アイヌが「大きなお湯」と呼んだ【温根湯温泉】源泉かけ流し|北の大地の水族館・北きつね牧場と無加川沿いの美白の硫黄泉
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湯あがり ぽか子
温泉大好き40年のベテラン。「一湯一会」を逃さないために、常に手ぬぐいを持ち歩いています。長年の経験で、お湯を触っただけで大体の泉質がわかる特技を持ちます。温泉好きが高じて、温泉ソムリエ・温泉観光アドバイザーの資格を取得。日本の宝である「温泉文化」を皆さんにお伝えできることが喜びです!
「オンネ・ユ(大きなお湯)」——アイヌの人々がそう呼んで狩猟の帰りに体を癒していた湯が、今も北海道の山あいで湧き続けています。
北海道北見市留辺蘂町、石北峠を源流とする無加川のほとりに旅館やホテルが3軒並ぶ温根湯温泉は、明治32年(1899年)に本州からの入植者たちが旅館を開いてから今日まで、120年以上にわたって北見地方を代表する温泉地として愛されてきました。
単純硫黄泉(pH9.1)のやわらかなアルカリ性の湯は「美白の湯」として評判が高く、加温・加水・ろ過・循環を一切しない源泉かけ流しが3軒すべてで実践されています。
道の駅に隣接する「北の大地の水族館」や「北きつね牧場」など家族で楽しめる観光施設が温泉街のすぐそばに集まっており、湯浴みと観光を一度に満喫できる道東の温泉拠点です。
目次
無加川のほとりへ 「大雪国道」が開いた温泉地の歴史

温根湯温泉は、北海道北見市留辺蘂町の国道39号線沿い、無加川をはさんで旅館やホテルが立ち並ぶ温泉地です。
女満別空港から車で約1時間、旭川から上川層雲峡ICを経由して車で約2時間、JR石北本線・留辺蘂駅からバスで約20分というアクセスです。
有史以前からアイヌが狩猟の際に利用していたこの湯は、明治24年(1891年)に旭川から網走への中央道路が開通して以来、少しずつ外の世界に知られていきました。
1899年(明治32年)に大江與四蔵ら本州からの入植者が温泉旅館を開業し、現在も続く「大江本家」はその流れを汲む明治創業の老舗です。
昭和32年(1957年)に国道39号線が石北峠を経由する「大雪国道」として開通してからは、層雲峡・網走・知床・阿寒を結ぶ道東観光のゴールデンルート上に位置する温泉地として広く知られるようになりました。
太平洋戦争終結まで旧陸軍第七師団の傷病兵の療養地に指定されていたという歴史も持つ、北見地方最古の温泉地です。
北の大地の水族館・北きつね牧場・道の駅おんねゆ 観光スポットをめぐる

出典:北の大地の水族館
温根湯温泉が単なる温泉地にとどまらない魅力を持つ理由のひとつは、温泉街のすぐそばに個性豊かな観光施設が集まっていることです。
道の駅「おんねゆ温泉」に併設する「北の大地の水族館(山の水族館)」は、北海道の淡水魚に特化した水族館です。
日本最大の淡水魚イトウをはじめ、道内の川や湖に暮らす魚たちを滝壺を下から見上げる迫力ある水槽で展示しており、コンパクトな規模ながらその展示の独自性で国内外から注目を集めています。
道の駅エリアには世界最大級の木製ハト時計塔「果夢林(カムリン)」もそびえ立ち、温泉街のシンボルとして旅人を迎えています。
温泉街から徒歩圏内の「北きつね牧場」は、60匹以上のキタキツネが野生に近い状態で放し飼いにされた日本唯一のキツネ専門施設です。
遊歩道を歩くとキタキツネが間近まで寄ってくることもあり、銀ギツネやエゾタヌキとの出会いも。
春には子ぎつねが誕生し、小さな命との出会いが旅の記憶を特別なものにします。
サロマ湖のホタテ・北見焼肉・オホーツクの幸 北見の食を楽しむ

温根湯温泉を拠点にすると、北見・オホーツクならではの食の豊かさを存分に楽しめます。
北見市は道内有数の焼肉文化が根付いた街で「北見焼肉」として知られ、地元民が気軽に焼肉を楽しむ食文化は旅人にも人気です。
また宿の夕食では近郊・サロマ湖で育ったホタテや、オホーツク海の新鮮な海鮮、北見牛などが食卓を彩ります。
温根湯温泉の各宿でも「サロマ湖のホタテ御膳」「オホーツク海鮮丼御膳」など地元食材を前面に押し出したプランが好評です。
また北見市はかつて世界のハッカ生産量の7割を占めた「ハッカの街」としても知られており、「北見ハッカ記念館」での見学とハッカ製品のショッピングも温根湯温泉とセットで楽しめます。
美白の湯・酸化還元電位マイナスの鮮度 源泉かけ流し体験

出典:大江本家
温根湯温泉の泉質は単純硫黄泉(アルカリ性低張性高温泉)・pH9.1・源泉温度53.7℃。加温・加水・ろ過・循環を一切行わない100%源泉かけ流しを3軒すべてで実践しています。
pH9.1という高アルカリ性の成分が肌の古い角質をやわらかく落とし、硫黄成分が皮膚の新陳代謝を促すことで、湯上がりの肌がつるりと明るく整う「美白の湯」としての評判が定着しています。
特筆すべきは酸化還元電位(ORP)のマイナス200mV以下という数値。
これは湯の鮮度を示す指標で、数値がマイナスであるほど酸化していない新鮮な温泉であることを意味します。
塩素消毒をした循環温泉ではこのマイナス値は出ず、真に新鮮な源泉かけ流しだからこそ得られる数値です。傷ついた魚の鱗を治したという逸話が地元に伝わるほど、皮膚の修復・再生への効能が高いとされています。
3軒それぞれが個性的な湯を提供しており、大江本家は加温加水ろ過循環一切なしの徹底した源泉かけ流し・自然石の露天風呂が名物、ホテルつつじ荘は一晩中かけ流しのオートロウリュ式サウナ完備、四季平安の館は内風呂も露天風呂もすべて天然温泉100%かけ流しと、宿ごとの湯の個性を比べる湯めぐりも楽しめます。
温根湯温泉の源泉かけ流し概要

出典:大江本家
泉質: 単純硫黄泉(アルカリ性低張性高温泉)
pH: 9.1
源泉温度: 53.7℃
湯色: 無色透明・やわらかな肌触り
酸化還元電位: マイナス200mV以下(高鮮度の証)
源泉かけ流し: 3軒すべて加温・加水・ろ過・循環なし・100%源泉かけ流し
効能: 神経痛・筋肉痛・関節痛・五十肩・冷え性・慢性消化器病・疲労回復・美白・美肌
旅の余韻

出典:大江本家
アイヌが「大きなお湯」と呼んだ無加川のほとりで、120年前から変わらず湧き続けている湯に体を預けます。
pH9.1のやわらかなアルカリが肌を包み、硫黄の香りがほんのりと漂う中で、傷ついた魚の鱗を治したという逸話が不思議なリアリティを持って感じられます。
北きつねがそっと近づいてきた朝の記憶と、水族館で見上げたイトウの大きな影と、無加川の清流の音。
温根湯温泉の旅は、北海道の大自然と生き物と温泉が一か所に集まった、何度でも訪れたくなる場所です。



