結局何が違う?「天然温泉」と「源泉かけ流し」の違いまとめ

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「天然温泉」と「源泉かけ流し」の違いをご紹介しました。「天然温泉」は一定の成分を含んで地中から湧き出した温水や鉱水、「源泉かけ流し」は、その天然温泉を循環再利用しないで利用することです。

「源泉かけ流し」の定義をまとめると次のようになります。

・浴槽には常に新しいお湯が注がれている
・浴槽からはお湯が溢れている
・溢れたお湯が再利用されていない
・加水・加温していない
・成分を変えない程度の加水・加温は認める

泉質そのものを楽しむなら「源泉100%かけ流し」

「天然温泉」と「源泉かけ流し」の違いをおわかりいただけたでしょうか。温泉を満喫するならやはり天然温泉でしょう。さらに泉質を楽しむなら「源泉100%の掛け流し」がおすすめです。

源泉そのままで自然に近い状態でお湯を楽しむことができます。透明な温泉や白濁した温泉、茶褐色の温泉など見た目もいろいろです。サラサラのお湯やまとわりつくようなお湯などもあります。硫黄の香りがするこれぞ温泉といったものも。そんな源泉の特徴を存分に楽しめるのが「源泉100%かけ流し」です。

よく見かける「人工温泉」って温泉じゃないの?

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人工温泉とは

人工温泉とは、天然鉱物由来のミネラルにあたる薬剤や鉱石をお湯に加えている温浴施設のことです。具体的には、ビジネスホテルなどが導入している「トロン温泉」「光明石(こうめいせき)温泉」「トゴール温泉」などが、人工温泉にあたります。人工とはいえ、冷え性・神経痛・関節痛・肩こりなどの症状に効用があるとして、「準天然温泉」と称されることもあります。

天然鉱物由来の薬剤は、厚生労働省が「薬効がある」と認めた医薬品や医薬部外品を指します。そのため、一般流通している温泉の素などを家庭の浴槽に入れても、人工温泉と呼ぶことはできません。また、温泉法の定義からは外れるため、温泉としての泉質表示や、入浴が禁止されている症状(禁忌症)の掲示も不可能となっています。

参考:g-lip|天然温泉と人工温泉の違いとは?忙しいビジネスマンこそ知っておくべき温泉の選び方

人工温泉の効用

人工温泉は療養泉ではないものの、実在する温泉の泉質を再現しているため、あらゆる効用が期待できます。たとえば、アルカリ性成分を含む人工温泉ならば、下呂温泉に浸かっているような気分になれるでしょう。使用される薬剤などは医薬部外品ということで、人体への悪影響を心配する必要もありません。また、無味無臭の人工温泉は「入浴しやすい」というメリットもあります。「においや塩分が強い温泉は苦手」という方にも親しまれています。

人工温泉に使われる代表的な鉱物

<1. トロン>

人工温泉を代表する「トロン温泉」には、トロン浴素の遠赤外線効果によって、身体をしっかりと温める効果があります。天然トロン温泉の歴史は古く、今から約2,000年前にドイツの温泉地「バーデン・バーデン」にて発見されました。当時から「戦士の傷を癒し、美肌を生み出す名湯」として知られていましたが、その秘密は近郊の鉱山で採れる「トロン鉱石」にあったのです。微弱な放射性物質を含んでいるトロン鉱石は、強力なイオン化エネルギーの一つであり、海外では物理学療法にも採用されています。

日本でもトロン鉱石の研究が進んだことで、優れた温浴効果を持つトロン温泉の素として「トロン浴素」が開発されました。トロン浴素は薬機法に基づいた医薬部外品であるため、認定事業者以外は製造・販売することができません。一方で、トロン温泉を導入している温浴施設は、腰痛や神経痛など計10種類の効能を表示できるため、利用者も安心して入浴することができます。

<2. 光明石>

準天然温泉として知られる「光明石温泉」は、天然鉱石を使用した温浴システムです。光明石は岡山県の阿部鉱山から産出される貴重な天然鉱物です。地下深くに存在する熱水によって変質した石は、緑色・灰色・白色をしており、1トンの岩から微量しか採掘できないといわれています。

厚生労働省からは医薬部外品として承認されており、神経痛・肩こり・痔・産前産後の冷え性・リウマチ・腰痛・疲労回復といった、8つの効能が認められています。長原産業株式会社の登録商標になっていることから、第三者が「光明石温泉」を謳うことは出来ないため、利用者は安心して入浴できます。

光明石に含まれる成分は、塩化カルシウム・炭酸水素カルシウム・塩化マグネシウム・塩化カリウムなど計11種類であり、無味無臭のお湯が特徴です。旅館やホテルをはじめ、フィットネスクラブやマンション、介護施設や老人ホームにも導入されているため、利用したことがある方も多いのではないでしょうか。

<3. トゴール>

人工温泉の一つである「トゴール湯」には、新潟県栃尾又温泉付近で採掘される風化鉱物「トゴール・ウォームタイト」が使用されています。トゴール・ウォームタイトに含まれる無機塩類を入浴用に加工することで、天然温泉に近い効用を生み出しています。トゴール鉱石の鉱脈発見には多数の研究者が携わり、トゴール湯の開発・研究は昭和54年(1979)に始まりました。

トゴール湯は飲用できませんが、トゴール鉱石が世間に広まった当初は「飲料水に入れたらおいしくなった」「体調が良くなった」といった記事が新聞に掲載されたそうです。実際に、トゴール鉱石は多数のミネラル群を含んでおり、古くから「湯石」「薬石」と言われていた歴史を裏付ける実験結果も出ています。

臨床試験により明らかになった主な効用は、腰痛や筋肉・関節痛の改善です。また、「身体がポカポカと温まり、朝までぐっすりと眠れた」「こわばった体を動かしやすくなった」といった実験結果も発表されています。

参考:温泉部|【意外に知らない】トロン温泉とは?効果効能や入り方
株式会社光明石製造所|国内で唯一の「光明石」採掘元
株式会社トゴール研究所|人工温泉トゴールとは
株式会社トゴール研究所|「トゴール湯」についての温泉医学的検討

天然温泉と人工温泉の見分け方

温泉施設によっては、天然温泉と人工温泉を一目で見分けることが大変難しくなっています。温泉システムを判断する際は、日本温泉協会が制定した「天然温泉表示マーク」と「天然温泉表示看板」が役立ちます。いずれの表示も、温泉法の規定に基づき、利用許可を得た天然温泉であることを示しています。

また、2005年に温泉法施行規則の一部が改正されたことで、温泉の成分やシステムを明確に表示することが義務化されました。そのため、天然温泉の良し悪しが明確になり、それぞれの特徴も理解しやすくなっています。人工温泉のメリットもわかるので、効能に関する看板を見かけたらご覧になることをおすすめします。

参考:温泉部|天然温泉とは?人工温泉との違い

人工温泉にも入湯税はかかるの?

人工的に造られた温泉であっても、鉱泉水(鉱泉浴場)の場合は入湯税がかかるので注意しましょう。天然鉱物由来の効能が明らかな鉱泉水は、温泉法の基準以下であっても、天然温泉に近いとみなされます。

そもそも、「入湯税」とは温泉利用者に課せられる地方税のことです。温泉地の環境・景観の維持や観光PRなどに使用される税金であり、鉱泉浴場で徴収された場合も使い道は同様です。2004年に温泉偽装問題が取り上げられるまでは、鉱泉すら使用していない浴場が入湯税を徴収するという悪質なケースがありました。

参考:おもてなしHR|人工温泉にも入湯税はかかるの?

温泉を満喫するなら源泉100%の掛け流しで決まり!今すぐ温泉旅行へ出かけよう

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日常のすべてを忘れて身も心もリラックスできるのが温泉です。「源泉100%の掛け流し」なら純粋な温泉の水を肌で感じることができ、さらに温泉を楽しむことができるでしょう。

「天然温泉」と「源泉かけ流し」の違いがわかったところで、「源泉100%の掛け流し」を探して温泉旅行に出かけてみましょう。遠出をしにくいという方は、天然温泉に近い効能が期待できる「人工温泉」を利用するのもおすすめです。