冷泉と薪ストーブサウナ、江戸末期から続く逆サウナ体験【寒の地獄温泉】源泉かけ流し
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湯あがり ぽか子
温泉大好き40年のベテラン。「一湯一会」を逃さないために、常に手ぬぐいを持ち歩いています。長年の経験で、お湯を触っただけで大体の泉質がわかる特技を持ちます。温泉好きが高じて、温泉ソムリエ・温泉観光アドバイザーの資格を取得。日本の宝である「温泉文化」を皆さんにお伝えできることが喜びです!
「寒の地獄」 その名前を聞いただけで、ただならぬ予感がします。
大分県玖珠郡九重町、標高1,100メートルの飯田高原に、江戸末期・嘉永2年(1849年)から湧き続ける冷泉があります。
源泉温度はわずか13〜14℃。真夏でも体感はほぼ0℃に近く、冷泉に浸かるたびに震えが止まらなくなる。
その「地獄のような冷たさ」が名前の由来です。
日本百名道・やまなみハイウェイ沿いの一軒宿「山の宿 寒の地獄旅館」に受け継がれてきた、冷泉と温泉の交互入浴という伝統の湯治法。
毎分2トン超という全国屈指の豊富な湧出量を誇る源泉かけ流しの秘湯は、温泉ファンの間で「一度は経験すべき大分の奥座敷」として長く語り継がれてきました。
目次
やまなみハイウェイと飯田高原 九重連山を貫く日本百名道の旅

寒の地獄温泉への道のりそのものが、すでに旅のクライマックスのひとつです。
大分・由布院と熊本・阿蘇を結ぶ全長約50キロの「やまなみハイウェイ」は、日本百名道にも選ばれた九州屈指の絶景ドライブルートです。
雄大なくじゅう連山、飯田高原の広大な草原、瀬の本高原の起伏ある牧草地。
車窓に次々と現れる大自然の景色は、都会の日常をみるみる遠ざけていきます。
牧場で放牧された牛や馬が草をはむ姿も、この道ならではの光景です。
新緑眩しい春、6月のミヤマキリシマが山肌をピンクに染める初夏、草紅葉と紅葉が競演する秋、白銀に包まれる冬。
やまなみハイウェイは四季ごとにまったく異なる表情を見せてくれます。
寒の地獄温泉はその道中、飯田高原のほぼ中心部に位置しています。
長者原ビジターセンターのすぐ近くに旅館があり、九重連山への登山口にも至近です。
くじゅう連山の絶景とタデ原湿原 大自然と高原の恵み

寒の地獄温泉を訪れる旅人の多くが、九重連山の登山とセットで訪れます。
旅館から徒歩10分ほどの場所には「タデ原湿原」が広がります。
阿蘇くじゅう国立公園内に位置し、四季折々の高原植物が咲き乱れるこの湿原には木道が整備されており、登山初心者でも気軽に自然観察を楽しめます。
早朝の霧に包まれたタデ原湿原は、まるで別世界のような幻想的な美しさです。
車で約15分の「牧ノ戸峠展望台」は、九重連山の主要登山ルートの入口として知られ、展望台から望むくじゅう連山と阿蘇五岳の雄大なパノラマは圧巻です。
さらに車で約10分の場所にある「九重”夢”大吊橋」は、歩行者専用吊橋としては日本最大級の規模を誇り、標高777メートルから震動の滝や鳴子川渓谷を一望できます。
また、車で約25分の「男池湧水群」は名水百選に選ばれた名所で、阿蘇くじゅう国立公園内に湧く清冽な水と苔むした森の静寂が旅人を癒してくれます。
くじゅうの大自然と源泉かけ流しの秘湯を組み合わせた旅は、心と体をいちばん深いところから整えてくれます。
囲炉裏を囲む山里会席 豊後牛・九重夢ポーク・虹鱒と地のものを

出典:寒の地獄旅館
温泉と並んで寒の地獄旅館の大きな魅力が、囲炉裏の食事処「八重喜」で楽しめる夕食です。
大分の食材が惜しみなく並ぶ山里会席は、「おおいたブランド」に認定された豊後牛、きめ細やかな脂の九重夢ポーク、清流で育った虹鱒の塩焼き、山菜の煮物など、九重の山里ならではの旬の味覚で構成されています。
囲炉裏を囲んでゆっくりと料理をいただく時間は、源泉かけ流しの湯に浸かった後の体を穏やかに満たしてくれます。
お米にもこだわりがあり、館主が自ら育てた自家製コシヒカリが食卓に上ります。
土と水の豊かな飯田高原で育まれた米の甘みは、山の料理と絶妙に寄り添います。
馬刺しなど大分ならではの一品も並び、九重の地の恵みを五感で味わえる夕食になっています。



