温泉経営者がおすすめする一度は泊まりたい温泉宿#16 川原湯温泉-丸木屋-


提供:丸木屋
更新日:2022年3月10日

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かっきー

江戸の玄関口と言われた宿場町に生まれ育った生粋の江戸っ子。還暦を迎えた今なお、旅とサーフィンをこよなく愛するアクティブシニア。某夕刊紙に勤務していた経歴を持つ。
マイナーな温泉から秘湯まで、気の向くままに温泉へ出かけることが大好きです。温泉の良さはもちろん、分かりやすく温泉や旅館などの良さをお伝えしてまいります。

遥か古より人々の心を魅了して、愛され続けてきた日本の温泉文化。現代社会においても日頃の喧騒から離れて、心と身体を癒しに、効験あらたかな源泉や、豊潤な大地からの恵みである旬の美味しい食材を求める温泉巡りは、人気があります。

本企画では、温泉経営者がプロ目線で選んだ「一度は泊まりたい温泉宿」をリレー形式でお届けしてまいります。今回は、多種多様な源泉の湧くことから温泉王国とも言われる群馬県の山あいに佇む、川原湯温泉(かわらゆおんせん)の「丸木屋」をご紹介します。

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第16回目は群馬県吾妻郡長野原町の川原湯温泉にある「丸木屋」

提供:丸木屋

第16回となる今回は、前回インタビューさせていただいた鹿児島県の指宿温泉「指宿ロイヤルホテル」の細川さんがおすすめする、群馬県の吾妻郡長野原町(あがつまぐんながのはらまち)にある川原湯温泉(かわらゆおんせん)「丸木屋」の経営者へインタビューしました。

丸木屋のある川原湯温泉は、群馬県北西部の吾妻郡に位置し、周辺の多くは山あいとなり標高500mを超える高地にあります。

周囲には浅間山麓や浅間高原地帯が広がり、東西に流れる吾妻川の渓谷は、吾妻峡(あがつまきょう)という名称で国の名勝に指定されているなど、恵まれた自然環境に囲まれています。

丸木屋は、楓やくぬぎ、瀬や淵など、変化に富んだ景観を望む吾妻川の中流に流れ込む大沢川の畔に、ひっそりと佇む大人の隠れ家といった趣のあるお宿です。


逆境を活かしお宿を継承する「丸木屋・樋田泰彦(ひだやすひこ)さん」

丸木屋 4代目若旦那 樋田泰彦さん

◇らくらく湯旅編集部(以降 編集部):特別企画の第16回は、川原湯温泉「丸木屋」の4代目若旦那である樋田さんにお話を伺います。

お忙しい中ありがとうございます。よろしくお願いいたします。

◆樋田さん:よろしくお願いいたします。


都心から2時間、大自然に囲まれて湯浴みのできる川原湯温泉

提供:丸木屋(八ッ場あがつま湖)

◇編集部:川原湯温泉のある群馬県吾妻郡周辺はどのようなところですか?

◆樋田さん:川原湯温泉のある吾妻郡は、群馬県北部で、古くから北毛(ほくもう)と呼ばれる山間部の地域に位置しています。

川原湯温泉自体は、2020年に完成した八ッ場(やんば)ダム建設工事に伴い、2012年頃より現在の場所に温泉地全体が移転したという経緯があります。

周辺には、吾妻渓谷などの国指定の名勝といった景勝地や、草津・伊香保(いかほ)・四万(しま)といった有名な温泉地や、スキー場などの観光スポットが多く点在しています。

出典:PIXTA(我妻渓谷)

◆樋田さん:また川原湯温泉は、日本ジオパーク委員会が認定した地域である「浅間北麓(あさまほくれい)ジオパーク」の東部に位置して、雄大な大自然に恵まれています。

我妻渓谷の70〜80mの高さに架かる不動大橋や八ッ場大橋、落差90mで秋の紅葉や冬には滝が凍結する不動の滝などの絶景スポットも多数あります。

また、川原湯神社、不動堂、薬師堂といった史跡などもあるため、さまざまなお楽しみをいただきながら散策いただけます。

出典:PIXTA(新緑の季節の不動の滝)

◇編集部:恵まれた自然環境に囲まれた温泉地なのですね。

◆樋田さん:他にも、八ッ場あがつま湖には、遊覧船や水陸両用バスに乗ってお楽しみいただくこともできます。

水陸両用バスでは、湖畔の道路を車として走って、そのまま湖面に船舶として航行して周遊いただけるようになっています。

出典:PIXTA(八ッ場あがつま湖を航行する水陸両用バス)

◆樋田さん:八ッ場あがつま湖で、カヌー、カヤック、SUP(サップ)と呼ばれるスタンドアップパドルボードなど、身体を動かしてアクティブに楽しむことも可能です。

提供:丸木屋(八ッ場あがつま湖はカヌーやシーカヤックで漕ぎ出すことができる)

◆樋田さん:以前は、我妻渓谷などの名勝をはじめとする風光明媚な温泉地でしたが、八ッ場ダムの完成によって、これを利用したアクティビティなどの活性化に、地域として取り組んでいます。

開湯800年の歴史と伝統ある川原湯温泉

◇編集部:次に川原湯温泉の歴史についてお伺いします。

◆樋田さん:川原湯温泉の開湯伝説は諸説ありますが、源頼朝が鎌倉幕府成立の翌年となる1193年に鷹狩りに来た際に発見したとされ、800年ほどの歴史があると伝えられています。

その際に着物を掛けたとされる数トンもの大きな衣石も、今回のダム工事の際に発掘されるなど、伝聞以外の事実も発見されています。

この開湯伝説に因んで共同浴場の「王湯(おうゆ)」では、源氏の紋所である笹竜胆(ささりんどう)を掲げています。

川原湯温泉が発見された後、一時期は温泉が枯れてしまったことがあるとされています。

しかし、当時のこの地の人々は源泉がゆで卵のような硫黄臭があることから、卵を産む鶏を供物として捧げて祈ったところ、再び源泉が湧出したとのことです。

これを祝って湯かけ祭という神事が始まり、現在も継承されています。

暦の上では一年で一番寒い日とされる大寒(だいかん)の朝に「湯かけ祭」という神事を行います。

夜明け前の早朝4時から日の出まで、褌一丁の出立ちで紅白に分かれ「お湯湧いた!」にちなんだ「お祝いだ!」の掛け声と共に、威勢良くお湯を掛け合うというものです。

提供:丸木屋(夜明け前、王湯の前に集合して始まる湯かけ祭)

◇編集部:歴史と伝統を継承し、また温泉地全体の移転という逆境をもバネに、それを新たな観光資源として活かして地域を活性化させる素晴らしい取り組みですね。

温泉地移転後もリピートのお客様が多く訪れる

◇編集部:お越しになるお客様はどちらからお越しになる方が多いのでしょうか?

◆樋田さん:関東圏からのお客様が多く、首都圏からであれば2時間ほどでお越しいただけます。

当館まで、公共交通機関であれば、JR吾妻線「川原湯温泉駅」から1km程度の距離です。

駅と直結した観光施設でグランピングなどができる川原湯温泉駅キャンプ場や、八ッ場あがつま湖の湖畔に沿った道もあります。

そのため、電車でお越しになられるお客様は、雄大な景観を楽しんで散策しながらといった方が多いですね。

出典:PIXTA(紅葉の八ッ場ダムと八ッ場あがつま湖)

◇編集部:のんびりと電車に揺られながら、景観を楽しむのも旅のいい思い出になりますね。

大人の隠れ家としてのんびりと過ごせる温泉旅館・丸木屋

◇編集部:つぎにお宿についてお伺いできますでしょうか?

◆樋田さん:丸木屋は、長い歴史の川原湯温泉の中では比較的新しく、創業70年余りです。

私は初代から数えて4代目となり、現在は当代館主である父をサポートしています。

もともと丸木屋は、この川原湯温泉で古くから旅館を営む家系の庶子であった曽祖父が、この地で商店をしていたところ終戦後の物資不足などから、本家より分家する形で、温泉宿を開業したことが丸木屋の礎となっています。

提供:丸木屋(ロビー)

◆樋田さん:当館の建つこの場所は、八ッ場ダム建設に伴う移転地域でもなかったため、創業以来この場所で温泉旅館を営んでおります。

当館は小さな宿ではありますが、季節を変えてお越しいただいても、新鮮にお楽しみいただけるよう、6つあるお部屋の全ては、窓の外に広がる景観と調和するよう趣の異なる造りとしています。

ただ皆様、最初にご滞在いただいたお部屋を気に入っていただいて、同じお部屋をご利用されることが多いですね。

提供:丸木屋(客室の一例)

◇編集部:バリアフリーに対する取り組みなどはされていらっしゃるのでしょうか?

◆樋田さん:全館バリアフリー対応とまではいきませんが、1階のお部屋については、車椅子でも入れるよう大きくしています。

そのほか、段差のある箇所には移動式スロープを用意して、浴室には手すりを設けるなど出来る限りの対応をしています。

また、温泉で湯浴みする場合にも貸切風呂のご用意もあるので、介護の方と一緒にご入浴いただけます。

◇編集部:細やかなおもてなしの配慮がされているのですね。

◆樋田さん:当館は、基本的に家族経営の小さな宿なので、高級旅館のようなおもてなしはできませんが、気兼ねなくゆっくりとお寛ぎいただけるよう心を込めておもてなしすることを心がけています。

大自然の景観を眺めて身体の芯からホッコリとする温泉

提供:丸木屋(源泉掛け流しの浴室)

◇編集部:次に温泉について教えてください。

◆樋田さん:当館の源泉は、旧温泉地とお宿のある場所から湧出する2つの源泉をブレンドしたものを、源泉掛け流しで愉しんでいただけます。

泉質は、含硫黄-カルシウム・ナトリウム-塩化物の硫酸塩温泉となります。

温泉は無色透明で硫黄臭がしますが、塩分が含まれていることから身体の芯から温まります。

ご利用されるお客様からは、身体の芯から温まるので、気持ちもホッコリとすると喜んでいただいています。

また、身体の強張りが取れて関節痛に良く効くという方もいらっしゃいます。

お客様の中には、杖をついてお越しになられた方が、温泉で温まってお帰りになる際には、杖をほとんど使わずに帰られた方もいらっしゃいます。

川原湯温泉は、草津温泉の上がり湯として使われてきた温泉地という歴史があり、上がり湯として重宝されてきた通りの優しい湯です。

源泉は70℃以上の高温のため、加水して湯冷しもしていますので、万人の方が1日に何度でも湯浴みを楽しんでいただけます。

浴室は、大きく設えた窓から四季の景観を楽しんで湯浴みいただける、男女別の内湯と個室の貸切風呂をご用意しています。

貸切風呂は、ご家族やご夫婦、ご友人同士で気兼ねなく楽しまれる方のほか、ご入浴に付き添いが必要な方にもご利用いただいています。

提供:丸木屋(窓を大きく設えた浴室)

地産地消の食材を美味しくいただくことに拘ったお食事

◇編集部:次にお料理についてのこだわりなどをお伺いできますでしょうか。

◆樋田さん:群馬県には「地産地消推進店」という制度があるのですが、当館ではこの認定を受けています。

可能な限りこの地の食材を使用して、手作りのお料理をご提供することに拘っています。

メインの食材には、群馬県のブランド肉である「上州牛」や、また地元で採れた麦類を食べて育った「麦豚」を使用しています。

ご存知無い方も多いかもしれませんが、群馬県は全国でも有数の畜産県でもあり、とても美味しいお肉があります。

提供:丸木屋(群馬県のブランド肉_上州牛)

◆樋田さん:お肉のほかにも、「ギンヒカリ」と呼ばれる最高級ニジマスがあります。こちらは3年ほどかけて、身がしっかりと成長して味の乗ったものをお造りとしています。

提供:丸木屋(最高級ニジマスといわれるギンヒカリ)

◆樋田さん:お米や野菜なども、すべて地元農家からの仕入れです。舞茸や今の季節であればウドやタラの芽、夏のナスや秋のかぼちゃなど、四季折々の旬の味覚を味わっていただいています。

提供:丸木屋(地産地消、旬の食材で造ったお食事例)

◆樋田さん:また、当館では、朝食に今では珍しい「曲げわっぱ」に、お赤飯を盛りつけて召し上がっていただいています。

川原湯温泉は元来、草津温泉の上がり湯として湯治でお越しになる方が多くいらっしゃいました。

湯治を終えたことを祝して赤飯を振舞ったことから当館を初め、川原湯の温泉宿では赤飯を朝食にご用意しているお宿が多くあります。

それぞれの赤飯の味比べをしてみるのも旅行の楽しみ方ではないでしょうか。なお、赤飯が苦手な方には白米のご用意もございますので、その際はご遠慮なくお申し付けいただければと思います。

提供:丸木屋(朝食例:曲げわっぱの赤飯)

◆樋田さん:もうひとつ、これは女将のお料理に対するこだわりなのですが、造りたてを美味しく召し上がっていただくために、お食事処をご用意することです。

造りたてで暖かいものや冷やしたお料理が温くならないうちに、すぐにお出しするよう心がけています。

お客様がゆっくりと寛ぐお部屋に、必要以上に立ち入らないという配慮の意味も込めています。

提供:丸木屋(お食事処)

◆樋田さん:お料理のほか、この地にある浅間酒造さんを始め、県内の地酒をご提供しています。

◇編集部:まさしく徹底した地産地消のこだわりですね。

丸木屋 樋田さんがおすすめする温泉宿

◇編集部:「らくらく湯旅」ではリレー形式で温泉宿を紹介していきます。樋田さんがおすすめする一度は泊まりたい温泉宿をご紹介いただけないでしょうか。

◆樋田さん:私が一度は行ってみたい温泉宿は、三重県鳥羽の鳥羽温泉郷にある「季さら 別邸 刻(とき)」です。

◇編集部:そちらのお宿に行ってみたいのは、なぜでしょうか。

◆樋田さん:当館は山に囲まれた自然の中にあるのですが、こちらのお宿は海の自然の中にあるところに惹かれます。

オーシャンビューの景観や、海の幸といったお料理にも、とても興味があります。

また、次世代の経営者として、伝統のおもてなしを受け継ぐとともに、新しいおもてなし精神を取り入れていこうとする点で共感するところが多いこともおすすめする理由の一つです。

<施設情報>
季さら 別邸 刻
・住所:三重県鳥羽市安楽島町1075-7
・電話:0599-21-2900
・アクセス:
<電車>JR鳥羽駅・近鉄鳥羽駅下車から、送迎バスあり
<車>伊勢ICより約20分、湯布院ICより約40分
<フェリー>鳥羽港より、車で約10分

温泉好き「らくらく湯旅」ユーザーへのコメント

◇らく湯旅:最後に、「らくらく湯旅」ユーザーへ一言おねがいします。

◆樋田さん:丸木屋のある川原湯温泉までは、都心からでも1泊2日のご滞在で散策やアクティビティを楽しむ、充分なお時間がつくれる場所にあります。

当館は小さな宿ですが、お客様のお一人、お一人に対して、温かく接しきめ細やかなおもてなしをさせていただくことを心がけております。

ご夫婦やご家族、ご友人で景色を眺め、湯浴みをしていただき、旬の美味しいお料理をご用意して、おもてなしさせていただきますので、是非ともお越しいただければと思っております。

◇編集部:本日はお忙しい中、お時間を頂戴いたしましてありがとうございました。

温泉地が移転するというご苦労のなか、新たな観光資源と調和する自然と歴史ある温泉を守り、これからもお客様にご提供し続けたいと願う、おもてなしの精神は素晴らしいものと感じました。

四季折々に移ろう自然のなか、野趣あふれるアクティビティや散策、温泉にのんびりと浸かり、美味しい郷土料理に舌鼓を打つ…。

ご自身にあった過ごし方で丸木屋を訪れてみてはいかがでしょうか。

<基本情報>
川原湯温泉 丸木屋
・住所:群馬県吾妻郡長野原町川原湯490-12
・電話:0279-83-2121
・ホームページ:https://www.marukiya.jp/
・アクセス:
<電車>JR川原湯温泉駅より約1km 徒歩12分 送迎あり
<車>渋川伊香保ICから約1時間