露天風呂番付「西の横綱」【湯原温泉郷】源泉かけ流し|岡山・砂湯の足元自噴泉と美作三湯の湯めぐり
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湯あがり ぽか子
温泉大好き40年のベテラン。「一湯一会」を逃さないために、常に手ぬぐいを持ち歩いています。長年の経験で、お湯を触っただけで大体の泉質がわかる特技を持ちます。温泉好きが高じて、温泉ソムリエ・温泉観光アドバイザーの資格を取得。日本の宝である「温泉文化」を皆さんにお伝えできることが喜びです!
川底の砂の間から、ぷくぷくと温泉が湧き出しています。
湯原ダムの真下、旭川の河原に設けられた天然の大露天風呂「砂湯」は、24時間無料で開放されている足元自噴泉です。
岡山県真庭市、大山・蒜山高原の南麓に広がる湯原温泉郷は、旭川沿いに南から真賀・足・郷緑・下湯原・湯原の5つの温泉地が連なる美作三湯のひとつです。
江戸時代の温泉番付で「草津についで東の関脇」とも評された格式ある名湯で、1980年の全国露天風呂番付では「西の横綱」に選ばれました。
15か所の源泉はすべて自噴泉、推定毎分6,000リットルという豊富な湯量を誇ります。
目次
湯原温泉郷へ ダムと旭川と昭和の温泉街

出典:一般社団法人 真庭観光局
湯原温泉は、米子自動車道・湯原ICから国道313号を経由して車で約5分という好アクセスです。
JRを利用する場合は岡山駅から津山線で中国勝山駅まで約2時間、そこからバスで約30分。
関西圏からは高速道路で2〜3時間圏内に位置し、山陽・山陰の行楽拠点として古くから賑わってきました。
湯原ダムの下流、旭川沿いに元禄時代創業の老舗旅館や射的場・土産物屋が建ち並ぶ温泉街は、昭和の温泉情緒をたっぷりと残しています。
「カランコロン大通り」と呼ばれるメインストリートには足湯・手湯・温泉ミュージアムが点在し、湯めぐりと合わせた町歩きが楽しめます。
夏は川で鳴く河鹿蛙の声が温泉街全域に響き、冬のクリスマスシーズンには「砂湯」周辺でキャンドルファンタジーが開催されます。
蒜山高原・神庭の滝・大山 周辺の絶景を巡る

出典:一般社団法人 真庭観光局
湯原温泉郷を拠点にすると、中国地方の大自然へのアクセスが抜群です。
車で約30分の「蒜山高原」は、ジャージー牛が放牧される広大な高原地帯で、家族連れに人気のリゾートエリアです。
ジャージー牛乳を使った乳製品は土産品としても定評があります。また「日本の滝百選」に選ばれた「神庭の滝」(落差110メートル・中国地方一)では、約200匹の野生猿が出迎えてくれることもあります。
さらに米子自動車道を北上すれば中国地方最高峰・大山(1,729メートル)の雄大な山容も望め、温泉と山岳観光を組み合わせた旅が組み立てられます。
豊臣秀吉の側室「おふくの方」が愛した歴史と地の食

出典:一般社団法人 真庭観光局
湯原温泉が歴史的に登場する最初の記録は、豊臣秀吉の五大老・宇喜多秀家の母「おふくの方」が病の療養地として選んだことです。
妖艶な美貌と伝えられたおふくの方が愛したこの湯は、古墳時代には「たたら製鉄」の労働者たちの療養の場としても使われており、この地の温泉の恩恵は遥か昔から続いています。
宿の食事では旭川や支流で育った山陰・山陽の新鮮な魚介、蒜山高原の野菜・乳製品、真庭産のひのきの香りを活かした創作料理など、豊かな地の食材が楽しめます。
砂湯の足元自噴泉 西の横綱・源泉かけ流し体験

出典:一般社団法人 真庭観光局
「砂湯」は湯原ダムの真下、旭川の河原に川底から温泉が湧き出す足元自噴泉の天然露天風呂です。
24時間無料で開放(水曜午前中は清掃休み)されており、「美人の湯・子宝の湯・長寿の湯」という温度の異なる3つの湯船があります。
泉質はアルカリ性単純温泉・源泉温度40〜45℃。
15か所の源泉はすべて自噴泉で、推定毎分6,000リットルという豊富な湯量のほとんどが未利用のまま川に流れるほどです。
大山・蒜山火山のマグマが熱源と推定されており、無色透明でなめらかな湯は石けんいらずとも言われる美肌効果を誇ります。
また湯原温泉郷内には「真賀温泉」「郷緑温泉」などpHが高く個性的な泉質の足元自噴泉を持つ温泉地も点在しており、湯めぐりの楽しみは尽きません。
湯原温泉郷の湯めぐり 5つの温泉地を歩く

出典:一般社団法人 真庭観光局
湯原温泉郷は南から北へ5つの温泉地が連なります。
最南端の「真賀温泉」は浴槽の底から湧き出す足元自噴泉で泉質の濃さに定評があります。
「郷緑温泉」はかやぶき屋根の湯小屋が風情を醸す秘湯。
「足温泉」は崖の岩壁から湧き出す自然湧出泉。
「下湯原温泉」はやや大型の旅館が多い温泉地。
そして「湯原温泉」が砂湯を擁する温泉郷の中心です。
それぞれ異なる個性の泉質と風情を持つ5地区を湯めぐりする旅は、岡山県北の温泉の多様性を体感できる贅沢なコースです。
湯原温泉郷の源泉かけ流し概要

出典:一般社団法人 真庭観光局
泉質: アルカリ性単純温泉(低張性アルカリ高温泉)
源泉: 15か所・すべて自噴泉・推定毎分6,000リットル
湯色: 無色透明・なめらかな肌触り(美人の湯)
泉温: 40〜45℃
源泉かけ流し: 各旅館・砂湯ともに源泉かけ流し
効能: 慢性リウマチ・神経痛・動脈硬化症・不眠症・疲労回復・美肌
旅の余韻

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出典:一般社団法人 真庭観光局
湯原ダムを背景に、川底からぷくぷくと湯が湧き出す砂湯に体を沈める。
夜には満天の星が広がり、旭川の瀬音だけが聞こえる——西の横綱と呼ばれた理由が、そのまま肌で感じられます。
豊臣の時代から人々の体を癒してきた自噴の湯は、今日も変わらず大地から湧き出し続けています。
蒜山高原のジャージーソフトを食べながら、5つの温泉地を巡る美作の旅は、岡山の奥深さを教えてくれます。



