全国各地から移築された茅葺き民家が点在する別世界。囲炉裏の煙がゆるやかに立ちのぼり、時代箪笥や古民具が静かに時を刻む。

薬師温泉は、温泉に浸かるだけでなく、江戸時代の日本にそのまま迷い込んだような「時間の旅」ができる、唯一無二の一軒宿です。

浅間隠山と吾妻渓谷 上州の山深き自然に抱かれた旅

 

出典:群馬県

薬師温泉の位置する吾妻郡東吾妻町は、浅間隠山(標高1,757m)の裾野に広がる山里です。

吾妻川の支流・温川(ぬるかわ)が流れるこの渓谷は、春は新緑、夏は清流、秋は紅葉、冬は雪見と、四季ごとに全く異なる表情を見せてくれます。

秋になると渓谷沿いの木々が赤・橙・黄に染まり、温川の流れに紅葉が映り込む光景は格別です。

渓流釣りの名所としても知られており、ヤマメやイワナを求めて多くの釣り人が訪れます。

周辺には「日本の渓谷100選」に選ばれた吾妻渓谷も近く、群馬が誇る名湯・四万温泉や草津温泉へのアクセスも良好です。

浅間隠温泉郷のなかでも最奥に位置する薬師温泉は、まさに「奥軽井沢」と呼ぶにふさわしい、静寂と自然に包まれた秘境の湯です。


囲炉裏と古民具 江戸時代にタイムスリップする宿の魅力

出典:かやぶきの郷 薬師温泉 旅籠

かやぶきの郷 薬師温泉 旅籠の最大の個性は、温泉以上に際立つ「かやぶき集落」の世界観にあります。

約7,000坪もの広大な敷地に、信州・出羽の国(現山形県)・群馬県中之条町など全国各地から築150年以上の茅葺き民家7棟を丸ごと移築。

それぞれに名前と歴史があり、たとえば「木村家」は安政2年(1855年)に建てられた代表的な南部曲り屋、「濱田邸」は人間国宝の陶芸家・濱田庄司氏と次男晋作氏が居宅として自ら建築した88坪の茅葺家屋で、食事処として今も使われています。

館内には数千点にのぼる時代箪笥、古民具・古美術品、郷土玩具が展示され、鎧兜武具・蒔絵・古伊万里といった江戸から明治の品々も並んでいます。

まるで博物館のような豊かな展示が、建物の一部として自然に溶け込んでいるのが薬師温泉ならではの魅力です。

長屋門をくぐるとそこは別世界。射的やべーゴマなど懐かしい遊びも楽しめ、大人も子どもも童心に返る空間が広がっています。


上州の恵み そば会席・囲炉裏会席と地場の食材

出典:かやぶきの郷 薬師温泉 旅籠

薬師温泉の食事もまた、宿の世界観と見事に調和しています。

夕食の「囲炉裏会席」は、かやぶきの食事処に配された囲炉裏を囲みながら、地場の旬の食材を使った料理をひとつひとつ味わう会席です。

煙のにおいと木の温もりに包まれながら食べる山里の味は、日常の食卓とはまるで異なる、時間がゆっくりと流れる食体験です。

もうひとつの名物が「そば会席」。地粉を使った手打ちそばを主軸に、上州の素材を活かした料理が続きます。

新鮮な旬素材の美味しさをそのまま活かし、手間暇かけた、体にやさしいお食事が旅人をもてなします。

食材の多くは地元農家から直送されたもので、長屋門横の直売コーナーでは採れたての野菜や果物も購入できます。

上州らしい素朴な食の恵みが、源泉かけ流しの湯と相まって、体の内側から旅人を元気にしてくれます。