伊予三湯の隠れ名湯【鈍川温泉】源泉かけ流し|今治藩の湯治場・鈍川渓谷に湧くラドン美人湯


出典:鈍川温泉組合
2026年05月18日更新

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湯あがり ぽか子

温泉大好き40年のベテラン。「一湯一会」を逃さないために、常に手ぬぐいを持ち歩いています。長年の経験で、お湯を触っただけで大体の泉質がわかる特技を持ちます。温泉好きが高じて、温泉ソムリエ・温泉観光アドバイザーの資格を取得。日本の宝である「温泉文化」を皆さんにお伝えできることが喜びです!

愛媛県今治市の山あい、鈍川渓谷のほとりに6軒の温泉宿が静かに湯けむりを上げる鈍川温泉は、平安時代から湧出が確認され、江戸時代には今治藩の湯治場として賑わってきた歴史ある名湯です。

泉質はラドンを多く含むアルカリ性単純泉で肌がすべすべになると評判の美人の湯。

「21世紀に残したい四国の自然100選」で2位に入選した鈍川渓谷の清流と四季の自然が、湯浴みの時間をさらに豊かにしてくれます。

鈍川渓谷の山里へ 今治の奥座敷・伊予の仙境

出典:鈍川温泉 皆楽荘

鈍川温泉は、愛媛県今治市の南東部、高縄半島の山あいを流れる鈍川渓谷に位置しています。

今治市街から国道196号・県道49号を経由して車で約30〜40分。松山自動車道・今治ICからは車で約45分というアクセスです。

高縄半島の最高峰・東三方ヶ森(標高1,233メートル)と信仰の山・楢原山を源流とした木地川が鈍川渓谷を刻み、蒼社川となって瀬戸内海へと流れ込む。

その清らかな渓流のほとりに温泉宿が6軒と立ち寄り湯「鈍川せせらぎ交流館」が佇んでいます。

通称「伊予の仙境」とも呼ばれるこの地は、春の桜・夏の深緑・秋の紅葉・冬の雪景色と四季を通じて手付かずの自然が圧倒的な美しさを見せ、「21世紀に残したい四国の自然100選」の2位に入選しています。

温泉郷全体に渓流のせせらぎが響き渡り、野鳥のさえずりが合唱する。それだけで体の中の何かがほぐれていく場所です。


しまなみ海道・今治城・西条の名水 愛媛の旅と組み合わせる

出典:鈍川温泉 皆楽荘

鈍川温泉を拠点にすると、愛媛・今治周辺の多彩な観光地へのアクセスが便利です。

今治市街には江戸時代の海城「今治城」があり、白鷺城とも呼ばれる白亜の城郭と三重の堀に海水が引かれた全国でも珍しい構造が見どころです。

また今治はしまなみ海道の四国側の起点でもあり、瀬戸内海に浮かぶ島々をつなぐ全長約60キロの絶景ルートは、サイクリングの聖地として世界的にも有名です。

さらに西条市まで足を伸ばすと、石鎚山麓から湧き出る名水「うちぬき」が市内の路上に無数に設けられた自噴水として湧き出す、全国でも類を見ない水の町が広がります。

鈍川温泉を起点に、海・城・橋・山・名水と愛媛の多彩な魅力を一度に楽しむ旅が組み立てられます。


キジ・イノブタ・瀬戸内の幸 四国ならではの食

出典:鈍川温泉 皆楽荘

鈍川温泉の宿では、山里ならではの個性的な食材が食卓を彩ります。

山間の地ならではのジビエとして、キジ鍋・イノブタ鍋が季節限定の名物料理として提供されます。

キジは古くから食用とされてきた日本の国鳥で、淡泊ながら深い旨みを持つジビエ。

イノブタはイノシシと豚の交配種で、イノシシの野性味と豚のやわらかさを併せ持つ味わいが特徴です。

また今治・西条の近海では新鮮な瀬戸内の魚介が水揚げされており、宿の食卓には山の幸と海の幸が同時に並ぶ贅沢な膳が楽しめます。

愛媛の柑橘類や地酒を合わせて、四国の恵みを存分に味わってください。


ラドンたっぷりの美人湯 源泉かけ流し体験

出典:鈍川温泉 皆楽荘

鈍川温泉の泉質は低張性アルカリ性冷鉱泉(単純温泉・ラドン含有量が多い)。

源泉温度は約22℃という冷鉱泉のため、加温して浴槽に提供されますが、源泉かけ流しを実践しています。

ラドン(放射能泉)を多く含むアルカリ性の湯は、肌の古い角質をやわらかく溶かし落として美肌に整える効能があり、大手化粧品メーカーのポーラが「美肌の湯」として認めるほどの泉質の良さが折り紙付きです。

またフッ素も含んでおり、神経痛・筋肉痛・皮膚病への効能に加え、放射能泉特有のホルミシス効果(微量放射線による免疫力活性化)も期待されています。

湯に入ると勢いよく源泉が注がれる様子が圧巻で、湯上がりに汗がなかなかひかないほどの温まり効果があります。

鈍川せせらぎ交流館の露天風呂では鈍川渓谷の清流を眼前に眺めながら入浴でき、日帰り客にも人気の施設です。

旅館では「皆楽荘」をはじめ渓流沿いに宿が点在しており、部屋の窓から渓流を眺めながら源泉かけ流しの湯に浸かれる宿もあります。


鈍川温泉の源泉かけ流し概要

出典:鈍川温泉組合

泉質: 低張性アルカリ性冷鉱泉(単純温泉・ラドン含有量多・フッ素含有)

源泉温度: 約22℃(冷鉱泉のため加温して提供)

pH: 9.9前後(強アルカリ性・美人の湯)

源泉かけ流し: 各旅館・鈍川せせらぎ交流館とも源泉かけ流し(加温あり)

効能: 神経痛・筋肉痛・関節痛・皮膚病・美肌・疲労回復


旅の余韻

出典:鈍川温泉組合

渓流のせせらぎが窓の外から絶え間なく聞こえる露天風呂で、ラドンたっぷりの湯に体を沈める。道後温泉の賑わいとは別の世界で、伊予の仙境が静かに体をほどいてくれます。

しまなみ海道を渡り今治城を眺めた後、山あいへと車を走らせれば、キジ鍋と瀬戸内の魚介が並ぶ夕食が待っています。

「伊予三湯のひとつ」と呼ばれながら、知る人ぞ知る存在であり続けるこの温泉地は、愛媛の旅を一段深くしてくれる隠れた名湯です。