メークイン発祥の地に湧く熊の棲む谷の秘湯【俄虫温泉】源泉かけ流し|道南・厚沢部の日本庭園露天風呂とブラックシリカ岩盤浴
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湯あがり ぽか子
温泉大好き40年のベテラン。「一湯一会」を逃さないために、常に手ぬぐいを持ち歩いています。長年の経験で、お湯を触っただけで大体の泉質がわかる特技を持ちます。温泉好きが高じて、温泉ソムリエ・温泉観光アドバイザーの資格を取得。日本の宝である「温泉文化」を皆さんにお伝えできることが喜びです!
「カムイウシ——熊が多い」。アイヌの人々がそう呼んだ谷の奥に、道南らしい素朴な一軒宿が湯けむりを上げています。
北海道檜山郡厚沢部町(あっさぶちょう)、道道67号八雲厚沢部線沿いの厚沢部市街地から約1.2キロ。厚沢部川の支流沿いの自然に囲まれた場所に建つ「俄虫温泉旅館」は、1974年(昭和49年)開湯の一軒宿です。
さらりとした無色透明の単純温泉は黒茶色の細かな湯の花が舞う新鮮な源泉かけ流しで、日本庭園を配した露天風呂からは四季折々の木々が眺められます。
上ノ国産ブラックシリカを使った岩盤浴も備えており、温泉と岩盤浴で体の内外から整える体験が、大人400円という驚くほど手頃な価格で楽しめます。
目次
熊の谷の一軒宿へ 「がむし」という地名の由来

出典:俄虫温泉旅館
俄虫温泉(がむしおんせん)は、北海道檜山郡厚沢部町の道道67号沿い、厚沢部市街地からほど近い自然の中に位置しています。函館から車で約70分、JR函館駅から函館バス江差行きに乗って厚沢部で下車しタクシーで約5分というアクセスです。
「俄虫」という一見不思議な地名は、アイヌ語の「カムイウシ(熊が多い場所)」に由来しています。
かつてこの谷間に熊が多く棲んでいたことを物語る地名で、深い山林と清流が今も残る環境がその歴史の名残りを感じさせます。
昭和初期頃まで「意養温泉」という旅館がこの地にあったとされており、現在の俄虫温泉旅館は1974年(昭和49年)に新たに開湯した一軒宿として今日に至ります。
和室14室の小ぢんまりとした宿は、宴会場・サウナ・ジャグジー付き大浴場・日本庭園露天風呂・家族風呂3室・岩盤浴と施設が充実しており、地元の人々から道内外の旅人まで幅広く愛されています。
江差・上ノ国・太鼓山 道南檜山の歴史と自然を巡る

俄虫温泉を拠点にすると、道南檜山エリアの個性豊かな観光地へ気軽に足を伸ばせます。
車で約25分の「江差町」は、江戸時代に北前船交易で栄えた道南有数の歴史の町です。
重要文化財・旧中村家住宅などが残る「いにしえ街道」の石畳を歩きながら、北海道で最も古い民謡のひとつ「江差追分」の哀愁漂う節を聴ける江差追分会館も見どころです。
毎年8月には道南最大の祭り「姥神大神宮渡御祭」が行われ、豪壮な山車と神輿が町を練り歩きます。
また車で約30分の「上ノ国町」は松前藩の藩祖・武田信広が拠点を置いた中世の歴史が息づく町で、国指定史跡の夷王山遺跡群が残っています。
俄虫温泉の岩盤浴に使用されるブラックシリカ(珪化木)はこの上ノ国町産で、北海道でも産出地が限られる希少な鉱石です。
温泉のすぐそばには春のツツジと秋の紅葉で知られる景勝地「太鼓山(標高145.9メートル)」があり、町を見渡す気軽なハイキングが楽しめます。
メークイン・光黒大豆・エゾマイタケ 厚沢部の食の恵み

出典:厚沢部町役場
厚沢部町は全国に知られる農産物の宝庫です。
最大の誇りが「メークイン発祥の地」であること。
大正14年(1925年)にこの地で日本初のメークインが栽培されて以来、厚沢部産メークインの種芋は毎年全国に届けられています。
みずみずしく煮崩れしにくいメークインの美味しさを、地元ならではの採れたて品質で味わえます。
2022年には直径約1メートルのメークインコロッケ(重量279キロ・約1,300人分)がギネス世界記録に認定されたことも話題となりました。
また光黒大豆(ひかりくろだいず)は上品な甘みと大粒の実が評判の厚沢部ブランドで、黒豆茶・黒豆納豆などの加工品も人気です。
秋にはエゾマイタケ・ヤマゴボウなど山の幸が食卓を彩り、道の駅「あっさぶ」ではこれらの特産品が揃います。
俄虫温泉旅館の食事には厚沢部産食材を活かした旬の季節料理が並び、地の恵みをじっくりと味わえます。
湯の花が舞う単純温泉と上ノ国産岩盤浴 源泉かけ流し体験

出典:厚沢部町観光協会
俄虫温泉の泉質は単純温泉(弱酸性低張性低温泉)。
無色透明・無味無臭のさらりとした湯は、黒茶色の細かな湯の花がほのかに漂うことで「これが本物の温泉だ」という鮮度を感じさせます。
神経痛・筋肉痛・冷え性・運動器障害・疲労回復・リウマチ疾患などへの効能があり、刺激が少なくやさしい泉質のためお子様から高齢者まで安心して楽しめます。
大浴場はジャグジー・サウナ・打たせ湯を完備し、日本庭園を眺める露天風呂は春の新緑・夏の深緑・秋の紅葉・冬の雪見と四季折々の美しさで旅人を迎えます。
家族風呂は露天あり・なしの3タイプが揃い、子連れの家族もプライベートにゆっくりと温泉を楽しめます。
そしてこの宿ならではの体験が、上ノ国町産ブラックシリカを使用した岩盤浴です。
北海道でも産地が限られる上ノ国産ブラックシリカは、遠赤外線の放射量が高いことで知られ、岩盤の遠赤効果で体を内側からじっくりと温め、発汗を促すことで老廃物の排出をサポートします。
温泉の入浴と岩盤浴を組み合わせることで、体の外側と内側から同時にリフレッシュできる。
この体験が地元のリピーターに特に支持されています。
俄虫温泉の源泉かけ流し概要

出典:厚沢部町観光協会
泉質: 単純温泉(弱酸性低張性低温泉)
湯色: 無色透明・無味無臭・黒茶色の細かな湯の花あり
源泉かけ流し: 天然温泉かけ流し
効能: 神経痛・筋肉痛・冷え性・運動器障害・疲労回復・リウマチ疾患・神経麻痺
旅の余韻

熊が多かった谷の名を冠した宿の露天風呂に、黒茶色の湯の花がふわりと漂っています。
さらりとした無色透明の湯に体を沈め、日本庭園の紅葉を眺めながら、体がじんわりと整っていきます。
メークイン発祥の地の道の駅で買ってきた採れたてのじゃがいもと光黒大豆を眺めながら、江差追分の哀愁ある節を思い出す。
道南檜山の静かな旅を、大人400円の本物の源泉かけ流しが、熊の谷の奥でやさしく締めくくってくれます。



