武田信玄・白猿伝説が宿る【平湯温泉】源泉かけ流し|奥飛騨最古の湯・毎分13,000リットルの豊富湯量と上高地・乗鞍の旅
この記事を書いた人
湯あがり ぽか子
温泉大好き40年のベテラン。「一湯一会」を逃さないために、常に手ぬぐいを持ち歩いています。長年の経験で、お湯を触っただけで大体の泉質がわかる特技を持ちます。温泉好きが高じて、温泉ソムリエ・温泉観光アドバイザーの資格を取得。日本の宝である「温泉文化」を皆さんにお伝えできることが喜びです!
飛騨に攻め入った武田信玄の軍勢が疲れ果てたとき、一匹の老いた白猿が現れ、道端の湯へと導きました。
岐阜県高山市、奥飛騨温泉郷の玄関口に位置する平湯温泉は、この「白猿伝説」を開湯の由来とする、奥飛騨5地区の中で最も古い歴史を誇る湯の里です。
約40か所の源泉から毎分約13,000リットルという圧倒的な湯量が湧出し、最高90℃に達する多様な温泉が各宿に引かれています。
上高地・乗鞍岳・新穂高ロープウェイへのバスが発着する北アルプス観光の最高の拠点です。
目次
奥飛騨の玄関口へ 白猿伝説と安房トンネルの開通

出典:ひらゆの森
平湯温泉は、乗鞍岳の北麓、標高約1,230メートルの山中に位置する奥飛騨温泉郷の入口です。
温泉街には大規模なバスターミナルがあり、ここから上高地・乗鞍岳・新穂高・飛騨高山を結ぶバスが発着しています。
奥飛騨の豊かな自然を周遊するための起点として、宿泊施設も約20軒と充実。
開湯の由来となった白猿伝説。白猿が兵士たちを温泉に導いたという話はあちこちに広まり、遠くからも平湯を訪れる人が増えたと江戸時代末期の書物「飛州志」に記されています。
江戸時代には北陸の大名が参勤交代の道中で疲れを癒す湯治場としても利用されており、古くから「癒しの地」として名が通っていました。
上高地・乗鞍岳・新穂高ロープウェイ 北アルプス絶景を巡る

出典:ひらゆの森
平湯温泉を拠点にすると、北アルプスを代表する3つの絶景スポットへのアクセスが抜群です。
上高地(バスで約30分)は、梓川沿いの河童橋から望む穂高連峰と槍ヶ岳の景色が圧巻の日本屈指の山岳景勝地。5月〜11月の期間限定でマイカー規制が敷かれ、平湯から直通バスが運行されています。
乗鞍岳(バスで約50分)は、畳平(標高2,702メートル)まで観光バスで上れる日本最高所の観光地。6〜8月は高山植物の宝庫となり、コロナパンデミック前は訪日外国人にも人気のスポットでした。
新穂高ロープウェイ(バスで約40分)は、ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン2ツ星を獲得した日本唯一の2階建てゴンドラで、標高2,156メートルまで一気に登り、北アルプスの360度大パノラマが広がります。
飛騨の食・平湯の名物 「はんたい玉子」と飛騨牛

出典:ひらゆの森
平湯温泉の名物グルメのひとつが「はんたい玉子」です。
温泉の蒸気を使って蒸し上げるこの温泉玉子は、その名の通り「黄身が固く白身が半熟」というふつうの玉子の逆の仕上がりが特徴。熱々のまま食べると、なんとも言えない濃厚な旨みがあります。
宿の夕食では飛騨牛の朴葉みそ焼き・炭火ステーキをはじめ、岩魚・川魚・飛騨の山菜など地元の食材を使った飛騨料理が並びます。
一部の宿では岐阜県から飲用許可を取得した自家源泉で飛騨牛を蒸し上げる「蓬莱蒸し」という独自料理を提供しており、温泉の恵みを食でも体感できます。
奥飛騨最古の湯・毎分13,000リットルの源泉かけ流し体験

出典:ひらゆの森
平湯温泉は奥飛騨温泉郷の中で最も古い歴史を持ち、1964年(昭和39年)には他の4温泉地より早く単独で国民保養温泉地に指定されています。
約40か所の源泉・井戸から毎分約13,000リットルという驚異的な湯量が湧き出しており、その量は一般家庭の浴槽約130年分に相当します。
泉質は単純温泉・炭酸水素塩泉・塩化物泉・硫黄泉と源泉により異なり、多彩な湯が楽しめます。
泉温は40〜90℃と幅広く、重曹成分を多く含む泉質は古い角質を溶かしてすべすべにする「美人の湯」としても名高く、濁り湯と透明な湯の2種類を持つ宿もあります。
各旅館は源泉かけ流しの湯を提供しており、温泉街中心から少し離れた場所に平湯温泉発祥の露天風呂「神の湯」も存在します(現在は法面崩壊により営業中止・再開を待望する声が多数)。
平湯大滝と神の湯 平湯温泉の名所をめぐる

出典:ひらゆの森
温泉街から車で約10分の場所にある「平湯大滝」は、落差64メートル・幅6メートルの豪快な滝で、飛騨三大名瀑のひとつとして日本の滝百選にも選ばれています。
毎年2月には「平湯大滝結氷まつり」が開催され、紫・青の幻想的なライトアップに彩られた巨大な氷瀑が夜の山里を照らします。
温泉街の足湯でひと息つきながら、豊かに湧き出る温泉の恵みを日常的に感じられるのも平湯温泉ならではです。
平湯温泉の源泉かけ流し概要

出典:ひらゆの森
泉質: 単純温泉・炭酸水素塩泉・塩化物泉・硫黄泉ほか(源泉により異なる)
源泉数: 約40か所
湧出量: 毎分約13,000リットル(奥飛騨最多)・泉温40〜90℃
源泉かけ流し: 各旅館とも源泉かけ流し(加水・加温の程度は宿により異なる)
効能: 胃腸病・リウマチ・神経症・皮膚病・美肌・疲労回復
旅の余韻

出典:のりくら一休
白猿が疲れた兵士たちを導いたという湯に、今朝もお湯が惜しみなく注がれています。
毎分13,000リットル。ただそれだけの数字でも、この地の温泉の豊かさが伝わります。
上高地の梓川を歩いた足が、平湯の湯に沈んでいく。
乗鞍の高山植物を眺めた目が、湯けむりの向こうで穂高を捉えている。
北アルプスの旅は、平湯の源泉かけ流しに浸かってはじめて完結します。



