日本三大美人湯・草津の仕上げ湯【川中温泉】源泉かけ流し|川底から湧く35℃のぬる湯と吾妻渓谷
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湯あがり ぽか子
温泉大好き40年のベテラン。「一湯一会」を逃さないために、常に手ぬぐいを持ち歩いています。長年の経験で、お湯を触っただけで大体の泉質がわかる特技を持ちます。温泉好きが高じて、温泉ソムリエ・温泉観光アドバイザーの資格を取得。日本の宝である「温泉文化」を皆さんにお伝えできることが喜びです!
草津街道から山あいへ約2キロ。雁ヶ沢川の川底から35℃のぬる湯が静かに湧き出しています。
群馬県吾妻郡東吾妻町、国道145号から細道に折れた先に「かど半旅館」一軒だけがひっそりと佇む川中温泉は、和歌山・龍神温泉、島根・湯の川温泉とともに「日本三大美人湯」の一角をなす名湯です。
鎌倉時代に源頼朝の家臣が療養に訪れたと伝わり、川の中から湧き出るところからその名がついたこの温泉は、草津温泉の強酸性の湯で開いた毛穴を、アルカリ性の柔らかな湯で仕上げる「草津の仕上げ湯」としても古くから知られています。
目次
吾妻渓谷の山里へ 川の名をそのままもらった秘湯の由来

出典:群馬県
川中温泉の名は、文字通り「川の中から湧き出る温泉」に由来しています。
旅館の目の前を流れる雁ヶ沢川。
その川底からぽこぽこと源泉が自然湧出しており、川が増水するたびに河原ごと温泉が流されてしまうという、ほかの温泉地では考えられない歴史を繰り返してきました。
大洪水(明治43年)・山津波(大正9年)・集中豪雨(昭和10年・15年)と幾度も被害を受けながら、そのたびに地元の人たちが復旧作業に出て守り続けてきた湯です。
源泉が川の中にあるため、地元住民は古くから無料で入れる習わしがあったというエピソードにも、この温泉と地域の人々の深いつながりが感じられます。
現在の「かど半旅館」の本館は昭和14〜15年(1939〜1940年)ごろの建築で、1947年(昭和22年)に再建されて今日に至っています。
日本秘湯を守る会・日本源泉湯宿を守る会の会員宿として、家族経営の温かみを大切にした宿は本館8室・新館4室の全12室というこぢんまりとした規模で旅人を迎えます。
吾妻渓谷・八ッ場ダム・草津温泉 群馬の旅を組み合わせる

出典:群馬県
川中温泉は単独で訪れるもよし、群馬の名所と組み合わせるもよしの絶好な立地にあります。
旅館から車で数分の距離に「国指定名勝・吾妻峡」があります。
吾妻川に架かる雁ヶ沢橋から八ッ場大橋まで約3.5キロにわたる渓谷美は、深く浸食された溶岩の絶壁と清流のコントラストが見事で、渓谷沿いの探勝遊歩道(片道約40分)を歩きながら吾妻の自然を存分に楽しめます。
また近年注目を集める「八ッ場ダム」も車でほど近く、ダム湖「やんば湖」の壮大な景色を眺めながら、「アガッタン」(ロストラインを走る自転車型トロッコ)で渓谷美を楽しむ体験も人気です。
草津温泉は川中温泉から車で約30〜40分。強酸性でpH2前後の草津の湯で毛穴を開いて汚れを取り除き、翌日に川中温泉のアルカリ性のやわらかな湯でしっとりと仕上げるという「草津の仕上げ湯」の旅は、古くから温泉好きに伝わる群馬ならではの湯めぐりの型です。
同じ吾妻渓谷温泉郷の四万温泉も車で約30分と近く、上州の個性的な温泉を組み合わせた欲張りな旅が組み立てられます。
上州の食の恵み おっきりこみ・岩魚・山の幸

出典:かど半旅館
かど半旅館の料理は、地元の食材を活かしたあたたかな家庭料理です。
派手な会席料理ではなく、「お客様が喜ぶ笑顔が見たい」という気持ちを大切にした素朴なもてなしが、都会から訪れる旅人に深く刺さると評判です。
料理の主役は群馬の郷土料理「おっきりこみ(おきりっこみ)」。
手打ちの幅広麺を味噌と醤油で煮込んだ汁料理で、里芋・大根・にんじん・きのこなど季節の野菜がたっぷり入り、打ち粉が溶け出してとろみのついた汁が麺によく絡みます。
上州の農家で代々作られてきたおふくろの味は、温泉の湯上がりに体の芯から温め直してくれます。
また雁ヶ沢川の清流で育った岩魚の塩焼きや、季節の山菜・小鉢料理も食卓に並びます。
刺身こんにゃくなど群馬名産も外せない一品です。地元の食材を丁寧に調理した家庭的な膳は、一軒宿ならではのもてなしを体現しています。



