国後島を望む日本最東端の温泉地【尾岱沼温泉】源泉かけ流し|野付半島の絶景と「四角い太陽」・北海シマエビの旅
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湯あがり ぽか子
温泉大好き40年のベテラン。「一湯一会」を逃さないために、常に手ぬぐいを持ち歩いています。長年の経験で、お湯を触っただけで大体の泉質がわかる特技を持ちます。温泉好きが高じて、温泉ソムリエ・温泉観光アドバイザーの資格を取得。日本の宝である「温泉文化」を皆さんにお伝えできることが喜びです!
北海道の地図を右端まで追うと、野付半島の付け根の小さな漁港に「尾岱沼(おだいとう)」という集落が現れます。
野付郡別海町の東端、野付湾に面したこの漁港街が「尾岱沼温泉」。
昭和29年(1954年)に湯元戸田旅館が開業したことに始まる、日本最東端クラスの温泉地です。
昭和57年(1982年)には公衆浴場「浜の湯」の掘削で地下300メートルから新たな源泉が発見され、現在は宿泊施設4軒と日帰り施設1軒が源泉かけ流しの湯を提供しています。
目の前には野付湾・野付半島、晴れた日には国後島まで見渡せる圧倒的なロケーションが、この小さな温泉地を特別な存在にしています。
目次
野付湾のほとりへ 日本最大の砂嘴と北方領土を望む温泉地

出典:北の道の駅
尾岱沼温泉は、北海道野付郡別海町の尾岱沼漁港に隣接した温泉地です。
根室中標津空港から国道272号・244号を経由して車で約35分、釧路からは国道44号・244号を経由して約2時間、札幌からは道東自動車道経由で約6時間というアクセスです。
「尾岱沼」という地名はアイヌ語の「オタ・エトウ(砂のくちばし)」に由来するとも言われ、目の前に広がる野付半島(全長約26キロ・日本最大の砂嘴)の形状そのものを表しています。
温泉宿から野付湾を眺めると、水平線には野付半島のシルエットが広がり、条件が整えば遥かに国後島の山並みまで見渡せます。北方領土問題が続く中、ここから見る国後島の眺めは旅人に複雑な感慨をもたらします。
道の駅おだいとう(2024年リニューアル)の3階展望室からは望遠鏡で野付半島と国後島を観察でき、尾岱沼の地理的・歴史的な位置を実感できます。
野付半島・トドワラ・四角い太陽 尾岱沼の絶景体験

尾岱沼を訪れる旅人が求める最大の体験は、野付半島の絶景です。
全長26キロの砂嘴・野付半島はラムサール条約登録湿地にも指定された希少な自然環境で、「トドワラ」「ナラワラ」と呼ばれる地盤沈下によって枯れたトドマツ・ナラの木立が幻想的な光景を作り出しています。
5〜6月には花々が咲き、秋には紅葉と渡り鳥が集まり、冬の厳冬期には年に数回しか見られない「四角い太陽」。
蜃気楼の一種で、水平線に沈む太陽が大気の屈折で四角く変形する現象が現れます。
この奇跡の自然現象を見るために、厳冬期にもかかわらず全国から旅人が集まります。
尾岱沼漁港からは野付湾を遊覧する観光船も運航されており(5月下旬〜10月末)、水上から見る野付半島の絶景と野生動物(ゴマフアザラシ・オジロワシなど)との出会いも旅の醍醐味です。
北海シマエビ・ホタテ・花咲ガニ 別海の海の幸

出典:フォトAC
尾岱沼は北海シマエビの一大産地として知られており、野付湾で伝統的な「打瀬舟(うたせぶね)」による漁が今も続いています。
三角帆を張った打瀬舟が風の力だけで野付湾をゆっくりと進む漁の風景は「北海道遺産」に選定されるほどの美しさです。
北海シマエビは「赤い宝石」とも呼ばれ、濃厚な甘みとプリプリとした食感は一度食べると忘れられない美味しさ。
各宿では地元で獲れた北海シマエビ・天然ホタテ・花咲ガニ(鉄砲汁)など道東の海の幸を存分に使った夕食が楽しめます。
野付湾を眺めながら入浴する 源泉かけ流し体験

尾岱沼温泉の泉質はナトリウム-塩化物泉を主とし、一部施設ではアルカリ性単純温泉も提供されています。
塩化物泉は体を芯から温めて血液の循環を高め、湯冷めしにくい「温まりの湯」として知られています。
「楠旅館」では加水なしの源泉かけ流しを実践しており、「湯上がりはすっきり爽快でよく温まり湯冷めしない」と評判です。
一部の施設では露天風呂から野付湾を直接眺めながら入浴できます。
夏は打瀬舟の帆が湾内をゆっくりと進む光景、冬は凍りかけた湾と白鳥の群れ。
温泉に浸かりながら望む野付湾の景色は、この温泉地でしか体験できないものです。
日帰り公衆浴場「浜の湯」ではナトリウム塩化物泉とアルカリ性単純温泉の2種類を楽しめます。
尾岱沼温泉の源泉かけ流し概要

泉質: ナトリウム-塩化物泉(主)・アルカリ性単純温泉(一部施設)
源泉: 地下300メートルから湧出・自噴(1982年掘削)
源泉かけ流し: 各施設とも源泉かけ流し(楠旅館は加水なし)
効能: 神経痛・筋肉痛・関節痛・冷え性・皮膚病・疲労回復
旅の余韻

出典:別海町役場
露天風呂の湯に浸かりながら、野付湾の向こうに沈む夕日を眺めています。
遥かに国後島の山並みが青くかすんでいる。この距離感が、日本の最東端にいることをやさしく、しかし確かに教えてくれます。
北海シマエビの甘みと打瀬舟の記憶を携えて、塩化物泉の温もりが体の芯にまで届く夜。
尾岱沼の旅は、北海道の果てに来て初めて味わえる、静かで豊かな時間です。



