鹿が傷を癒した湯・道内唯一の間欠泉【鹿部温泉】源泉かけ流し|駒ヶ岳を望む内浦湾の漁港温泉と鹿部たらこの旅


出典:公益社団法人 北海道観光機構
2026年06月10日更新

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湯あがり ぽか子

温泉大好き40年のベテラン。「一湯一会」を逃さないために、常に手ぬぐいを持ち歩いています。長年の経験で、お湯を触っただけで大体の泉質がわかる特技を持ちます。温泉好きが高じて、温泉ソムリエ・温泉観光アドバイザーの資格を取得。日本の宝である「温泉文化」を皆さんにお伝えできることが喜びです!

寛文6年(1666年)、津軽から昆布出稼ぎにやってきた伊藤源五郎は、ある日、傷を湯で癒している一頭の鹿に出会いました。

北海道茅部郡鹿部町(しかべちょう)。函館の北、内浦湾(噴火湾)に面したなだらかな漁港の町に、文字通り鹿の傷癒しの伝説から始まった温泉地があります。

鹿部温泉は30か所以上の源泉を持つ全国屈指の源泉数を誇り、大正13年(1924年)には温泉掘削中に偶然発見された道内唯一の間欠泉が今も10分おきに高さ15メートルの熱湯を噴き上げています。

漁師が資格を持つ旅館もあるほど海の幸に恵まれ、鹿部たらこ・白口浜真昆布・ホタテといった特産品が温泉と並んでこの町を語る欠かせない主役です。

内浦湾の漁港町へ 鹿の傷癒しから始まった360年の歴史

出典:公益社団法人 北海道観光機構

鹿部温泉は、北海道茅部郡鹿部町の内浦湾沿いに位置しています。

JR函館本線・鹿部駅から函館バスで約20分(宿によっては事前連絡で送迎あり)、函館市内から車で約50分、新函館北斗駅から車で約30分というアクセスです。

「鹿部」という地名はアイヌ語の「シケルペ(キハダの生える所)」に由来するとも「シカッペ(湿ったところ)」が転じたとも伝えられています。

温泉の開湯は寛文6年(1666年)。津軽(現・青森県)から昆布出稼ぎに訪れた伊藤源五郎が湯で傷を癒す鹿を発見し、鹿島明神信仰者だった源五郎はその場所に温泉場を設置しました。
以来360年以上にわたって漁業と温泉が共存する町として栄えてきました。

市街地南部を中心に6軒の旅館・ホテルと2軒の共同浴場が点在し、海に近い漁港町らしい素朴な風情の中に温泉施設が溶け込んでいます。


しかべ間歇泉公園・駒ヶ岳・大沼国定公園 道南の絶景を巡る

出典:道の駅しかべ間歇泉公園

鹿部温泉の最大の観光スポットが「道の駅しかべ間歇泉公園」です。

大正13年(1924年)の温泉掘削中に偶然発見されたこの間欠泉は、地熱の力だけで約100℃の熱湯を約10分おきに最大15メートルの高さまで噴き上げる道内唯一の天然間欠泉です。

足湯に浸かりながら噴出の瞬間を待ち、白い蒸気柱が轟音とともに空へ向かって噴き上がる光景を目の当たりにする体験は、ほかでは得られない圧倒的な自然のパワーを肌で感じさせてくれます。

公園内には温泉の蒸気を利用した「温泉蒸し処」があり、物産館で購入したとうもろこし・牡蠣・ホタテ・たらこなどを10分ほど蒸して食べる体験が旅人に大人気です。

2016年(平成28年)に道の駅としてリニューアルし、物産館「鹿部・食とうまいもの館」も充実しています。

またこの町から眺める「駒ヶ岳」は絶景です。

1640年の大噴火で山頂が崩れて複数の峰を持つ現在の個性的な山容となった活火山・駒ヶ岳は、鹿部漁港越しに眺めると内浦湾の青い海と相まって道南を代表する絶景となります。

夕日の季節には山頂に日が沈む光景が見られ、砂原岳の峰は「ゴリラの横顔」に見えると地元で親しまれています。

さらに車で約30分の「大沼国定公園」は駒ヶ岳を背景に大沼・小沼が広がる道南屈指の自然景観スポットです。


鹿部たらこ・白口浜真昆布・ホタテ 水産王国の食体験

出典:公益社団法人 北海道観光機構

鹿部町は「水産王国」と称されるほど豊かな海の幸に恵まれています。

「鹿部たらこ」は地域団体商標として保護された鹿部産の銘品で、前浜で水揚げされた新鮮なスケトウダラを丁寧に加工した品質の高さで知られています。

道の駅の物産館や地元の食堂では大粒でふっくらとしたたらこが堂々と食卓に乗り、「ご飯にでっかいたらこが一本ど〜んとのっている」という体験が鹿部流の贅沢です。

また鹿部の白口浜で採れる「白口浜真昆布」は道南昆布の中でも特に品質が高いとされる銘品で、じっくりと旨みが出る上品なだしが料理人から高い評価を受けています。

漁師の資格を持つ旅館も存在するほど海との距離が近いこの町では、宿の夕食にホタテ・煮魚・刺身・たらこなど内浦湾の旬の幸が並ぶ豊かな食卓が楽しめます。


30以上の源泉・多彩な泉質の温泉かけ流し体験

出典:温泉旅館鹿の湯

鹿部温泉の最大の特徴は、30か所以上という全国屈指の源泉数と泉質の多様さです。

主な泉質はナトリウム塩化物泉・ナトリウム・カルシウム硫酸塩泉・炭酸水素塩泉など施設によって異なり、それぞれ湯の色・温度・肌触りが異なります。

加水・かけ流し式の施設が多く、創業大正9年(1920年)の老舗「温泉旅館鹿の湯」では3本の源泉からかけ流しの湯が注がれ、磯の香りがほのかに漂う庭園露天風呂が評判です。

漁港に面した純和風旅館「吉の湯」では湯量豊富なかけ流しの温泉と露天風呂が楽しめ、鹿部漁港の海の幸をお部屋食でいただけます。

地元民が銭湯として通う共同浴場「とら乃湯」では手頃な価格で地域の湯に浸かれ、湯めぐりとして複数の施設をはしごする旅人も多くいます。

駒ヶ岳の地熱によって湧き出す源泉の成分は神経痛・リウマチ・筋肉痛・慢性消化器疾患などへの効能があるとされており、「美肌の湯」として評判の施設もあります。


鹿部温泉の源泉かけ流し概要

出典:温泉旅館鹿の湯

泉質: ナトリウム塩化物泉・ナトリウム・カルシウム硫酸塩泉・炭酸水素塩泉ほか(源泉により異なる)

源泉数: 30か所以上(全国屈指)

湯温: 施設により異なる(間欠泉源泉は約100℃)

源泉かけ流し: 加水・かけ流し式の施設が多数

効能: 神経痛・リウマチ・筋肉痛・慢性消化器疾患・冷え性・美肌

旅の余韻

出典:公益社団法人 北海道観光機構

足湯に浸かって待つこと数分。轟音とともに100℃の熱湯が15メートルの空に舞い上がります。

この湯が駒ヶ岳の地熱から絞り出された証拠を間近に見てから、旅館の源泉かけ流しの湯に体を沈める。

鹿部温泉では、温泉の生まれる「現場」と浸かる「体験」が最短距離でつながっています。

鹿が傷を癒したという360年前の湧き水と同じ大地のエネルギーが、今夜も内浦湾の漁港の町で旅人を温めています。

たらこご飯と白口浜真昆布のだしで整えた体に、磯の香りがほんのりと漂う庭園露天風呂の湯が静かに染み込む。

函館からほど近いこの小さな漁港温泉が、道南の旅を深くしてくれます。