【るり渓温泉】源泉かけ流し|国民保養温泉地に湧くラドンの名湯と「日本の音風景100選」渓谷散策
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湯あがり ぽか子
温泉大好き40年のベテラン。「一湯一会」を逃さないために、常に手ぬぐいを持ち歩いています。長年の経験で、お湯を触っただけで大体の泉質がわかる特技を持ちます。温泉好きが高じて、温泉ソムリエ・温泉観光アドバイザーの資格を取得。日本の宝である「温泉文化」を皆さんにお伝えできることが喜びです!
京都府南丹市、標高500メートルの高原に湧くるり渓温泉。
大阪や京都の喧騒から1時間ほど車を走らせると、突然、空気が変わります。
山の匂いが濃くなり、どこからともなく水音が聞こえてきます。
それが、るり渓との最初の出会いです。
目次
宝石の名を冠した渓谷 るり渓十二勝を歩く

出典:京都府
「るり渓」という名は、渓谷上部にある通天湖から流れ出る清流が、光の反射によって瑠璃色の輝石のように見えることに由来します。
その美しさに心を奪われた当時の船井郡長が、1905年(明治38年)に新たな名を与えました。
約4キロメートルの渓谷散策コースには「るり渓十二勝」と呼ばれる見どころが連なります。
錦繍巌、双龍渕、玉走盤と、漢詩のような名を持つ岩や滝が清流のほとりに次々と姿を見せ、「残したい日本の音風景100選」にも選ばれた水音が、歩く人をやさしく包みます。
最上流の通天湖では、周囲の森に抱かれながら貸しボートで釣りを楽しむこともできます。
さらに奥へ進めば、北摂最高峰・深山(標高791m)の頂から大阪湾まで見渡す360度の大絶景が待っています。
渓谷を歩き終えたとき、温泉の湯がより深く、より温かく身体に染み込んできます。
丹波の恵み 高原が育む食の豊かさ

出典:京都府
るり渓が位置するのは、古くから「丹波」と呼ばれた豊かな土地です。
昼夜の大きな寒暖差と山から湧く清冽な水が、全国に誇れるブランド食材を育ててきました。
秋になれば松茸の芳香が食卓を満たします。
丹波松茸は濃厚な香りと深い食感で、国産松茸の中でも一級品とされています。
宿の夕餉に並ぶ土瓶蒸しをひとくち含めば、高原の秋が体のなかへ静かに入ってくるような感覚があります。
丹波栗もまた、奈良時代に朝廷への献上品として扱われた歴史を持つ逸品です。
盆地特有の寒暖差と霧が育む、濃厚な甘みとほくほくとした食感は、一度食べたら忘れられません。
渓谷を歩いた後の空腹に、丹波の恵みをいただく時間。それだけで、この高原への旅は十分に満たされる気がします。
国民保養温泉地に湧くラドンの名湯

るり渓温泉の湯は、2か所の泉源から毎分275リットルという豊富な量で湧き出ています。
ラドン含有量が全国でも上位を占める名湯として知られ、神経痛・筋肉痛・関節痛などに効果的とされ、古くから湯治文化と結びついてきました。
浴場には2つの泉源から導入された浴槽が隣接しており、温度の差は小さいながら、成分の差で皮膚に受ける感触の違いは大きいのが特徴です。
2つの源泉を行き来しながら身を預けていると、渓谷を歩いた足の疲れがじんわりとほどけていきます。
派手な演出のない湯ですが、身体の奥から静かに温まる感覚はしっかりとあります。
るり渓高原温泉は、平成12年5月に89か所目の国民保養温泉地として環境庁(当時)の指定を受けました。
その格式は、この湯が持つ本物の力の証といえるでしょう。
貸切風呂旅館 こぶし るり渓温泉のぬくもりに包まれる宿

るり渓温泉を代表する宿のひとつが、「貸切風呂旅館 こぶし」です。
「京からかみ」を取り入れた趣ある館内には、部屋ごとに異なるインテリアが施された和洋室が並び、それぞれに専用の貸切家族風呂が備わっています。
天然ラドン温泉を独り占めできる贅沢は、ほかではなかなか味わえません。
湯に身を預けながら、渓谷の静けさとともにゆっくりと時間を過ごせます。
食事は旬の地元食材を用いた本格会席か、京丹後鶏すき鍋会席を選ぶことができ、丹波の恵みが食卓を彩ります。
豪華さよりも、ゆっくりと癒されることを大切にした宿。
こぶしは、るり渓温泉の湯の力をもっとも静かに、もっとも深く味わえる一軒です。
るり渓温泉の源泉かけ流し温泉の概要

出典:フォトAC
泉質: るり渓高原温泉=単純放射能温泉(低張性・弱アルカリ性・低温泉)/るりフラワー温泉=単純弱放射能冷鉱泉(低張性・中性・冷鉱泉)
源泉温度: るり渓高原温泉 約26.6℃/るりフラワー温泉 約15.0℃(加温して利用)
湧出量: 毎分275リットル(2源泉合計)
pH値: るり渓高原温泉 弱アルカリ性/るりフラワー温泉 pH6.92(中性)
効能: 神経痛・筋肉痛・関節痛・冷え性・疲労回復など
特徴: 2源泉を同時に楽しめる隣接浴槽、ラドン含有量が全国上位、国民保養温泉地指定の格式ある湯、貸切風呂・露天風呂・バーデゾーン・岩盤浴が充実した総合温泉リゾート
旅の余韻

出典:フォトAC
るり渓の水音は、しばらく耳に残ります。
渓谷を歩き、湯に浸かり、丹波の食をいただく。
都市から1時間ほどの距離にあるとは思えない静けさと豊かさが、この高原にはひっそりと息づいています。
瑠璃色の清流が刻んだ岩肌と、ラドンの湯に身を預けた時間は、慌ただしい日常にやわらかな余白をもたらしてくれます。
帰り道、山の空気を胸いっぱいに含みながら、また来たいと思う場所がひとつ増えていることでしょう。



