江戸時代から湯治客が訪れた日本最大カルデラ湖の秘湯【和琴温泉】源泉かけ流し|屈斜路湖を眺める無料野天風呂
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湯あがり ぽか子
温泉大好き40年のベテラン。「一湯一会」を逃さないために、常に手ぬぐいを持ち歩いています。長年の経験で、お湯を触っただけで大体の泉質がわかる特技を持ちます。温泉好きが高じて、温泉ソムリエ・温泉観光アドバイザーの資格を取得。日本の宝である「温泉文化」を皆さんにお伝えできることが喜びです!
北海道川上郡弟子屈町、阿寒摩周国立公園内の屈斜路湖南岸に突き出た和琴半島に湧く「和琴温泉」は、承応2年(1653年)に前藩の藩主が難病治癒のためにこの地を訪れたという記録が残る道内屈指の古湯です。
大正5年(1916年)に正式に開湯し、紀行作家の大町桂月が大正10年(1921年)にこの地を訪れた際に「和琴」というこの地にふさわしい和名に改めました。
泉質は単純温泉(中性低張性高温泉)・pH6.6・源泉温度52.5℃・湧出量毎分120リットルの自然湧出泉で、加水・加温・塩素消毒なしの源泉100%かけ流しが半島一帯で楽しめます。
半島内には無料露天風呂・共同浴場・野湯・宿泊温泉施設と複数の湯処が点在しており、屈斜路湖畔全体がひとつの温泉天国となっています。
目次
和琴半島へ 日本最大のカルデラ湖に突き出た半島の歴史

和琴温泉は、北海道川上郡弟子屈町屈斜路の和琴半島に位置しています。
JR摩周駅から阿寒バスで約35分、または弟子屈(摩周温泉)市街地から車で約15分というアクセスです。
女満別空港から車で約55分・中標津空港から車で約1時間30分。
国道243号線から道道52号へ入り和琴半島の入口まで進むと無料駐車場があり、そこから野天風呂まで徒歩約5分です。
「和琴」という地名はアイヌ語の「オヤコッ(尻が陸地についているもの)」または「ワコッチ(魚の尾のくびれたところ)」に由来するとされ、屈斜路湖に突き出た半島の形状そのものを表現した名前です。
温泉の発見は江戸時代初期にさかのぼります。承応2年(1653年)に難病を抱えた前藩の藩主がこの地の温泉で治癒したという記録が残っており、以来この湯の評判は道内各地に伝わりました。
大正期には紀行作家・大町桂月がこの地を訪れ、「和琴」という雅な和名を与えたことで温泉地としての品格が整いました。
半島先端の「オヤコツ地獄」では今なお100℃近い熱湯が湧き出しており、カルデラ火山の地熱エネルギーがこの半島全体を温め続けていることを実感させます。
屈斜路湖・砂湯・美幌峠 屈斜路湖畔の絶景をめぐる

和琴温泉を拠点にすると、屈斜路湖畔一帯の多彩な絶景体験が楽しめます。
屈斜路湖は周囲約57キロという国内最大のカルデラ湖で、全面結氷する湖としても日本最大です。
冬には数千羽の白鳥がシベリアから越冬のために飛来し、湖岸の所々で地熱により温泉が湧き出す場所が凍らないため、白鳥たちがその温泉水の周囲に群れる光景が見られます。
「砂湯」は屈斜路湖畔の砂浜を手で掘ると温泉が湧き出すという珍しい体験スポットで、ファミリーに人気があります。
「コタン温泉」も屈斜路湖畔の無料露天風呂で、湖を一望できるロケーションが評判です。「美幌峠」は国道243号上の峠で、屈斜路湖の全景を見渡せる道東随一の展望スポットです。
天気がよければ屈斜路湖のカルデラ全体が眼下に広がり、雄大なカルデラ地形の全貌が把握できます。
摩周そば・弟子屈の食 道東の恵みを味わう

和琴半島周辺には飲食店が少なく、食事は摩周温泉(弟子屈市街地)まで車で15分戻る必要があります。
弟子屈の名物「摩周そば」は地元産そば粉を使った手打ちそばで、豊かな香りとコシが特徴です。
摩周駅周辺の食堂・そば処では食べ比べが楽しめます。また弟子屈産の牛乳・乳製品は道内でも評判が高く、道の駅「摩周温泉」では濃厚なソフトクリームが人気の一品です。
川湯温泉方面へ足を伸ばせば「屈斜路湖プリンス」(日帰り温泉付きレストラン)でオホーツクの食材を楽しめ、摩周湖の伏流水が流れる名水を使った料理が地域の食文化を豊かに彩っています。
三日月形野天風呂・オヤコツ地獄・共同浴場 半島の湯を渡り歩く

和琴半島の湯の体験は複数の層に分かれており、旅のスタイルに合わせて選べます。
和琴温泉露天風呂は半島付け根の湖岸に設けられた24時間無料の野天風呂です。
三日月形の浴槽の底から源泉が直接湧き出す足元自噴泉で、泉質は単純温泉(中性低張性高温泉)・pH6.6・加水加温塩素消毒なし。簡易更衣室(男女別)が隣接しており水着着用も可能です。
屈斜路湖を眼前に眺めながら、玉砂利の底からぽこぽこと湧き出す源泉に体を委ねる体験は、道東ならではの開放的な野趣があります。
やや熱めの温度のため、土嚢で湖水を混合して温度を調整する仕組みになっています。
和琴温泉共同浴場は露天風呂から遊歩道を10分ほど歩いた先にある無料の共同浴場です。
草津温泉を思わせる「湯もみの板」が置かれているほど高温になることがあり、真夏は特に熱湯状態になることがあります。野趣あふれる湯小屋の風情は、温泉マニアにはたまらない空間です。
オヤコツ地獄・桂月の湯は共同浴場からさらに遊歩道を進んだ先にある野湯群で、半島先端の崖からは100℃近い熱湯が噴き出しています。湖水と混合することで入浴可能な温度に調整する「桂月の湯」は、大町桂月の名にちなんだ野湯です。
宿泊して楽しむ和琴温泉

和琴半島周辺には小規模ながら個性的な宿泊施設が点在しています。
「三香温泉」は全5室の小さな温泉宿で、摩周湖の伏流水が湧き出る森の中に佇む静かな一軒宿です。
TVもWi-Fiも置かず、携帯の電波も弱く、自販機も近くにお店もない「敢えての不便」を旨とするこの宿では、手づくりの料理と源泉かけ流しの湯、そして野鳥の声だけが満たす贅沢な時間が楽しめます。
屈斜路湖畔には他にもキャンプ場が2か所あり、夏はウォータースポーツを楽しみながら無料野天風呂に浸かるアウトドアスタイルの滞在が定番となっています。
和琴温泉の源泉かけ流し概要

泉質: 単純温泉(中性低張性高温泉)
pH: 6.6
源泉温度: 52.5℃(夏期約46℃)
湧出量: 毎分120リットル(自然湧出)
成分総計: 726mg/kg(メタケイ酸243.7mg・遊離二酸化炭素103.6mg含有)
源泉かけ流し: 加水・加温・塩素消毒なし・100%源泉かけ流し
効能: 神経痛・筋肉痛・関節炎・慢性消化器病・冷え性・皮膚病・婦人病・自律神経不安定症・不眠症・うつ状態
旅の余韻

出典:フォトAC
三日月形の野天風呂に体を沈めると、玉砂利の底からぽこぽこと源泉が湧き出しています。
カルデラ湖の地熱が生み出した湯が、湖面のすぐそばでこうして体を温めているという事実が、道東の大地の豊かさをそのまま肌で伝えてきます。
大町桂月が「和琴」と命名してから100年以上が経ち、今日もキャンパーと地元のおじさんが同じ湯に浸かりながら、屈斜路湖に沈む夕日を眺めている。
白鳥が温泉の湧き出る岸辺に群れる冬の朝も、カヌーが湖面を滑る夏の昼も、和琴半島の湯は変わらず無料で旅人を迎えています。



