世界でも希少な石油系温泉【豊富温泉】源泉かけ流し|アトピー性皮膚炎に効く「オイル温泉」とサロベツ原野の旅
目次
湯治用浴場と一般浴場 2種の源泉かけ流しを使い分ける

豊富温泉で供用されている温泉には2種類の泉質があり、いずれも黄濁し、井戸から石油や天然ガスとともに湧き出るため、わずかに油分を含んでいます。
源泉は湯治用・一般客用も同じで、いずれも源泉かけ流しで提供されています。
泉質名は「含ヨウ素-ナトリウム-塩化物泉」で、多量の食塩と油分を含む点が特徴で、個性的な石油の香りを放つ超濃厚温泉です。
同時に、美肌成分で知られる重曹、消毒作用が期待できるメタほう酸も含有しています。
豊富温泉の源泉には植物起源の有機質からなるモール成分も含有しており、石油臭に混ざってハーブのような清々しい植物性のアロマも同時に感じられます。
湯治客用と一般客用浴場の大きな違いは、湯治客用浴場では朝のオープン開始時に湯口の周りにオイルフェンスが設けられ、その中に源泉から採取された成分の濃い油分が投入されている点です。
多くの湯治客は、その濃厚な油分を顔などに塗り付けています。
衣服に着色するほどお湯が濃いため、一部の宿泊施設ではあえて濾過や加水を行っています。
町営の日帰り入浴施設「ふれあいセンター」では、源泉をそのまま使用した湯治用の浴場のほか、濾過加水を行った一般用浴場も併設しています。
温泉の効能は万人にその効果を保証するものではなく、皮膚病に対する効能があるとされているものの医学的には解明されていない部分も多い点はご留意ください。
ただ2017年には厚生労働省により温泉利用型健康増進施設に指定されています。
豊富温泉の源泉かけ流し概要

泉質: 含よう素-ナトリウム-塩化物温泉(弱アルカリ性高張性温泉)とナトリウム-塩化物・炭酸水素塩冷鉱泉(弱アルカリ性高張性冷鉱泉)の2種類
源泉温度: 34.2℃(低温のため加温して提供)
湧出量: 令和2年には毎分273リットルまで増加
湯色: わずかに黄濁・石油臭・油分を含む
源泉かけ流し: 全施設源泉かけ流し(施設により加水・濾過の有無が異なる)
効能(浴用): 慢性皮膚病・神経痛・筋肉痛・関節痛・五十肩・運動麻痺・関節のこわばり・うちみ・くじき・慢性消化器病・痔疾・冷え性・病後回復期・疲労回復・健康増進・きりきず・やけど・病弱児童・慢性婦人病
旅の余韻

浴槽の湯面に浮かぶ油膜を見ながら、石油試掘の最中に偶然湧き出したこの湯が100年もの間、全国の肌の悩みを持つ人々を引きつけてきた理由を思います。
ほのかな石油の香りが鼻をくすぐり、濃い湯が体に染み込んでいく——これが「オイル温泉」か、と体で実感する瞬間です。
サロベツ原野に咲くエゾカンゾウの橙色と、地平線の向こうに浮かぶ利尻富士のシルエット。
日本最北の地まで来た旅人だけに許された絶景とともに、世界でも2か所しかない石油系温泉に体を委ねる——豊富温泉はその独自性だけで、日本の温泉巡りの記憶に深く刻まれる場所です。



