日本最古の洞窟露天風呂【壁湯温泉】源泉かけ流し|大分・玖珠川の岩壁に湧く秘湯「福元屋」
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湯あがり ぽか子
温泉大好き40年のベテラン。「一湯一会」を逃さないために、常に手ぬぐいを持ち歩いています。長年の経験で、お湯を触っただけで大体の泉質がわかる特技を持ちます。温泉好きが高じて、温泉ソムリエ・温泉観光アドバイザーの資格を取得。日本の宝である「温泉文化」を皆さんにお伝えできることが喜びです!
享保年間(1716〜1735年)、傷ついた鹿が町田川の川辺で湯浴びするのを見た猟師が、険しい岸壁に道をつけ洞窟に浴槽を造ったのが始まりと伝わります。
大分県玖珠郡九重町、筑後川の源流・町田川に沿って走ると、川面に大きく迫り出した岩壁の威容が目に飛び込んできます。
壁湯温泉。岩壁が「壁」のように迫り出した地形そのままに名づけられたこの秘湯は、300年以上にわたり足元の岩間から源泉が自然湧出し続ける、全国でも極めて希少な「足元湧出の洞窟露天風呂」です。
仙女が住み、夜明けに身を清めて昇天したという伝説から「仙洞温泉」とも呼ばれるこの地で、「日本秘湯を守る会」の会員宿・福元屋が明治40年の創業以来、その湯を守り続けています。
目次
九重の山里へ くじゅう連山のふもとを流れる町田川渓谷

壁湯温泉は、大分県玖珠郡九重町の山あい、町田川の渓谷沿いに位置しています。
九州自動車道・九重ICから約10分という好アクセスながら、深い緑と渓流に包まれた別世界のような静けさが広がっています。
九重町はくじゅう連山や九重”夢”大吊橋、寒の地獄温泉など個性的な秘湯が点在する温泉王国です。
壁湯温泉の上流200メートルには、仙女伝説にちなんだ落差8メートルの「仙洞の滝」があり、5月下旬〜7月上旬には町田川沿いでホタルが乱舞します。
夜の洞窟露天風呂からホタルの光を眺めるという体験は、この宿ならではの贅沢です。
大分の食の恵み 豊後牛・馬刺しと女将の手作り会席

福元屋の夕食は、女将が真心を込めて仕上げる手作りの田舎会席です。
「おおいたブランド」豊後牛や馬刺しを中心に、地元産の野菜と宿の自家製米を使った料理が並びます。
先々代の嫁入り箪笥が残り、昔ながらの囲炉裏に火が入る明治40年創業の館内で味わう食事は、どこか懐かしく温かみのある時間です。
宿泊者には夜に館主から焼酎の「お酒そわけ」が振る舞われ、朝はコーヒーが無料でもてなされるアットホームな雰囲気も、リピーターが後を絶たない理由のひとつです。
300年自噴する洞窟の湯 足元湧出の源泉かけ流し体験

壁湯温泉最大の特徴は、川面に大きく迫り出した天然の岩壁が造り出した「洞窟露天風呂」です。
どこを見渡しても湯口が見当たりません。
それもそのはず、浴槽の足元の岩間から300年以上にわたって源泉が自然湧出し続けているからです。
源泉温度は39℃とぬるめで、毎分1,300〜1,370リットルという豊富な湧出量を誇ります。
浴槽を5分ほどで入れ替えるほどの湯量のため、常に生まれたての新鮮な源泉かけ流しが保たれています。
入浴すると肌に付着する無数の細かな泡は炭酸ガスではなく、鮮度の高い源泉が湧出した証。
無色透明でほんのりと石膏の香りを持つ、弱アルカリ性のやわらかな湯は、長く浸かっても湯疲れしにくく、夏の湯浴みにも最適です。



