島津藩直営の御前湯から続く薩摩の湯【湯之元温泉】源泉かけ流し|鹿児島・日本三大砂丘「吹上浜」と薩摩焼の旅


出典:一般社団法人日置市観光協会
2026年04月28日更新

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湯あがり ぽか子

温泉大好き40年のベテラン。「一湯一会」を逃さないために、常に手ぬぐいを持ち歩いています。長年の経験で、お湯を触っただけで大体の泉質がわかる特技を持ちます。温泉好きが高じて、温泉ソムリエ・温泉観光アドバイザーの資格を取得。日本の宝である「温泉文化」を皆さんにお伝えできることが喜びです!

寛永17年(1640年)頃、薩摩藩の地で湯が発見されました。

鹿児島県日置市東市来町、日本三大砂丘のひとつ「吹上浜」から約2キロ内陸に入った国道3号線沿いに、「湯之元温泉」は広がっています。

江戸時代から廃藩置県まで島津藩直営の温泉として管理され、身分によって入る湯が違った「御前湯」「地頭湯」があったという由緒正しい薩摩の湯治場です。

約44か所(一説では約70か所)の源泉から毎分約2,000リットルの天然温泉が湧出し、単純温泉と単純硫黄泉という2種類の泉質を持つこの温泉は、今も地域の人々の生活に深く溶け込んだ「街の湯」として愛され続けています。

薩摩半島の中ほどへ 吹上浜と温泉の街

出典:一般社団法人日置市観光協会

湯之元温泉は、鹿児島県西部、薩摩半島のほぼ中央に位置する日置市東市来町にあります。

南九州西回り自動車道の市来ICから約1キロ、JR湯之元駅から徒歩約10分というアクセスのよさながら、街全体にほんのりと温泉の香りが漂う、昔ながらの生活温泉の雰囲気を色濃く残しています。

温泉街の元湯「打込湯」付近は特に昔ながらの湯治場の雰囲気が漂い、水路や水車が残る小道を歩くと、温泉と共に生きてきた薩摩の生活の香りが感じられます。

湯之元温泉の東約2キロには「日本三大砂丘」のひとつ、吹上浜が広がります。延長47キロにわたる松林と白砂のコントラストが続く砂丘は、薩摩半島の西岸に沿って雄大に続き、温泉の後のそぞろ歩きや潮風を浴びるドライブに最適です。


薩摩焼・美山と吹上浜 鹿児島の文化と自然を巡る

出典:公益社団法人鹿児島県観光連盟

湯之元温泉の周辺では、鹿児島の文化的な宝とも言える「薩摩焼」の里・美山を訪れることができます。

約400年前、朝鮮出兵の際に島津義弘公が連れ帰った朝鮮陶工たちによって始められた薩摩焼は、美山の地で代々受け継がれてきました。

竹林の美しい小路沿いに窯元やカフェが点在し、白薩摩・黒薩摩それぞれの魅力を持つ陶器を間近に見ながら散策できます。

薩摩焼の食器を扱う宿もあり、湯之元温泉と薩摩焼を組み合わせた旅は、鹿児島らしい豊かな旅のコースになります。


鹿児島の食の恵み 黒豚・黒牛・きびなごと地の食材

出典:公益社団法人鹿児島県観光連盟

鹿児島といえば「黒豚」。薩摩黒豚はきめ細かな肉質と豊かな旨みで全国に知られており、しゃぶしゃぶ・とんかつ・みそ汁など様々な料理で楽しめます。
また、「鹿児島黒牛」もブランド牛として高い評価を受けています。

地魚の「きびなご」は薩摩を代表する魚で、刺身・天ぷら・つけ焼きなど様々な調理法で食卓に並びます。

錦江湾や東シナ海に面した鹿児島の豊富な海の幸とともに、焼酎文化も根付いており、湯上がりに芋焼酎を一杯傾けるのも薩摩の旅の醍醐味です。


島津藩直営380年の源泉かけ流し体験

出典:湯之元温泉 元湯・打込湯

湯之元温泉の開湯は寛永17年(1640年)頃。

発見から廃藩置県まで島津藩直営の温泉として管理され、藩主や上級武士が使う「御前湯」、一般武士・地頭が使う「地頭湯」、庶民が使う「打込湯」と身分によって浴場が分かれていたという、薩摩ならではの歴史を持っています。

約44か所の源泉から湧き出る温泉は、単純温泉と単純硫黄泉の2種類で、いずれも源泉かけ流し。

単純硫黄泉の「元湯」は神経痛・リウマチ・胃腸疾患に、単純温泉の「打込湯」は美肌の湯・婦人病・子宝の湯として評判が高く、「打込湯で子宝を授かった」という体験談も多く語り継がれています。

源泉温度は37〜88℃と幅広く、各施設それぞれ特徴のある湯が楽しめます。


元湯・打込湯と田之湯 2種類の湯を楽しむ湯めぐり

出典:湯之元温泉 元湯・打込湯

元湯・打込湯(薬師の湯)は、島津藩直営の元湯の流れを汲む湯之元温泉のシンボル的存在で、令和2年にリニューアル。
単純硫黄泉の「元湯」と単純温泉の「打込湯」の2種類の湯に同時に入浴できます。
大人200円という庶民的な価格で、地元の常連客と肩を並べて本物の源泉かけ流しを味わえます。

田之湯温泉は、pH8.5の単純硫黄泉で、お湯の温度によって色が透明→エメラルドグリーンへと変化する美しい硫黄泉が評判の共同浴場です。
濃い硫黄臭と熱めの湯(43〜45℃)が特徴で、温泉マニアの間でも「鹿児島屈指の硫黄泉」として高く評価されています。

湯之元温泉街には9か所の日帰り入浴施設があり、200円前後という手頃な価格で各施設それぞれ個性の異なる源泉かけ流しの湯を楽しめる「湯めぐり」が可能です。


湯之元温泉の源泉かけ流し概要

出典:一般社団法人日置市観光協会

泉質: 単純硫黄泉(元湯)・単純温泉(打込湯)

源泉数: 約44か所(一説では約70か所)

湧出量: 毎分約2,000リットル

源泉温度: 37〜88℃(施設により異なる)

源泉かけ流し: 各施設とも源泉かけ流し

効能: 神経痛・リウマチ・皮膚病・胃腸病・婦人病・美肌・子宝

歴史: 寛永17年(1640年)開湯・島津藩直営の御前湯・地頭湯の歴史

施設: 元湯・打込湯(薬師の湯)・田之湯・湯之元温泉センターほか計9施設

アクセス: JR鹿児島本線湯之元駅より徒歩約10分・南九州道市来ICより約1km


旅の余韻

出典:湯之元温泉 元湯・打込湯

元湯の熱い湯に肩まで浸かっていると、江戸時代の薩摩の武士もこの同じ場所で体を癒したのだろうかと思います。

身分によって湯が分かれていた時代を経て、今は誰もが200円で同じ源泉かけ流しに浸かれる。

それが「湯之元温泉」の変わらぬ本質なのかもしれません。

吹上浜の潮風を浴びてから、薩摩焼の窯元を覗いて、湯之元の熱い湯に浸かって、芋焼酎を一杯。

鹿児島の旅の深みを知る人だけが立ち寄る、380年の湯治場です。