河童伝説と日本三大霊場【奥薬研温泉】源泉かけ流し|日本三大美林のヒバ林に湧く1,100年の秘湯「かっぱの湯」
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湯あがり ぽか子
温泉大好き40年のベテラン。「一湯一会」を逃さないために、常に手ぬぐいを持ち歩いています。長年の経験で、お湯を触っただけで大体の泉質がわかる特技を持ちます。温泉好きが高じて、温泉ソムリエ・温泉観光アドバイザーの資格を取得。日本の宝である「温泉文化」を皆さんにお伝えできることが喜びです!
青森県下北半島の奥地、津軽海峡に注ぐ大畑川の上流に、1,100年以上前から湧き続ける秘湯があります。
奥薬研温泉。
その名の由来は、恐山を開いた慈覚大師円仁が道に迷って大怪我を負った時、河童が現れて湯に浸からせ、翌朝には傷がすっかり癒えていたという伝説にさかのぼります。
以来「かっぱの湯」と呼ばれてきたこの露天風呂は、源泉100%かけ流しで今日も大畑川のほとりに湯を流し続けています。
日本三大美林のひとつ「ヒバ林」に包まれた薬研渓谷の深い緑、比叡山・高野山と並ぶ日本三大霊場・恐山の荘厳な空気、そして本州最北端に水揚げされる大間のマグロ。
北半島の旅の最奥に、この小さな秘湯は旅人を待っています。
目次
下北半島の秘境へ 斧の形をした半島の奥へ

出典:青森県
奥薬研温泉は、青森県むつ市大畑町、下北半島国定公園内の大畑川上流に位置します。
下北半島は日本地図で見ると斧(まさかり)の形に見えることから「まさかり半島」とも呼ばれ、その奥地・薬研渓谷に湯が湧いています。
「薬研」という地名の由来もまた温泉に関係しています。
温泉が湧き出る湯口の形が、漢方薬をすりつぶす道具「薬研台(やげんだい)」に似ていたことから、この地が「薬研」と呼ばれるようになったと伝わります。
薬研温泉の開湯は慶長20年(1615年)、大坂夏の陣で敗れた豊臣方の武者が当地まで落ち延びた際に発見したとされる400年以上の歴史ある湯治場です。
薬研温泉から大畑川をさらに約2キロ上流へ進んだ場所が「奥薬研温泉」です。
周囲はヒバ・ブナ・ナラなどの原生林に覆われ、渓谷の深い緑が季節ごとに表情を変えます。
春の新緑、夏の涼やかな川のせせらぎ、秋の鮮やかな紅葉。
秋には薬研渓谷紅葉まつりも開催され、山菜料理と温泉で下北の秋を味わうことができます。
遊歩道沿いには昭和38年に廃止された森林鉄道のレールや人力で掘られたトンネルの遺構も残り、かつてヒバ材を運んだ時代の記憶を今に伝えています。
日本三大霊場・恐山と仏ヶ浦 下北が誇る霊的な景勝地

出典:青森県
下北半島を訪れるならば、奥薬研温泉とセットで必ず巡りたいのが「恐山」です。
比叡山・高野山と並ぶ「日本三大霊場」のひとつ、恐山菩提寺。
貞観4年(862年)に慈覚大師円仁が開山したこの霊場は、日本の秘境100選にも選ばれています。岩がむき出しになった「賽の河原」には無数の小石が積まれ、風車が回り、硫黄の匂いが立ちこめる。
現世とも彼岸とも区別のつかない荘厳な空気は、訪れた人の心に長く残ります。
霊場内には温泉(薬師の湯・古滝の湯・花染の湯・冷抜の湯)が湧いており、参拝者は無料で入浴することができます。
また、下北半島の西海岸・仏ヶ浦は、高さ最大30メートルを超える奇岩・白緑色の凝灰岩が連なる絶景の景勝地で、国の天然記念物・名勝にも指定されています。
海から見上げる岩群の荘厳さは「鬼の土俵」「五百羅漢」など仏教にちなんだ名前が付けられ、下北随一の風景美として知られています。
大間マグロ・山菜料理・いかすみラーメン 下北の食の恵み

出典:青森県
下北半島の旅を彩る食の恵みも格別です。
何といっても筆頭は「大間マグロ」。
本州最北端の大間漁港で水揚げされる天然本マグロは、津軽海峡の激流で鍛えられた身の引き締まりと、豊かな脂の旨みで「最高のマグロ」と称されます。
大間の食堂や港周辺の専門店では、新鮮な本マグロの刺身や丼を味わうことができ、旬の時期には行列ができるほどの人気です。
薬研温泉郷の宿では、山のもてなしが待っています。
「カモシカ女将」の愛称で知られる薬研荘の女将が、自ら山を歩いて採った天然のキノコや山菜を使った料理は格別。
キノコ汁・山菜天ぷら・下北の郷土料理など、都会ではなかなか味わえない滋味深い田舎料理が旅人を癒してくれます。
奥薬研修景公園レストハウスでは「いかすみラーメン」や「海峡いか墨カレー」などの個性的な名物料理も評判で、温泉の後にそのまま食事を楽しむことができます。



