北海道遺産・太古の葦が生んだ美人の湯【十勝川温泉】源泉かけ流し|世界でも希少な植物性モール温泉とばんえい競馬の旅


出典:十勝川温泉 第一ホテル 豊洲亭
2026年06月28日更新

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湯あがり ぽか子

温泉大好き40年のベテラン。「一湯一会」を逃さないために、常に手ぬぐいを持ち歩いています。長年の経験で、お湯を触っただけで大体の泉質がわかる特技を持ちます。温泉好きが高じて、温泉ソムリエ・温泉観光アドバイザーの資格を取得。日本の宝である「温泉文化」を皆さんにお伝えできることが喜びです!

北海道河東郡音更町、十勝川の左岸に広がる十勝川温泉は、世界でもドイツ南西部にしか類例がないとされる植物性モール温泉の代表的な温泉地です。

2004年(平成16年)に北海道の温泉地で最初に「北海道遺産」として認定されたこの湯は、亜炭層から溶け出したフミン質(腐植物質)を豊富に含む茶褐色のやわらかな湯。

肌に触れるとつるりとなめらかになる「美人の湯」として道内外から多くの旅人を集めています。

十勝川右岸には直径18メートルの巨大花時計・十勝が丘展望台・世界唯一のばんえい競馬と十勝らしい大スケールの観光が充実しており、豚丼・十勝スイーツという食の宝庫が温泉旅をさらに豊かにします。

十勝川のほとりへ 植物性モール温泉が生まれる仕組みと歴史

出典:十勝川温泉 第一ホテル 豊洲亭

十勝川温泉は、北海道河東郡音更町の十勝川左岸に位置しています。

とかち帯広空港から車で約40分、帯広市内から車で約20分、JR帯広駅バスターミナルから帯広バス「十勝川温泉行き」で約30分というアクセスです。

道東自動車道・音更帯広ICからは車で約20分と道東観光の拠点として利便性が高い立地です。

十勝川温泉の最大の個性は「モール温泉」という泉質の希少性にあります。「モール」とはドイツ語で亜炭・泥炭を意味します。

数百万年前の十勝平野は大きな内湾で、周辺に茂った葦・ヨシなどの植物が堆積して亜炭層を形成しました。この亜炭層を地下水が通過することで植物由来の有機物(フミン酸・フルボ酸などのフミン質)が溶け込み、茶褐色の植物性温泉となって湧き出します。

帯広市街の地下1,000メートル以上から湧く温泉の泉温が50℃前後なのに対し、十勝川温泉では地下500〜700メートルから55〜60℃という高温で湧出しており、この豊富な湯量と高温が温泉地の発展を支えています。

温泉の開発は昭和初期から本格化し、かつてアイヌの人々が「薬の沼」と呼んでいた言い伝えが残るほど古くからこの地の湯の効能は知られていました。

戦後は道東を代表する温泉地として成長し、昭和29年(1954年)には昭和天皇・皇后両陛下の行幸の地にもなった格式ある温泉郷です。


ばんえい競馬・十勝が丘展望台・彩凛華 十勝の四季を楽しむ

出典:公益社団法人 北海道観光機構

十勝川温泉を拠点にすると、十勝ならではのスケールの大きな観光体験が楽しめます。

帯広市内の「ばんえい十勝」は世界でただひとつの競馬です。

サラブレッドよりも大きなばん馬(重挽馬)が200〜1,000キログラムの鉄製ソリを引いて砂の直線コースを走り、坂を越えながらゴールを目指す迫力は、初めて見る旅人を必ず虜にします。隣接する「とかちむら」では帯広名物の豚丼も楽しめます。

温泉街のすぐそばの「十勝が丘展望台」からは十勝川・温泉街・広大な十勝平野・遠く日高山脈まで一望できます。

直径18メートル・秒針の長さ10メートルという巨大花時計「ハナック」が見守る十勝が丘公園では無料の足湯も楽しめ、モール温泉の美肌効果をお手軽に体感できます。

冬の一大イベント「おとふけ十勝川白鳥まつり彩凛華(さいりんか)」は、十勝川温泉の広大な会場を氷と光のアートで彩るイルミネーションイベントです。

音更町が越冬地となっているコハクチョウと温泉と幻想的な光の共演は、北海道の冬旅の定番として全国から観光客を集めています。


豚丼・十勝スイーツ・乳製品 大地の恵みを食べる

出典:道の駅ガーデンスパ十勝川温泉

十勝川温泉の旅は食抜きには語れません。

「豚丼」は帯広発祥のB級グルメです。甘辛いたれで香ばしく焼いた豚肉を白飯に豪快に乗せたシンプルな一品は、十勝旅行の外せない食体験です。

温泉地から帯広市内の専門店まで車で20分ほどと近く、宿泊翌日の朝食や昼食に帯広の豚丼を食べるという旅のスタイルが定着しています。

十勝は北海道を代表する農業・酪農地帯で、小麦・じゃがいも・てん菜・小豆・乳製品の産地として全国に知られています。

六花亭・柳月・クランベリーなど北海道を代表する菓子店が軒を連ねる十勝はスイーツの聖地でもあり、新鮮な乳製品を使ったソフトクリーム・バター飴・チーズケーキなどが旅の甘い記憶を彩ります。

道の駅ガーデンスパ十勝川温泉の「マルシェ」では十勝産野菜・豆・乳製品・加工品が揃い、温泉の帰りの土産選びに最適です。


世界希少・茶褐色の美人の湯 源泉かけ流し体験

出典:十勝川温泉 第一ホテル豆陽亭

十勝川温泉の湯の最大の特徴は、そのやわらかな肌触りにあります。

泉質はナトリウム塩化物・炭酸水素塩泉(弱アルカリ性低張性高温泉)・源泉温度55〜60℃。フミン質が溶け込んだ茶褐色の湯は一般的な鉱物性温泉と異なり「植物性温泉」としての特性を持ちます。

弱アルカリ性の成分が肌の古い角質をやわらかく洗い落とし、フミン酸が肌の保湿と再生を促すことで、化粧水と同等の保湿効果が期待されています。

皮下浸透度が高く短時間で体の芯から温まると評判で、湯上がりにはしっとりとすべすべの肌が長続きします。

「十勝川温泉 第一ホテル 豊洲亭・豆陽亭」は全室展望風呂付きの上質な旅館として自家源泉かけ流しのモール温泉を提供しており、「十勝ビュッフェ」では十勝の食材を活かした料理が楽しめます。

各宿それぞれが自家源泉を持つ旅館・ホテルが温泉郷を形成しており、宿ごとの個性を楽しむ湯めぐりも可能です。


道の駅ガーデンスパ十勝川温泉 日帰りの新拠点

出典:道の駅ガーデンスパ十勝川温泉

温泉郷の中心に建つ「道の駅ガーデンスパ十勝川温泉」は、スパ・マルシェ・体験工房・4つの飲食店が集まる日帰りの複合施設です。

水着で入れるモール温泉プール「アクアパーク」が最大の目玉で、家族やカップルで一緒に入れる珍しい施設として道内外から注目されています。

マルシェではモール温泉の保湿成分を活かした化粧品・「モール豚」の加工食品・十勝の特産品が揃い、アイスクリームやチーズなどの食材加工体験(要予約)も好評です。

ペット専用の足湯・ドッグランまで完備した充実した施設で、日帰りでも十勝川温泉の魅力を存分に体験できます。


十勝川温泉の源泉かけ流し概要

出典:十勝川温泉 第一ホテル豆陽亭

泉質: ナトリウム塩化物・炭酸水素塩泉(弱アルカリ性低張性高温泉)・植物性モール温泉

源泉温度: 55〜60℃(地下500〜700メートルから湧出)

湯色: 茶褐色(フミン質を豊富に含む)・やわらかな肌触り

源泉かけ流し: 各旅館・ホテルの自家源泉で実施(加温加水なしの施設多数)

効能: 神経痛・筋肉痛・関節痛・五十肩・運動麻痺・うちみ・くじき・痔疾患・慢性消化器病・慢性皮膚病・慢性婦人病・冷え性・美肌・疲労回復


旅の余韻

出典:十勝川温泉 第一ホテル豆陽亭

茶褐色の湯に体を沈めると、数百万年前の葦が溶け込んだやわらかな湯が肌をやさしく包みます。

フミン質が化粧水のように肌に作用し、十勝川の川音が窓の外から静かに届いてくる夜です。

ばんえい競馬でばん馬の力強さに圧倒され、豚丼の甘辛い旨みを噛みしめ、六花亭のお菓子を膝の上に並べながら、世界でドイツ南西部にしかない植物性モール温泉に長湯する。

北海道遺産の称号はこの湯の豊かさを認めた証で、十勝の大地が生んだすべての恵みが、一度の旅に凝縮されています。